小さな料理 大きな味 ⑭
フルーツ寒天
カワイイものに出合うと胸がきゅんきゅんして少女の頃にワープする、いくつになっても。
もうじき初夏がやってくるからかな。つるん、ひんやり、あのカワイイ味が恋しい。
フルーツ寒天を作ろう。
思いついたら気が急いて、すぐ粉寒天を買いに行った。寒天は1年ぶり、いやいや2年ぶり。たしかあのときは野菜の寒天寄せを作ってみたくなったのだ。ひとつに固めたい欲って急浮上するんだろうか。でも、今日はちょっと違う、キーワードは「カワイイ」。明るい色彩が踊りながら誘いをかけてくる。
粉寒天を買ったあとフルーツ売り場に回ると、おあつらえ向きの品物を見つけた。フルーツの小さなパック500円。パイナップル、いちご、グレープフルーツ、りんご、みかん、キウイがひと口ずつセットになっている。これよ、これこれ。透明な寒天のカラフルな断面が早くも目に浮かび、スーパーの片隅で夢見心地だ。
久しぶりの寒天だから、箱に書いてある説明書きを読みながら、手順を追って作った。でも、とても簡単。