15 Jul 2020
浅草「銀座ブラジル」:熱々フライドチキンと心配りのおもてなし【あの人の行きつけ喫茶店】

ちょっぴりハードルが高そうだけど、扉を開けると楽しい時間が待っている。それが喫茶店のロマンだったり…。今回は長谷川昭雄さんにお気に入りを尋ねてみました。ここでしか聞けない推薦者からのコメントに注目!
浅草
銀座ブラジル
推薦者:長谷川昭雄
(スタイリスト、ファッションディレクター)
作り置きをせずに
いつでも揚げたて
手編みの竹皮ザルに山盛りにされた元祖フライチキンバスケット(¥1,100/写真1枚目)は57年前からの看板メニュー。丹念に研いだ包丁で、鶏むねの筋目に対して斜めに切り込みを入れておき、注文を受けたら鶏肉にパン粉をまぶして揚げる。マヨネーズも自家製だ。
この店に25年ほど通う長谷川さんも、このひと皿の虜。「チキンがとにかくやわらかい。塩を振りかけてフライチキンだけを堪能した後に、付け合わせのピクルスとパンにのせていただきます」と、食べ方にもスタイルがある。チャキチャキの2代目ママの梶冨美子さんと3代目オーナーの純一さんがもう一つ大事にしているのはいつまでもアツアツのコーヒー (¥400/写真1枚目)だ。マグカップを常に湯で温める習慣を、半世紀以上を経ても守り続けている。浅草の暮らしが息づく新仲見世商店街で全50席を用意。窓際のテーブルを陣取ってアーケードの活気を眺めるひとときも楽しい。
《私ここへ通ってます》
長谷川昭雄
(スタイリスト、ファッションディレクター)
僕は同じ店にしか行かないんです。いつもの場所で仕事について考えに耽っています。師匠の喜多尾祥之さんの行きつけで、アシスタント時代によく連れて行ってもらいました。店の名が示す通り、かつては銀座にも店舗を構えていたそうです。時を刻んだ喫茶店ならではの雰囲気と、おいしさをキープするためのさりげない心配りもいい。ちなみに1年前まで1階は「シカゴ靴店」が入っていて、銀座・ブラジル・シカゴの地名が同居するカオスさも浅草らしくて気に入っていました。
《銀座ブラジル》
住:東京都台東区浅草1-28-2 2F
TEL:03-3841-1473
営:9:00〜17:00
休:水
長谷川昭雄 はせがわ・あきお
2012年から6年半、『POPEYE』のファッションディレクターを務めた。現在はウェブマガジン『AH.H』をHOUYHNHNMと立ち上げ、「普通」をテーマにしたスタイルを毎週提案している。
Photo: Masanori Kaneshita Text: Mako Matsuoka, GINZA
GINZA2020年5月号掲載