22時に開ける冷蔵庫は明日からの元気をくれる宝箱だ。ほんのちょっとしたご褒美が入っている。自分を励ますために、今日もまた扉を開ける。
無花果ミルク 西村隆ノ介/くらちなつき「22時の冷蔵庫」vol.21
思い返すと、よくフルーツが食卓に並ぶ家だった。
地元が田舎だったので、周りに農家さんが多くいた。単純に母がフルーツ好きだっただけなのかもしれない。
シンプルにそのままカットして盛り付けられることもあれば、摘んできた野苺はジャムにしてくれた。
西瓜を食べたあとの皮は、漬物にしてまた別の日のおやつに。種を庭に植えて、お世辞にも綺麗にできたとは言えない実を「あんまり甘くならなかったね」と笑いながら食べた。
そんな中でも、特に思い出として強く残っているのが「無花果(いちじく)ミルク」
五感に強く主張してこない無花果(いちじく)が大好きでよく食べていた。大人になって意外とお値段が張る果物なのだと知った。
さらにもうひとつの発見は、夏と秋に旬があること。ずっと秋の果物だと思っていたけれど、夏も楽しめるなんてこんなに嬉しいことはない。
・無花果(いちじく)…ひとつ
・牛乳or豆乳…無花果(いちじく)がかぶるくらい
・砂糖…大さじ1/2(甘めが好きならもうすこし多めに)
無花果(いちじく)をサイコロくらいの細かめにカットする。
器に盛ったら、かぶって隠れるくらいの牛乳か豆乳を注ぐ。お砂糖をまぶして、フォークでぐいぐいっと実を潰して完成。
こんなに簡単でいいものかと思いつつ、すっかり舌に馴染んだホッとする味だ。
ミキサーにかけずにフォークで潰すのは、適度に残った食感がジューシーで好きだから。大きめと小さめで不均一にするのがポイント。
季節の果物を美味しくいただく。なんて幸せな時間だろう。
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くらちなつき
広告、ウェブ、雑誌、アパレルなどを中心に活動中のファッションイラストレーター。
主なお仕事にファッションブランド「KEISUKE YOSHIDA」とのコラボレーションなど。
instagram: @natsuki_kurachi