もう20年くらい前になるでしょうか。放送大学の演劇講座を受講した時に『融』が題材として取り上げられました。
「京の都の六条河原に汐汲みの老人が現れます。彼の語りを聞くうちに、源融が愛した宮城県塩釜の海があたり一面に広がるのです」
講師が教室内を歩きながら朗々と語り切った瞬間、カチッと目が合いました。教室には何十人もいたのに、顔を上げていたのは私だけ。
大変演劇的な体験で、能楽を観る人になりたいと思ったのです。
その後、能楽師の奥様と知り合い、お能は身近になったのですが、なかなか『融』はかからず、やっとこの前、GINZA SIXの能楽堂で拝見することが出来ました。
でも、ブランクあり過ぎで頭がついて行かぬまま、帰り道にワイン屋さんのレジで勧められた変わり種のポテトチップスの美味しさと紐づけられました。本当に目玉焼き味。一体、誰が思いつき、商品化したのでしょう。
それが、遠い記憶に重なっていく、この不思議よ!