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森 星 × 旬の野菜 「半径5mのサステナブル」VOL.6「ぬか漬けのおもしろさ」について、有元葉子さんとトーク

森 星 × 旬の野菜 「半径5mのサステナブル」VOL.6「ぬか漬けのおもしろさ」について、有元葉子さんとトーク

料理研究家の有元葉子先生に、夏野菜のぬか漬けで楽しむ料理を教えていただいたあとの2人のプライベートトーク、どうぞお楽しみください。


〝自分で感じとる〟センスを
ぬか床が鍛えてくれる

森 星「夏野菜のぬか漬けは、野菜本来の甘みや旨味がしっかり残っていながらも、生で食べるより体に染み渡るようなおいしさで…。暑い日や疲れた日にもいいですね」

有元葉子「そうよね。いろいろ漬けてみると楽しいと思いますよ」

森 星「ぬか床づくりはずっとやってみたいと思っていたんです。今日は初めてぬかを触ることができて楽しかった!そういえば、最近、能登のほうでMy田んぼを始めまして」

有元葉子「あら、My田んぼなんてすごいわね!」

森 星「お米ができる過程を知りたくて。このあいだ田植えをしたんですけど、そのときの泥の感触もすごく心地がよかったんです。今日、ぬかを混ぜているときに、その感触を思い出しました。やっぱり〝自分の手で触る〟っていいですよね」

有元葉子「そうよね。特にぬか床を混ぜているときって無心になれるし、ぬか床をきれいに整えると心がすっとするのよね」

森 星「確かに、ぬか床に触れているとメディテーションみたいに、気持ちが整う感覚がしました」

有元葉子「ぬか床は生き物。目には見えないけど、私たちがこうしている間にも、乳酸菌や酵母が刻一刻と変化しているから毎日状態が変わるのね。だから、毎日欠かさずにお世話をするのが大事なんです」

森 星「菌とか酵母とか発酵とか〝目に見えないもの〟ってたくさんありますもんね」

有元葉子「そうね、ほとんど見えないもの、と思ったほうがいいかもしれないわね(笑)。私たちに見えているものなんてほんの少しだから、あんまりそこに気をとらわれないほうがいい。見えないもののほうがおもしろいから(笑)。たとえば、私はぬか床って〝触って気持ちがいい〟ものがいいと思うの。そういうぬか床で漬けたものは、やっぱり食べてもおいしい。ぬか床は自分の中の〝感覚〟を研ぎ澄ますのにとってもいいのよね」

森 星「そういう感覚、私もブラッシュアップしていきたいです!」

漬物を持つ森星

日本の食の根本である「稲」は
捨てる部分のない、素晴らしいもの

有元葉子「それから、ぬかというのは、玄米を白米にするために精米すると必ず出るものなんだけど、これを廃棄物としてしまうか、有効活用するか、で結果は180度変わってきます。たとえば、ぬか床として有効活用してぬか漬けやたくあんにすれば、ごはんをよりおいしく食べられる一皿になるけれど、ゴミにしてしまえば何の発展もない。ぬかもお米も稲からできたもので、元が同じというのもおもしろいわよね」

森 星「確かに!ぬかは、ぬか床以外にもいろいろ使えるのですか?」

有元葉子「もちろん!ぬかはとっても便利なのよ。野菜作りの肥料の元にもなるし、家畜の飼料にもなる。また、ぬかを布袋に入れて、これを〝ぬか袋〟というのだけど、家具や床を磨くといいツヤが出るの。ぬかは、捨てるものではなく活用すべき、とても優秀なものなのね」

森 星「そうなんですね!野菜作りもしているので、肥料として使ってみたいです」

有元葉子「いいと思うわよ。それから、米はぬかだけでなく、稲わらも使えます。納豆は稲わらについた菌で作るし、麹は稲の穂についている菌を元にして作られる。しょうゆ、味噌、酒、酢、みりん…毎日使うような身近な調味料も、米なくしてはできません。さらには、稲わらを野菜の根元に敷けば、美味しい野菜作りに有効です」

森 星「本当に捨てるところがないんですね」

有元葉子「そうなのよね。日本の食の根本は稲にあり、おいしいものの大元は米にある。ぬか床のことをつらつら考えると、日本の食の最も大切なところが見えてきます。日本にはもともと、こんなに素晴らしく、サステナブルなものが根付いているのだから、受け継いでいかないともったいない。パン文化に偏ることに警鐘を鳴らしたいと思っています」

