若葉がすくすくと育ち、控えめな春の光が半透明なグラデーションを描きます。
花々は静かにそっと蕾を開き、淡いパステルカラーが世界を彩ります。
風が木を揺らして木漏れ日がこぼれ、大地に落ちた陰ですら優しさと思いやりを持って重なり合います。
穏やかで安らぎに満ち、あいまいで境界線があるようでない時間、それが、あなたの本来の属性です。
ところが、今はどうでしょう?
すべての輪郭はハッキリと際立ち、健気な頑張りを応援していた葉っぱは大きくなった途端に色を変え、無残にも大地に落ちていきます。
影は濃く闇に近く、冬の訪れを予感させます。
知らず知らずのうちに、季節に染まり、飲み込まれてしまっているのではありませんか?
明るく無邪気にほがらかでいると浮くような気がして、神妙にちんまりとまとまっていきます。
まわりを見渡すと、それでも、まだ足らず、もっと陰鬱に黙り込んで深刻ぶって、無の極致、満員電車で心を逃がすみたいなアレをやらないといけないのかな?という感じになっているはず。
同じように我慢をしている人を見て、励ましてあげたいけれど、余計なお世話かもしれない、自分のこともちゃんと出来ないのに、とセーブをかけているのです。