ふと、気になったのです。地上に暮らしていた王子が突然、大神ゼウスに攫われて神々の宴の給仕をしろと言われたら、どう感じるだろう、と。
国を支配する側の人間が、いくら相手が神々とはいえ、奉仕を命じられるのですから相当な意識変革が必要ですよね。
報酬は、永遠の命と若さ。かつて当たり前にあった人としての暮らし、血を分けた親や兄弟との別れ、そういうウェットな部分は、どう処理をしたのでしょう。みずがめ座さんは。
「おうちに帰りたい」的にさめざめと泣いた、みたいなイメージがあまり持てないのです。家族や母国は懐かしいし、恋しい、また会えるものなら会いたい、でも、会えないなら仕方がない。そんな割り切りがあるような気がしてなりません。
むしろ神々の目にも叶った我が身の美しさ、麗しさが誇らしく、「さすがオレ」でわだかまりなく過ごせたような気がするのです。
与えられた役割も過不足なく、天職のようにスマートにこなしたはず。