03 Oct 2019
【SOUTH LAB 南方:錦糸町】フードジャーナリスト渡辺紀子お墨付き、東京NEW OPEN

SOUTH LAB 南方
[錦糸町]
まるで香港そのままの
本格中華をワインと味わう
日本ではめったにお目にかかれない脆皮炸子鶏(クリスピーチキン)。メニューにあれば、何としても注文したい一品だ。この店のスペシャリテでもある。龍崗鶏(ロンコンカイ)と同じ品種の雌の若鶏で作るのだが、この鶏、足が短く、皮が薄く脂の旨みが強いのが特徴だ。軽く下茹でし酢と香辛料を塗り、4〜5時間から一晩吊るして乾かし、熱い油を何度も何度もかけながら火を通し、皮はパリッ身はしっとりジューシーに仕上げていく。これがもう、ワインもおしゃべりも忘れて、夢中で食べちゃうおいしさだ。2人で半羽は軽い。
店名は、香港、広東、潮州といった中国料理に加え、マレーシア、タイ、ラオスなど南方料理も楽しめる意。だから、メニューには、鶏白子ペースト揚げや魚の姿蒸し、鳩の醬油煮もあれば、ガパオやパクチーサラダなどエスニック風味の料理も並ぶ。シェフは「銀座 福臨門」で腕をふるっていたトミーさん。自家菜園の野菜をはじめ日本の食材に、香港から取り寄せる咸魚(ハムユイ)なども華を添え、バラエティ豊かな内容になっている。ワインは自然派中心のよくできたセレクションで、ペアリングも可能だ。
錦糸町で香港に行った気分が味わえる。いやぁ、おいしかったと大満足できる。

SOUTH LAB 南方:錦糸町
住: 東京都墨田区錦糸3-7-3 オフィスナカジマビル1F
Tel: 03-6658-5299
営: 火〜金18:00〜22:00、土12:00〜22:00(日〜21:00)
休: 月
渡辺紀子 わたなべ・みちこ
『アンドプレミアム』『ブルータス』などの食の特集でおなじみのフードエディター。「Pさん」という愛称で慕われている。
Photo: Yoichi Nagano Text: Michiko Watanabe
GINZA2019年10月号掲載