インスタで話題の油淋鶏に独自のハイブリッド中華 チャイニーズ・ニューウェーブvol.1

インスタで話題の油淋鶏に独自のハイブリッド中華 チャイニーズ・ニューウェーブvol.1

今、東京に中華料理店がたくさんできている。なんだかめでたいことである。 湖南省、蘭州、花屋さん、鴨、発酵。いろんなキーワードをたずさえて。 2018年にオープンした、愛でたき7つの東京新中華、ここにあり。


「湯気」
中野

手前から時計回りに 油淋鶏 ¥1,200、ソース焼きそば ¥800、四川麻辣豆腐 ¥1,200、新緑ザーサイ ¥300、柿とホウレン草のニンニク炒め ¥1,000。チャージ料としてスープ ¥300。

中野の線路沿いにある、
街の中華アンド花屋。

夏頃からインスタの四角い画面いっぱいに、わんと表示されるようになった油淋鶏。ようやく中野の駅を降り、線路沿いの坂をのぼって「湯気」に入り、花の彩りあふれる花屋なエントランスを抜け、待望の皿に出会った時には、もはや食べたような気にすらなっていた。憧れの油淋鶏は、実際に食べるとカリッとしてジュワ〜として、肉っ!という感じ。良い意味で油淋油淋していなくて、衣のサクサク具合と、おおぶりでジューシーな鶏の美味しさがしっかり感じられる。すっかりいい気分になって注文した四川麻辣豆腐も、八丁味噌にほんのり山椒が香るちょうどいい辛さ。柿とホウレン草のニンニク炒めは、ホウレン草のほろ苦さに完熟の柿の甘さがとろけ出す。

どの皿も、ところどころに繊細な味付けが光るのに、どこか親しみやすい。何より、親しみやすさの長たるソース焼きそばまである。中華焼きそばではなく、ソース焼きそば。このセレクトが最高だなと思った。「中野住まいで『松㐂まつき』によく顔を出していたから、この近くでお店をやれたらなあと思っていて、そしたらちょうど物件があいたんです」。なじみのある町で、店主が目指すのは〝街の中華屋さん〟だという。だから皿のすみずみまで飾り気がなくて、まさに日本の中華という感じがするんだ。花の先のガラス窓には勢いよく通過する総武線が映る。中華と花、日常と非日常が交錯する、素敵な空間だった。


店主の田口雄一さんが2018年8月にオープンした中華店。店内には奥さまのmemeさんが手がけるオーダーメイドの花屋「LOVELETTER」も同居する。ビルは取り壊しが決まっており、この場所での営業は2019年3月31日まで(予定)とのこと。

「湯気」
住所: 東京都中野区中野2-23-1

Tel: 070-3861-8300
営業時間: 18:30〜24:00(22:30LO)
: 不定休

「南方中華料理 南三」ナンポウチュウカリョウリ ミナミ
荒木町

右上から時計まわりに イノシシ肉団子ポルチーニ、ブリの焼きナシズシ、カキシャーベット桃樹液杏仁、トリュフXO醤エビシューマイ、冷菜、カラスミビーフン、オオタニワタリの炒め、珍味盛り。

雲南、湖南、台南の、
南方中華の破壊力。

オープンしてすぐ好事家の目に留まり、たちまち予約が取れない中華店になった「南方中華料理 南三」。この店の何がマニアを惹きつけたかといえば、それは店名の〝南三〟の由来でもある雲南、湖南、台南の3つの中華の融合だ。国は異なるけれど緯度的にはほとんど同じ3つの地域を南方と呼び、独自アレンジを繰り出しまくっている。何やらブリにのっているのは発酵させた麹に、台湾のスパイス、馬告を加えて和えたナシズシ。肉団子に使ったのは丹波の猪で、スネ肉を入れて硬さを出した。炒めものに入っていた葉はオオタニワタリというシダ科の一種で、噛むとシャリシャリ音がする。台湾ではベーシックな食材らしい。なかでも定番は、店仕込みの珍味盛り。羊肉を使ったウイグルソーセージに、スモークした鴨の舌、そしてパリパリに仕上げた大腸がどっさり。

「バーの居抜きで、火力が弱くてコンロはひとつしか使えない。限られたスペースで手際よく料理をつくるには、燻製や発酵を使って工夫するのがちょうどいいんですよ」と店主は愛でるように燻製肉を眺めた。もはや相棒だ。最後に出てきた季節のシャーベットにも、桃の樹液という初めて聞く食材が。桃の木からとれる凝固した樹液を、ひと晩湯につけて戻し、寒天よりすこし硬いくらいのゼラチン状態にしたもの。桃の香りと食感が忘れられない。次の予約をするしかなさそうだけど取れるかな。


予約詳細はFacebookで告知。店主の水岡孝和さんは「メゾン・ド・ユーロン」や「御田町 桃ノ木」、「黒猫夜銀座店」の料理長を経験し、白金「蓮香」で働いたのちに2018年5月に店鋪をオープン。おまかせコース ¥5,400(税込み)から。

南三
住所: 東京都新宿区荒木町10-14 伍番館ビル2F B

Tel: 03-5361-8363
営業時間: 18:00〜21:00
: 日祝

Photo: Tomo Ishiwatari Text: Neo Iida Cooperation: Akiko Matsuki

GINZA2019年1月号掲載

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