30 Jan 2017
アイスにオリーブオイル? 油は魔法の調味料 ー あなたの食「おこだわり」教えてください。青木絵麻さんのデザートにオイル編

「そ、そんな細かいところまでこだわる!?」という「おこだわり人」を紹介する人気マンガ『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(清野とおる著/講談社)に深く敬意を表し、険しく高い「食の道」を究めんとする人々の「おこだわり」を徹底調査。
油は魔法の調味料。
たった一滴たらすだけで
劇的に変化するので、
デザートに使ってこそ上級者
青木絵麻≫
浅草橋の「金田油店」の店主。植物油のコンシェルジュ。著書に『油屋店主の旨いものレシピ 油屋ごはん』(アスキー・メディアワークス)。
「学生時代から世界の油や調味料、スパイスに興味があったんです。物心ついた時は自然にオイルを使っていたし、あれこれ試したくなるので今までにオリーブオイルだけでも数百種類は使ったと思います。金田油店で働くようになってからは、さらに油の奥深さや種類、美味しさにはまり、油ひとつで、料理の印象がガラリと変わることに驚きました。これは悪い癖かもしれませんが、どこかに食事に行くと、隙あらば油は何を使っているか、お店の人から聞き出そうとします(笑)」
〝油売りエマ〟のニックネームで知られる青木さんは、明治3(1870)年より続く老舗「金田油店」の大黒柱。油が好き過ぎて、植物油を使ったおつまみレシピをブログで紹介していたら、瞬く間に人気を呼び、書籍化までされた。そんなエマさんだが、最近ブログに異変が! と、ファンの間で心配されている。どうも油使いが度を超えているらしい。
「そうですかね〜、自分じゃわからないですけれど……。たしかに最近はデザートにも油をかけたい衝動に駆られています。きっかけはアイスにオリーブオイルを一滴かけて食べたら劇的に美味しかったから。油は、原料のエッセンスがギュッと濃縮されているので、たった一滴たらすだけで淡白なものから濃厚なものまで飽きずに最後まで食べられるようになるんです。フルーツを使ったものには爽やかな風味のオイルを、甘ったるいものには辛いものをアクセントに、濃厚なものにはナッツ系をと、ちょっとしたスパイスとして使うといいと思う。最近試した自信作はこの3皿。チョコテリーヌとパンプキンシードオイルは、甘芳ばしい香りがチョコと合うんです。ミルクプリンに山椒香味油は、イチゴの甘さを山椒がさらに引き出してくれる。イチジクとチーズとピスタチオオイルは、チーズとナッツで相性いいでしょう? それにどれも見た目がキレイ。でも油の摂りすぎは危険なので、少しずつかけてくださいね」
意外や意外、デザートに油、アリかも……。
ソースや生クリーム代わりに。
良い油こそ、デザートの仕上げに使いたい
チョコテリーヌとパンプキンシードオイル
*USED OIL*
ヘンリーラモット パンプキンシードオイル
オーストリアの伝統油、ぺポカボチャの種子を搾ったもので、良質なタンパク質とミネラルが特徴。風味が良く、チョコ系のデザートと好相性。183g ¥1,800
ミルクプリンに山椒香味油
*USED OIL*
紀州 完熟山椒香味油
市場に出回っていない貴重な完熟のぶどう山椒を石臼で挽き、米油と合わせたもの。きれいな赤い色味と落ち着いた和の辛味が楽しめる。97g ¥1,100
イチジクとチーズとピスタチオオイル
*USED OIL*
ポドル ピスタチオオイル
100%天然原料のピスタチオをローストし、その実から搾ったもの。芳ばしくナッツの風味が豊かでリッチ感があるので料理やデザートに大活躍。91g ¥4,300
Photo: Yoko Tajiri
Cooking&Styling: Keiko Natsui
Text&Edit: Emi Suzuki
Illustration: Kahoko Sodeyama
Cooperarion: Chiho Ohsawa, Nami Inoue, turedurehanako
GINZA2017年1月号掲載