小さな料理 大きな味 ⑰
ゆで鶏と鶏スープ
ひとつの鍋で同時に作る「ゆで鶏と鶏スープ」。
週二度の割合で続けている私のルーティンだ。
「ゆで鶏が先か、鶏スープが先か」と訊かれたら、「ひよこと玉子の関係と同じ」。鶏肉がなければこんな清らかでおいしいスープは生まれないし、スープができなければゆで鶏も食べられず、つまり、ふたつは同一線上にある。
まず作り方を。
①小鍋に水3カップを入れ、火にかける。
②沸騰したら、鶏胸肉1枚(または、ささみ4、5本)を入れ、15分ほど中火で煮る。
③火を止め、鶏肉を入れたまま粗熱をとる。(鶏肉を鍋に入れたまま冷ますと、余熱で火が通ってしっとり仕上がる)
ことことゆでるだけ。先日、知人と話しているとき「えっ、お酒とか生姜とかねぎとか入れなくていいんですか!?」と驚かれたのだが、何ひとつ入れません。鶏のだしがすでに透明感に充ちているので、余計なものを入れる必要がない。あとでスープを料理に仕立てるときは酒や塩を少し加えるけれど、まず最初はすっぴん。