一晩で完成、簡単ザワークラウト。平松洋子「小さな料理 大きな味」Vol.9

一晩で完成、簡単ザワークラウト。平松洋子「小さな料理 大きな味」Vol.9

小さな料理  大きな味 ⑨

酢漬けキャベツ

ザワークラウトというドイツの家庭料理と出会ったのは、十代だった。

外国の物語のなかで知ったのだが、キャベツの漬物だという。へえ、ドイツにも漬物があるのか、と新鮮に思った。身近なキャベツのイメージが一新された気がしたのである。ちょうどその頃、母が買いそろえていた世界の料理シリーズのドイツ編でもザワークラウトを発見し、厚くて大きなガラス瓶にキャベツのせん切りがみっしり詰まっていた。

このところ欠かさず作っているキャベツの酢漬けは、そのザワークラウトの簡単バージョンである。ザワークラウトは、漬けこんだキャベツをじわじわ乳酸発酵させたもの。いっぽう、こっちの日数短縮版は、せん切りに酢をかけ、ショートカットして酢漬けにするというもの。気が短くてすみません、とも思うのだが、ひと晩置いたらさっそく手軽に使えるので、とても便利なのだ。


【材料と作り方】

①キャベツ半分をせん切りにし、ボウルに入れて塩小さじ2ほどまぶし、30分ほど置く。

②いったん洗って水切りする。

③保存容器に移し、全体が浸るくらいの酢を注いでから、ゲンコツで全体をぎゅうぎゅう押す。小口切りにした赤唐辛子を加える。


冷蔵庫にすぐしまわず、ひと晩かならず室温に置くのは、多少なりとも「乳酸発酵ヨロシクオネガイシマス」の気分を注入したいから。じっさい、たしかに味がこなれる。

手間いらずのインスタント漬物なのに、使える使える。サンドウィッチにはさむ、サラダに混ぜる、じゃこやハムを混ぜて一品にする、何にでも。ソーセージや豚肉といっしょに炒めたり、トマト風味にして煮たりもする。酸っぱいキャベツは、火を通すとぐーっと滋味が湧いてくるところも偉大だ。

私の気に入りは、この酢漬けキャベツをメインにしたお好み焼きです。四、五日経ってとろんとしてきたのをどっさりボウルにいれ、卵一個、小麦粉ほんの少し。キャベツのタネをフライパンに流し入れ、両面をこんがり焼いて丸いお好み焼きに仕立てる。焼き上がったら、かつおぶし、青海苔、ウスターソース。しゃきっと酸味の効いた軽やかなお好み焼きのおいしいこと。やみつきになって以来一年、ぜんぜん飽きません。

平松洋子 Yoko Hiramatsu

エッセイスト。食や生活文化を中心に、のびのびとした親しみやすい文体で執筆。『おとなの味』(新潮文庫)、『忙しい日でも、おなかは空く。』(文春文庫)、『野蛮な読書』(集英社)など。近著は、立ち食いそば文化に正面から挑戦した『そばですよ 立ちそばの世界』(本の雑誌社)。

Illustration: Toshiyuki Hirano

GINZA2019年2月号掲載

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