08 Jul 2019
【アルテレーゴ:神保町】フードジャーナリスト渡辺紀子お墨付き、東京NEW OPEN

ALTER EGO
[神保町]
スープとペアリング!?口中調味で楽しむイタリアン
神田神保町に、黒塀に杉玉がぶら下がる一軒家がある。和食店に見えるが、ここが、話題のイタリア料理店「アルテレーゴ」だ。店名は「分身」の意。イタリア・ミラノのミシュラン一ツ星「TOKUYOSHI」の徳吉洋二シェフが日本に開いた、まさに「分身」店である。
10皿のコースは、思わず「きゃっ、かわいい」と叫んでしまう「ピッツァ デリバリー」から始まる。この一品だけスープがつかないが、コースはミラノと同じスープペアリングで進んでいく。ワインやお茶ならよくあるけれど、スープとは珍しい。たとえば、鰹のヅケと24カ月熟成の生ハムの組み合わせ「鰹 生ハム」には「ケッパー 台湾胡椒」のスープを。「ケッパーと水だけでとった出汁に、爽やかな香りの台湾胡椒を加えています。味の余韻が長い、生ハムと鰹の香りを収め、次の料理をしっかり味わってもらうのが、このスープの役目」と、平山秀仁シェフ。こんなふうに、香りを際立たせる、余韻を残す、あるいは余韻を切る、まろやかに、あるいは刺激的に、など……。さまざまな役割を与えられたスープの味や香り、温度が、口の中で料理と合わさって、今まで経験したことのない新しい味の世界が拓けていく。特別な日に訪れたい1軒である。

アルテレーゴ
住: 東京都千代田区神田神保町2-2-32
Tel: 03-6380-9390
営: 18:00〜、20:30〜の一斉スタート
休: 日/15,000のスープペアリングコースのみ。
渡辺紀子 わたなべ・みちこ
『アンドプレミアム』『ブルータス』などの食の特集でおなじみのフードエディター。「Pさん」という愛称で慕われている。
Photo: Yoichi Nagano Text: Michiko Watanabe
GINZA2019年7月号掲載