31 Aug 2020
みずがめ座さんへ。9月のお手紙

放課後のタイムスリップ
お変わりありませんか?
9月号の『GINZA』本誌、お読みになりました?
「私が一番大事にしているファッションルール!」特集号で胸に刺さる言葉と出会ってしまいました。それは、スタイリストの北村道子さんのインタビュー記事の一言です。
「私自身が邪魔な存在だから」とあって、まず、存在感とのギャップに目を疑い、次に、この永遠のテーマをずっと持ち続けていらっしゃることに胸を突かれました。
これは、刺さりました。
自己否定の上に成り立たせていく自分。
他人がいくら「そんなことないよ」って言っても、絶対に届かない領域に、コアがあります。
きっとどなたにも覚えがあるでしょう。遠い昔、西日が差す教室で、部活帰りの立ち話で、こっそり入った学校の屋上で、誰かとシェアした打ち明け話のように。
あの時、わかりあえた、永遠に一緒にいたいと思った友達を、一体どこで見失ったのか。
居場所がなかった自分と、どう折り合いをつけてきたのか。
9月は陽炎のように
9月は、揺らめきの季節。輪郭が溶け出し、ゆらゆらと形を留めません。
境界線をあえて引かず、作らず、ぼんやりと過ごしていくとよさそう。やっていただくとわかるのですが、「こうしよう」「こうせねば!」と張り切っても、ふわっとかわされ、それほど響きません。別にやってもよいけれど、やらないのとたいして変わらないはず。
幸運の星・木星が覚醒し、代わりに、意志と実行の星・火星が眠りにつきます。漂ってよし、なのです。
自分と他人、仕事と遊び、ノルマと夢、オフとオン、本来ならばきちんと区分けするところをあいまいなままにしておくのです。
異質なものが交じり合い、なんだか悪くないものが生まれるでしょう。
恋と友情、本音と建て前、理想と現実も、そのままにして。
苦みと甘さの絶妙なコラボレーションから、みずがめ座さん好みの世界が整います。
光と影が交わるところに、ずっと忘れていた何か、大事なあなた自身のかけらが見つかるでしょう。
章月綾乃 しょうづき・あやの
やぎ座生まれ。星占いを読んでもなんだかピンとこなくて「こんなはずじゃない!」と深追いしたら、うっかり、占い師に。雑誌やwebの心理テストを考えたり、占いを書いたりしています。星のお手紙、モグモグ食べないように気をつけます。オフィシャルサイトはこちら。
Illustration: naohiga Coordinate: Norie Sato