31 Oct 2020
さそり座さんへ。11月のお手紙

銀河を往く
お変わりはないでしょうか?
この前、神奈川芸術劇場で音楽劇『銀河鉄道の夜』を見てきました。
宮沢賢治の未完の遺作、ジョバンニとカンパネルラが銀河を巡る旅をします。
物語の後半に出てくるのは、さそりの火。
いたちに追われて、逃げ切ったものの、自らの命の終わりを悟ったさそりがひとつの思いに到達します。
このモチーフとなるのは、一等星のアンタレス。
赤く輝く星で、火星に対抗するもの、似たものとして夜空を彩っています。
客席には制限がかけられていて、前後左右は誰も座らない千鳥配置でガラガラです。
見やすいことはこの上もなく、でも、いつもならば、同じ世界を見つめる知らない誰かの気配がすぐ近くにあるのに、そこは無で、なんだか途方もない寂しさを感じました。
底なしの孤独、取り留めのない世界、熱気や音が闇に吸い込まれていく感じ。
暗闇の中、銀河鉄道が駆け抜けていき、私の手元には、さそりの火がそっと残りました。
11月は、天のギフトと共に
悪運が強いのです。
もうダメかと思った時に、道が開けます。
残念だけど、諦めると決めた後から、運命が追いかけてきます。
往生際悪く、粘り続けて、相手を根負けさせます。
マイナス、どん底で、大きな運を拾う、それが、さそり座さんなのです。
だから、やっぱり逃げるんじゃないかと思ったのです。
結果、井戸の中に落ちてしまって、「こんなことなら」と後悔しても、もう一度、いたちに追われて絶体絶命になったら、死に物狂いで逃げるでしょう。
ブッタに身をささげるウサギのように、己をくれてやったりはしないんじゃないかな? さそり座さんは。
自己犠牲よりも抵抗を選ぶ、ギリギリのシーンで道を探す、その執念、執着、わが身可愛さが、運を開きます。
本気で生き延びましょう。
内なる毒を放って、相打ちを狙ってもいい。
どんなことをしても、どんな手を使っても、精一杯、生きるのです。
すると、大逆転運が動き出します。
諦めは、似合わない。粘って凌いで!
章月綾乃 しょうづき・あやの
やぎ座生まれ。星占いを読んでもなんだかピンとこなくて「こんなはずじゃない!」と深追いしたら、うっかり、占い師に。雑誌やwebの心理テストを考えたり、占いを書いたりしています。星のお手紙、モグモグ食べないように気をつけます。オフィシャルサイトはこちら。
Illustration: naohiga Coordinate: Norie Sato