荒木町の街角に佇む「スナックアーバン」の名物ママ、臼井はるかさんが作る料理は、奇をてらっていないのに、どれも絶品だともっぱらのウワサ。お店で料理は出さないけれど、お客さんに頼まれた貸切イベントやホームパーティーで振る舞うママの料理があまりにもおいしくて、じわじわとファンが増殖。2・3年前から月に数回料理教室(こちらも会員制なので悪しからず…)を開いて、その腕前を披露している。料理は、中華とタイ料理が中心。時には皮から作る鍋貼餃子、またある時はチェンマイのソーセージ「サイウア」。一見難しそうだけど、オリジナリティあふれる抜群の料理センスで作り上げる簡単レシピで、あっという間に本場のシェフ顔負けのプロ味に仕上げる。そんなママに今回教えてもらうのは、超簡単ピリ辛調味料。
「夏だし、テーマは唐辛子。唐辛子を主役に、なんにでも合う2種類の調味料を作ります。これをかければどんな料理も、気楽でおいしいエスニック風の味付けに! 何かひと味足りないときや、唐辛子パワーで夏バテ予防にもピッタリ。今回使うのは3種類の唐辛子。韓国の唐辛子の粉末、タイの唐辛子の粉末、そしてタイ料理によく使われる『プリッキーヌ』と呼ばれる激辛唐辛子。唐辛子は新大久保の『アジアスーパーストアー』や錦糸町の『タイランド』で買うことが多いかな。品揃えが良くて好きなの」
「まずは手作りのラー油から。キムチを漬ける時に使う色鮮やかで、香ばしい韓国の唐辛子と、辛さが際立つタイの唐辛子を同量入れます。2種類使うと、味に深みが増しコクが出るから。そこに麻婆豆腐にも使われる花椒(ホァジョー)の実を加えると、さらに風味が良くなります」
「唐辛子の3倍くらいの量のサラダ油をフライパンで熱します。油の温度が高すぎると唐辛子が焦げるので、ニンニクの切れ端を油に投入し、ニンニクが少し色づくくらいの温度がベスト。そしたらアツアツの油を、先ほどの唐辛子にかけるだけ。パチパチといい音がして、香りが立ってくるでしょう。これで自家製ラー油の出来上がり。市販のラー油と違って、余計なものを一切入れずに作っているからシンプルでおいしい。常温で1ヶ月くらい持つかな」
「このラー油はなんにでも合うんだけど、そうね、たとえばアサリ蒸し。フライパンにサラダ油、唐辛子とニンニクのみじん切りを入れて弱火で炒めて、香りが出たら砂抜きしたアサリを投入。紹興酒(日本酒or白ワインでもOK)を加え、蓋をして蒸し焼きに。あさりの口が開いたら、ラー油をかけて完成。香りも良いし、お酒が進む進む! このラー油は、冷奴やおひたし、卵かけごはんにも合うし、スーパーやコンビニで買った餃子やシュウマイなど、何の変哲もない惣菜にかけるだけで、世界が一瞬で変わります(笑)」
「次は、タイ料理の味のベースとなる調味料プリックナンプラー。材料は、プリッキーヌ、レモン、ナンプラー。ナンプラーは、バランスブランドのゴールドラベルが日本で買えるナンプラーでは一番おすすめですね。」
「まず唐辛子を細かく刻みます。プリッキーヌは冷凍で売られていることが多いけど、凍ったまま使って大丈夫。次にレモンも皮付きのままザクザクと切ります。ほどよい苦みがあるし、見た目もかわいいから皮付きがおすすめ。その2つを器に入れて、その上にナンプラーをかけるだけで出来上がり。分量は、自分好みの辛さや酸味に合わせて調整してOK」
「プリックナンプラーは、多めのサラダ油で、卵を揚げ焼きにしたタイ風の卵焼きにかけると激ウマ。揚げ物と相性抜群なので、唐揚げにかけてもおいしい。この2種類の調味料があれば料理の幅はグンと広がるはず。それにたとえばホームパーティーの時とかに、材料だけ持参してその場で作ったら、みんなのテンションも上がるだろうし! 料理とまではいかないけれど、これがあるだけで普通の料理が5倍くらいおいしくなる、そんな万能調味料ですね」