31 Dec 2019
おとめ座さんへ。1月のお手紙

美しいジュエリーのように
新年おめでとうございます。調子はいかがでしょうか?
2020年はやれそうでしょうか?
イケそうでしょうか?
おとめ座さんが安請け合いは苦手なのはわかっているので、この質問への答えは保留にしておきましょう。
唐突ですが、ジュエリーの話です。
美術展などで、贅沢の粋を極めたゴージャスなアクセサリーを前にした時、人々はまず、「キレイ」、「すごい!」と誉めそやします。
次に、少し声のトーンを落として、「いくらなのかしら?」的なささやきをかわして、次へ向かっていきます。
派手好みのしし座さん、てんびん座さんならば、密やかにジュエリーを身に付けている自分を想像してうっとりするでしょう。
名誉のために生きるおひつじ座さんは、自分にどんな価値があったら、そのジュエリーと見合うだろうと考えるでしょう。
所有欲の強いおうし座、かに座さんは、保管場所や警備を考え、ふたご座、やぎ座さんは、交渉の道具として値踏みします。
懐疑的なさそり座さんなら、突出したジュエリーがもたらす諍いと災いについて考えを巡らせ、みずがめ座さんは、そもそも、そんなに価値があるかと首を捻るのです。
うお座さんは、素直に欲しい、手に取って太陽の光に透かしてみたいと願い、いて座さんは、自分の力で同じカラットの宝石を採掘したいものだと夢を広げるのです。
我らがおとめ座さんは、まず、こう思うのではないでしょうか?
「本物かしら?」
そして、研磨や加工について、適切だったかを考えます。最大限に美を引き出しているか、留め具は石に合っているかどうか、もっと素敵に見せる方法は他にないかを考えます。
あなたは、根っからの職人なのです。
1月は、本物を目指して!
2019年に公開された映画の中に、『アートのお値段」というドキュメンタリー作品がありました。
現代アート市場は、ちょっとしたバブルを迎えていて、投資家たちの手によって無名のアーティストが急に脚光を浴びたりしているそうです。
それまで、数万円、数十万円の値段で取引されている作品が、100倍、1000倍、時にはそれ以上にハネ上がります。
作品の生みの親、アーティストは現役です。アトリエにこもって、昨日と同じように作り続けているのに、いきなり、投機の対象となってしまうのです。もちろん、認めらえたら、嬉しいでしょう。成功の喜び、やってきたことが評価されること自体は、素晴らしいものです。
でも、同時に、急騰した人気と価格は、いきなり暴落するかもしれません。投資家やコレクターたちの好みもガラリと変わるかもしれないのです。
2020年、おとめ座さんに訪れる幸運は、このパターンに酷似しています。
にわかにブームになる、話題になる、注目を集める、それ自体は、光栄だし、夢が叶うし、大チャンスです。でも、いきなり始まったように、いきなり終わる怖さをはらんでいます。ケタ外れの幸福、お金に惑わされ、堅実だった生活が乱れて戻れないリスクも伴います。
大事なのは、自己評価です。
人がなんと言おうと、自分でいいならいいし、ダメならダメなのです。
どんなに条件を釣り上げられても、思想が合わないなら受けない、お金にならなくても意義があるならやる、
そして、細部までこだわっていきましょう。
職人らしく、プロっぽく、妥協せず、手を抜かず、全力を尽くして。
ホメられ、話題になることが幸運なのではなく、注目されることで条件が整い、やりたいようにやれる環境を得られるのが、おとめ座さんにとって大事なポイントです。
最高の成果を積み重ね、本物になりましょう。
章月綾乃 しょうづき・あやの
やぎ座生まれ。星占いを読んでもなんだかピンとこなくて「こんなはずじゃない!」と深追いしたら、うっかり、占い師に。雑誌やwebの心理テストを考えたり、占いを書いたりしています。星のお手紙、モグモグ食べないように気をつけます。オフィシャルサイトはこちら。
Illustration: naohiga Coordinate: Norie Sato