“FOODIE”なあの人を誘って
#09
L’Atelier de Stand Bánh Mì
[自由が丘]
摘みたてのハーブや自家製ダレで
唯一無二のベトナミーズに
フレンチコロニアルな外観、ホーリーバジルやコブミカンなどが植えられた庭……。パリのベトナム料理店を彷彿とさせるここは、学芸大学の「Stand Bánh Mì」を手がける白井瑛里さんが開いた。アンティークやクラフトの家具に囲まれ、足を踏み入れた途端バカンス気分になる。
「多様な文化の影響を受けているベトナミーズの〝カオス感〟を大切にしながら、他にはない一皿を出したい」と、有機や無添加を軸に素材を仕入れ、スウィートチリやヌクチャムなどの調味料も全部手作り。鶏ガラスープは、10時間かけて煮込んでいるそう。だから生春巻きやフォーなどの定番も、ここにしかない味になる。
白井さんがとりわけ強い思いで向き合っているのが新潟産の米麺。「年々米の消費量が減っていると農家さんに聞いて、同じ米文化を持つベトナムの麺という形で広げていけたらと開業を決めたんです」。乾麺と違って生だから、喉越しはツルツル。ベトナム南部の郷土料理をアレンジした汁なし混ぜ麺「フーティウコー」は、黒酢がしっかりと効いていて、自家製チャーシューや空芯菜のナムルなど具もたっぷりだ。
そのインパクトに目を奪われたのは、スペシャリテのローストチキン。大阪の農家から仕入れるレモングラスのソースで下味をつけた大山鶏は、低温のオーブンで焼き、しっとりジューシーに。スパイスとニンニクが効いて、魅惑の香りに包まれる。自然派ワインの名店「メリメロ」で働いていた白井さんがオススメする一杯がこれまたいいと、あの人に教えてあげたい。