食べ物について書かれた本が好きです。ドキュメンタリーでもエッセイでもレシピ本でもなんでも。その中からお気に入りの7冊をご紹介します。台所にも本棚(というかワゴン)があり、レシピ本だけ収納しています。その話はまた今度。
『ことばの食卓』武田百合子
甘汁でべたべたになった指をなめつつ枇杷を食べたあの日の記憶。亡くなった旦那さん(作家の武田淳氏)のことを「枇杷と一緒にあの人も食べちゃったのかしら」。そんな風に表現できるなんてうらやましいような少し怖いような。
『そうざい料理帖 巻一』池波正太郎
美味しいもののインスピレーションの宝庫。有名な「白瓜のサンドウィッチ」を知ったのもこの本で。薄い食パンにバター。そこに、軽く塩ふってもんだ白瓜を挟む。ああ白ワイン泥棒。この季節になるとスーパーの売り場で白瓜を探してしまいます。
『わたしの献立日記』沢村貞子
毎日の献立をただ記しただけ。なのに想像がふくらんで楽しい、昭和の女優の食卓四方山話。たとえば昭和61年8月11日 月曜日 すずきのあらい/里芋とこんにゃくの田楽/たたみいわし/枝豆と大根おろしの酢の物/とろろ芋の千切りの味噌汁。たまに<お客様 中華 出前>なんて走り書きも。そういえば子供の頃給食の献立表を暗記していたっけ。
『土を喰う日々』水上勉
信州の山里、晴耕雨読の日々。息をするように料理をする姿がかっこ良すぎる。文中に登場する胡桃の木のすりこぎ。食材に甘い木の香りが移るという。私もどうしても欲しくて、旅先の道の駅でみつけたときはガッツポーズ。