大根の葉を落とす

受け継ぐ、混ぜる、情報交換をする。
ぬか床は優れたコミュニケーションツール

森 星「ところで、先生のぬか床はお母様から受け継がれたものなんですか?」

有元葉子「そうね、もう何十年と前に。ただぬか床は毎日変化しますし、漬けた野菜を取り出すときにぬかも一緒に出てしまうので、ぬかを足したりもしていて、もちろん受け継いだときとは全く違う状態ですけど」

森 星「お母様のぬか床を受け継ぐって、すごく素敵なことですよね。そんなヒストリーがあるなんて、なんか感動しちゃいます…」

有元葉子「そうね。人の手にはそれぞれの酵母がついているし、温度や湿度など家の環境も人それぞれ。だから同じぬか床でも、だんだんその人らしいぬか床に変化していくのよね」

森 星「それもおもしろいですね!先生のぬか床は、娘さんたちも受け継いでいるんですか?」

有元葉子「娘が3人いるんだけど、受け継いだ子もいるし、勝手にやっている子もいて。ロンドンに住んでいる娘は勝手にやっているわね(笑)」

森 星「すごい、ロンドンの風を浴びたぬか床!」

有元葉子「ほんとね(笑)。どんな味になっているのかしら。そういえば、うちは私を含め3人のスタッフでお仕事をしているのだけど、みんなぬか漬けをやっているのね。それでたまに3人でぬか床を持ち寄って、全部合わせて混ぜちゃうの。そうすると、不思議とすごくおいしくなるのよ」

森 星「へー、すごい!いいチームワーク!」

有元葉子「おもしろいわよね。きっといろいろな菌が混ざり合って、奥深い味になるのよね」

森 星「なんだか人間関係みたいですよね」

有元葉子「そうね、その人のことを信頼できるから、ぬか床も混ぜられる。絶対に、この人はちゃんとお世話しているなっていう」

森 星「そうですよね、この人の生活心配…っていう人だと混ぜたくないですもんね(笑)」

有元葉子「そうそう(笑)。悪い菌が入ると、せっかく育てた自分のぬかがダメになっちゃうから」

森 星「そう思うと〝ぬか床を混ぜられる仲〟って、素晴らしい関係!いいコミュニケーションツールでもあるんですね」

有元葉子「それがおもしろいのよね。自分とぬか床もコミュニケーションをとるけど、ぬか床を育てている人同士のコミュニケーションもある。ぬか床が酸っぱくなってきちゃったとか、いろいろな悩みも出てくるし、ぬか床談義って尽きないの(笑)」

森 星「興味深い!ぬか床って、すごくクリエイティブだし個性が出るものなんですね。自分のぬか床をどうやって育てようか、楽しみになってきました!」

森星 もり・ひかり

1992年生まれ。東京都出身。モデルとして国内外で数々のファッション誌や広告などで活躍。明るく天真爛漫なキャラクターで2015年から「公益財団法人プラン·インターナショナル·ジャパン」のBecause I am a Girlエンジェルに就任。また、発酵人の田上彩氏らとともにサステナブル・フードトラック「edain」を運営。「farm to table(新鮮でオーガニックな食材を、農場から食卓へ)」をテーマに、体にも環境にも優しい食を提供している。公式YouTubeチャンネル『Hikari Mori』では、自身の見ている世界・価値観をシェアするための、さまざまなコンテンツを配信。

Instagram: @hikari
YouTube:『Hikari Mori

有元葉子 ありもと・ようこ

料理研究家。3人の娘を育てた専業主婦時代に、家族のために作る料理が評判となり、料理家の道へ。素材の魅力を引き出したシンプルでおいしい料理、洗練されたライフスタイル…。本質を見極めた軽やかな生き方は、多くの女性の憧れの的。著書に『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』(SBクリエイティブ)、『「使いきる。」レシピ』(講談社)など多数。

公式サイト: https://www.arimotoyoko.com/
Instagram: @arimotoyokocom

Photo: Keiko Nakajima Hair&Make-up: Mifune(SIGNO)  Edit&Text: Sayoko Imamura

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