30 Sep 2020
おとめ座さんへ。10月のお手紙

豪華絢爛な装飾写本のように
お元気ですか? 私は元気にやっています。
いえ、正直に言えば、ちょっと疲れています。
秋のクールダウン効果で、気持ちや体が緩んできてしまったようです。
おとめ座さんはいかがですか?
先日、国立西洋美術館で開催されている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」に行ってきました。
全作品日本初公開という豪華さで、有名画家たちの作品が並びます。
面白いのは、初めて見るのに、「久しぶり!」と感じたこと。
ふふふ、どうにも馴れ馴れしい鑑賞者ですね。
常設展では、彩色写本のコレクション展が開催されていました。
まだ、印刷技術が確立されていなかった昔、本は手で書き写されるもので、文字のまわりに色鮮やかで、華やかな挿絵や装飾が施され、その断片を丹念に集められた内藤コレクションの展示でした。
美しい彩色は、当時の絵画同様に、宝石を砕いたもの。
書体も飾り文字で、繊細です。
その芸術性の高さ、精巧な職人技に、おとめ座さんを感じました。
10月は、納得のいくまでやってみる
うちの本棚になぜかあった前川久美子著『中世パリの装飾写本』によると、かつて写本は、高位の聖職者たちに属するもので、やがて、王族や貴族の注文を受けるようになったそうです。
神話を写し、神への祈り、聖なるものを求めていく過程の中で美が生まれ、どんどん研ぎ澄まされていったことがよくわかります。
手間をかけ、思いをこめて、丹念に作られた世界、妥協や間違いは許されません。
制作にどれほど集中力を要したでしょうか?
10月は、修道士たちのような敬虔さ、真剣さで、物事に取り組んでみましょう。
今、持てる力をこめて、精一杯、やれることをやってみるのです。
節約上手なおとめ座さんだから、コストカットを考えて動いてしまうでしょうが、今月は、贅を尽くして。
手の届く範囲で、最上のものを最高の形に仕上げていくのです。
大丈夫、時間もパワーも、潤沢にご用意があります。
恋は、サイドストーリー。原動力になる愛だけを残し、揺れるものは切って。
章月綾乃 しょうづき・あやの
やぎ座生まれ。星占いを読んでもなんだかピンとこなくて「こんなはずじゃない!」と深追いしたら、うっかり、占い師に。雑誌やwebの心理テストを考えたり、占いを書いたりしています。星のお手紙、モグモグ食べないように気をつけます。オフィシャルサイトはこちら。
Illustration: naohiga Coordinate: Norie Sato