31 Oct 2019
おうし座さんへ。11月のお手紙

春の人が「秋」を生きるということ
若葉がすくすくと育ち、控えめな春の光が半透明なグラデーションを描きます。
花々は静かにそっと蕾を開き、淡いパステルカラーが世界を彩ります。
風が木を揺らして木漏れ日がこぼれ、大地に落ちた陰ですら優しさと思いやりを持って重なり合います。
穏やかで安らぎに満ち、あいまいで境界線があるようでない時間、それが、あなたの本来の属性です。
ところが、今はどうでしょう?
すべての輪郭はハッキリと際立ち、健気な頑張りを応援していた葉っぱは大きくなった途端に色を変え、無残にも大地に落ちていきます。
影は濃く闇に近く、冬の訪れを予感させます。
知らず知らずのうちに、季節に染まり、飲み込まれてしまっているのではありませんか?
明るく無邪気にほがらかでいると浮くような気がして、神妙にちんまりとまとまっていきます。
まわりを見渡すと、それでも、まだ足らず、もっと陰鬱に黙り込んで深刻ぶって、無の極致、満員電車で心を逃がすみたいなアレをやらないといけないのかな?という感じになっているはず。
同じように我慢をしている人を見て、励ましてあげたいけれど、余計なお世話かもしれない、自分のこともちゃんと出来ないのに、とセーブをかけているのです。
11月は、大女優のように振舞って!
アンハッピー症候群、名前をつけるなら、そんな感じ。
ワタシ、イイ思いはしていませんよ。
我慢し、耐えていますよ、みんな、つらいですよね的に、報われない感じに馴染み過ぎています。
でも、それ、何のためでしょう? 誰得? 誰案件?
内なる女優を引っ張り出して、ええ、あなたが仮に男性だとしても、心の中に隠れている大女優様にお出ましいただいて、ちょっと空気を換えてみましょう。
低予算、ハードスケジュールで疲労しきった現場に、主役が現れたらどうなるでしょう?
それなりに緊張し、活気づきますよね。
そこで、スターはどう振舞うのが正解だと思いますか?
クールに現れ、格の違いをハッキリ見せつけた後、華やかに微笑み、魅了します。そして、思いがけないいたわりや感謝の言葉で、みんなの心を溶かすのです。頑張りを見ていてくれたんだ、苦労をわかってくれているんだ!と思えれば、現場は心地よく動き出しますよね? あなたのために、全員がヤル気になり、本気で取り組むからイイモノが生まれます。
あなたの本質は、春です。晩秋で輝くには、女優のスピリットで演じることが大事。
ちょっとお高く見せて、春風で包み、運命を自分のものにしちゃってください。
章月綾乃 しょうづき・あやの
やぎ座生まれ。星占いを読んでもなんだかピンとこなくて「こんなはずじゃない!」と深追いしたら、うっかり、占い師に。雑誌やwebの心理テストを考えたり、占いを書いたりしています。星のお手紙、モグモグ食べないように気をつけます。オフィシャルサイトはこちら。
Illustration: naohiga Coordinate: Norie Sato