11 Feb 2018
ステキな床を見ながらご飯が食べたい!おいしい床探し〜イタリアンタイル編〜

ふと入った店で、凝った柄の床材が使われているとつい見入ってしまいます。劣化を恐れず果敢にも洒落た床材を選んだ店には拍手を送りたくなる。
そんなステキな床とおいしい食べ物をご紹介。今回ピックアップするのは、丈夫で大振りの柄が多いイタリアンタイルの床の2店。どちらも創業50年越えですが、床だけでなく建材すべてに思い入れを感じる色褪せないステキなお店です。
贅沢な内装、優しい味のパン。「木村屋」のポップなタイル
いかにも“町のパン屋さん”といった雰囲気の「木村屋」があるのは、都営三田線の板橋本町駅と本蓮沼駅のちょうど中間。「イナリ通り」というちょっとした商店街があって、そこがまたかわいらしい個人商店がちょこちょこあるのですが、中でも「木村屋」は、とびきりかわいいらしい。
天井ひとつ見上げてみても、この様子。照明は2種とも凝ったシックなデザイン、天井のパネルの白いドットはシェルが埋め込まれたもの。さらに金色に輝くクロスと、金具はおそらく真鍮ではないでしょうか。うーん、ラグジュアリー!
ポップな花模様のイタリアンタイルの床に、少し小さめの花模様のタイルの壁。
明治時代に東京・京橋で創業し、戦時中に埼玉へ疎開したのちにこの場所へ移って来たそうで、現在の店舗は1979年に建てたもの。
「タイルはみんな外国製と聞いてますよ。とにかく先代が内装にお金をかけたから、建て替えることなく今もお店やれてるの!」とお店の方。
レジの後ろにあるガラス張りの“クッキングコーナー”の壁のタイルもキュートです。(ガラスシール、ゴールドの文字も良い)
肝心のパンですが、昔からお値段据え置きの170円で買える“サラダパン”を始めとしたお惣菜パンがウリ。
みっちりと詰め込まれたポテトサラダの具材がたっぷりなのも嬉しいところ。クロワッサンにクリームを挟んだ“スノー”は、クリーム(白)が230円、クリーム(チョコ)は240円。こってりとした甘さで食べ応えアリです。
それにしても、美しい細工が施されていて、トレイまでステキ。一緒に買って帰りたくなっちゃいます。
【木村屋】
TEL:052-971-1641
住所:東京都板橋区宮本町16-8
営業時間:9:30〜20:30
定休日:日曜(用事があったら祝日もお休みします)
まるでミュシャ作品!「ペリカン」の繊細なデザインのタイル
名古屋は栄のど真ん中に栄町ビルという、いいビルの地下にある「ペリカン」。ビルが建った1964年からこの場所で営業し続けているサンドイッチがウリの喫茶店です。こちらの床は繊細なアールヌーヴォー調のデザイン。
動線に沿って少し色が落ちてますが、テーブルの下などはまだまだはっきりと色が残っていて、そのグラデーションも美しい!
こちらも床だけでなく、ちんまりとした背もたれが可愛らしい革張りの椅子や、カーテンやパーテーションなどの什器も凝っています。
床とはテイストが異なるオプティカルなカーテンを、すっきりとしたデザインの家具がうまく中和している感じ。この絶妙なMIX感、ファッションの参考にしたいですね。
栄町ビルそのものも、とてもステキなビルなので「ペリカン」とともに、ぜひチェックを。
栄町ビルのお向かいに建つ、素晴らしい壁画のある丸栄百貨店の再開発に向けた今年6月30日で閉店の話を受け、栄町ビルにもそんな噂が流れていますが、今のところは取り壊しの予定はなし、ということ。
「このビルがある限りはまだまだ頑張りますよ!」と、お店の方も話してくれたので、ステキな床を眺めながら、サンドイッチを頬張りに通いましょ!
この日は朝早く行ったので、サンドイッチではなくモーニング。
名古屋の喫茶店は、朝は大概、飲み物にパンやゆで卵がついてきます。
【ペリカン】
TEL:052-971-1641
住所:愛知県名古屋市中区錦3-23-31 栄町ビルB1
営業時間:8:00〜18:00(でも疲れたら明日のことを考えて17:00で閉めちゃう)
定休日:日曜
◾︎前回のおいしい床探しはこちらです。
西村依莉 にしむら・えり
編集者・ライター。ファッション誌・ライフスタイル誌を中心に活動しつつ、高度経済成長期のステキな建築や街の風景を日々記録している。グラフィック社から『足の下のステキな床』(グラフィックデザイナーの今井晶子、フォトグラファーの奥川純一との共著)、大福書林から『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』(東京ビルさんぽ名義での共著)が発売中。
Edit&text: Eri Nishimura