センスのいい人の条件ってなんだろう?ファッションはもちろんのこと、生き方や考え方のセンスを磨くためのヒントを、キーワードを立ててさまざまな角度から探ります。
製作者の意図や時代のムードなど、ものづくりの背景を理解して身につけることが大切。 それを知ると思い入れが生まれ、長く手元に置いておきたくなるものです。 キャッチーな商品を大量生産する現在とは違い、どうすれば一番美しく見えるか、 ということに注力されていたヴィンテージは、必ず興味深いストーリーを語ってくれます。(THE BRISK・The Vintage Dressオーナー)
語り継がれる名コレクション
20世紀初めに設立された「バレエ・リュス」のファンだったイヴ・サンローランが、1976年にロシアをイメージして発表した〈ロシアンコレクション〉のベスト。ベルベットをはじめ、ファー、シフォン、シルク、ラメなど、豪華な素材を使用した。「今もなお参照される名作。デザイナー本人も最高のコレクションだったと言っていたよう。そう思って着ると感動もひとしおです」。ベスト ¥81,481(THE BRISK)
60年代ロンドンのアイコン
BIBAは60〜70年代にかけて多くの労働者階級の若者たちの支持を得たロンドン発のブランド。デザイナー、バーバラ・フラニッキはアール・ヌーヴォー調のデザインを得意としていた。ふんわりとしたマトン・スリーブや高いウエスト、包みボタンなどにロマンティックなムードが漂う。「スウィンギング・ロンドンを体感できる一着です」。60年代のドレス ¥90,740(The Vintage Dress)
永遠に愛されるデザイン
あらゆるトレンドにトライしてきた大人たちがずっと付き合っていきたいスタイルとして最終的に落ち着くのは、60年代後半〜70年代のアイテムだという。70年代のエレガントなAラインのドレスは、時代を問わない永遠のデザイン。この頃から積極的に使用されるようになった伸縮性のあるポリエステルジャージー製で適度にフィットし、美しいシルエットを描いてくれる。ドレス ¥29,629(The Vintage Dress)
80年代を代表するシルエット
彫刻を学んだ経験から女性の体のフォルムに大きな関心を持ち、80年代ボディコンシャスなスタイルのブームを牽引したアズディン・アライア。2017年82歳で惜しくもこの世を去った。アイコニックな革紐の装飾が規則的に配された80年代のセットアップはボリュームのある襟と極端に細いウエストのコントラストがブランドらしい。スウェードのセットアップ ¥155,555(THE BRISK)
驚きの高品質ウール
「シルクやウール、コットンはヴィンテージと比べると現行のものが薄く感じられてしまうことが多い」とオーナーが言うほど、かつてはしっかりとした素材が用いられていた。目が詰まったウールサキソニー製の60年代のドレスは何度洗濯しても型崩れせず、シワも寄らない。ブランドものではないが、代々受け継ぎたいほどのクォリティを誇る。ドレス ¥29,629(The Vintage Dress)
時代のムードを味わえる逸品
1958年にジャン・ブーケがフランスで設立したキャシャレルの70年代初頭のセットアップ。 「写真家サラ・ムーンがキャンペーンヴィジュアルを手がけるなど、幻想的でロマンティックなイメージのブランドでした。パフスリーブに、当時世界をリードしていたロンドンのファッションシーンの影響が見られます」。ここまで状態が良いのは希少だそう。シルクのセットアップ ¥53,703(The Vintage Dress)
THE BRISK・The Vintage Dress
THE BRISKは主にヨーロッパのメゾンのヴィンテージを取り扱う。手頃な価格の状態のよい品ぞろえで定評があり、ライセンスではなく、デザイナー本人が手がけたアイテムを厳選している。2018年11月にドレスに特化したThe Vintage Dressがオープン。
Photo: Satoshi Yamaguchi Text&Edit: Itoi Kuriyama