“FOODIE”なあの人を誘って
#08
Hone
[新泉]
目と舌で楽しむ
クリエイティブな時間
渋谷・円山町周辺は、いまフーディたちが集まるエリア。入り組んだ細い路地に洒落た飲食店が増えている。目印はオレンジの小さな看板だけ、という「Hone」もそのひとつ。古い和食店を自分たちでリノベーションした建物は、1階はキッチン&バー、2階がレストランに分かれている。木の温かみとモダンなインテリアが調和した空間は、洗練されているけど緊張せず、心地がよい。
若きシェフの富田涼さんは、フレンチやイタリアンで腕を磨いてきた。メニューを見ると、正統派フレンチや季節のパスタもあれば、ワカモレ、フライドポテトなど、カジュアルな小皿も並ぶ。
メインの牛サガリのローストは、赤身肉に添えられるイチジクやビーツまで赤のトーンで統一されて美しい。人参のピュレ、フォンとマルサラ酒を煮詰めた甘みのあるソース、マスタードなど4種類が添えられていて、最後の一口まであっという間。香ばしさと少しの苦味を含んだパウダーは、玉ねぎをオーブンでローストし粉末にしたもの。「産地から送ってもらう美味しい野菜を余すことなく使い切りたくて」と、富田さん。実はここ、母体がデザイン会社。そこのスタッフたちもアイデアを出し合い、ヴィジュアルブックなどから着想を得て、料理を考えることもあるのだとか。だからアートのような一皿が生まれるのだ。
ドーナツみたいな円卓や窓際のテーブルなど、それぞれ異なる雰囲気の席も魅力。今度はあそこを狙って予約してみよう。