小さな料理 大きな味 ⑮
にらの味噌汁
疲れたときのオマジナイは何ですか。
私の場合は「お風呂に浸かる」「とにかく寝る」。この二本柱にすがりついている。いやいや、寝るだけじゃあ何の解決にもならないのでは?と思われるかもしれないが、案外そうでもないんですよ。充分な睡眠は立ち直りの素。思い悩んでいるとどんより黒くなってくるので、とにかく布団のなかへGO。寝ればかならず朝がやってくるのがこのオマジナイのいいところ。コマが次に進んでいる。
食べるオマジナイとしてまっ先に思い出すのは、にらの味噌汁だ。
もう長年すがっている。元気なときは鼓舞してくれるし、元気じゃないときは労ってくれるこの熱い一杯は、夏の元気の素でもある。
にらの匂いが気になるという人もいると思うのだが、ぜひこの方法を試してみてください。
【できるだけ細かく刻んで、5〜10分ほどそのまま置く】
にら独特の強い香りが空気になじんで揮発し、ぐっと柔らかくなる。ずいぶん以前、中国の広東の人に教えてもらったこの方法は、「とにかくできるだけ細かく刻む」。細かければ細かいほど柔らかな香りに変わるというのが、その理由だった。このやり方を踏襲すると、にら玉もひと味違う。卵とにらの一体感が増して優しい風味になる。