12 Aug 2016
【INTERVIEW】バナナマン:HOW TO BE A GOOD RELATIONSHIP – 心地よい笑いをもたらす2人の関係性

テレビで見ない日はないお笑い芸人といえば、バナナマンの2人。コンビでのレギュラー番組10数本に加えて、それぞれ個人でも帯番組や深夜バラエティのMCを務めたりと八面六臂の活躍を見せています。ハードな毎日なはずなのに2人ともエネルギッシュに見えるのはなぜ?
設楽 エネルギッシュに見えますか? 俺、踏ん張ってるだけですよ。倒れそうですもん(笑)。カラ元気みたいなところはあるよね?
日村 もちろん、もちろん。
設楽 バラエティって、ド頭にクレーンカメラの映像からはじまることが多いじゃないですか。あそこで「いよっ!」ってカラ元気を入れるんです。バイクのブォン!じゃないけど、オープニングでエンジンをふかして、その勢いでやってます。
日村 「いよっ!」って気合いを入れるのは大事だよね。VTRのリアクションもちょっと大げさに見えるかもしれないけど、あれはエンジンがかかっている俺だから、決して嘘をついているわけじゃないんです。
設楽 元気そうに見えるのは、2人でやってるからっていうのもあるかもしれない。1人だと「おいしそうだな」とか頭の中で思うだけだけど、「うまそうだね」「おいしいよね?」って言い合える。その姿が伝わっているのかもしれないですね。
なるほど、バナナマンが明るく元気に見えるのは、その仲良しぶりが画面を通じて伝わるからかも。そんな2人は公開中のアニメーション映画『ペット』の日本語吹き替え版に声優として参加。これまでにもアニメの吹き替えを経験してきましたが、吹き替えで心がけていることは何かありますか?
設楽 観ている人にとって、声を吹き替えている人のことが想像できないほうがいいとは思うんです。下手だなと思われたら作品に影響しちゃうから、かなりピリピリしながら取り組んでいます。
日村 心がけているのは、演技を大きくすることですね。録った声を聞き返してみたらわかるんですけど、自分が思っているよりも大きく演技しないと、意外とちっちゃくまとまっちゃう。
設楽 そうそう。俺も思った、思った。多少オーバーにやったほうがいい。おそらくアニメって画が強いからだと思うんですけど。
日村 だから声優さんって、すごい労力ですよ。
設楽 声自体ももちろん重要だけど、テンションとか演技力もかなり大事。やってみると声優さんのすごさがわかります。
飼い主の留守中にペットたちが大冒険を繰り広げる『ペット』では、設楽さんがテリア混ざりの雑種犬マックス、日村さんが大型犬デュークの声を担当して絶妙なコンビネーションを見せています。
設楽 当て書きしたんじゃないの?っていうくらいマックスとデュークって自分たちに似てるんですよ。
日村 登場シーンのズケズケ来る感じとか、関係性とか(笑)。
自分が優位に立とうとマックスとデュークがマウントの奪い合いをする微笑ましいシーンもありますが、バナナマンにもマウンティングの時期はあったんですか?
設楽 日村さんのほうが1コ上だし、お笑い芸人としても先輩だったんで、出会ったときは立場的にも日村さんが威張り散らしていて。
日村 そんなことないよ!(笑)
設楽 今みたいな関係性は結成して3カ月目に決まりました。毎月1本ネタを作っていて、最初は日村さん主導でネタを作って、次に2人で一緒にネタを作って、3本目は俺が1人で書いて持っていったんです。そしたらその3本目のネタがウケて。もうそこからですね(笑)。
日村 お笑いってわかりやすいんです。ウケたら勝ちみたいなところがありますから。
設楽 ただ、ぶっちゃけバナナマンでは日村さんがイニシアチブを取ってますし、俺のほうが気を使ってるんです。
日村 どういうことよ!(笑)
設楽 実際、15~6年ぐらいは日村さんがリーダーだったよね?
日村 そうだよ。リーダーだったよ。今はなくなったけど。昔は2人で電車で移動してたからね。フジテレビに行くってなったら、そこまでの電車の乗り換えは俺のほうが得意だったんです。基本的に、設楽さんはこう見えて動きがのろいんですよ。「もう出るよ」って言ってるのにウンコしてるとか。
設楽 ウンコは日村さんのほうがしてるじゃん!
日村 なんかノロノロなんです。
設楽 たしかに、そこまで何分で行けるかとか、あんまり考えたくない。
日村 乗り換えや移動は俺の仕事でしたね。そのうち俺が先に車を買って、車で迎えに行って仕事して家まで送るようになったっていう。
設楽 それがリーダーの仕事だから(笑)。俺も車を買って、一緒に仕事に向かうことがなくなって、リーダーを解任したんです。でも、お笑いでコンビを組んでいるっていうのは不思議な関係ですよね。単なるビジネスパートナーと言い切れない部分もありますし。デュークとマックスの関係も似た部分を感じました。人付き合いとか人間関係って大変じゃないですか。自分のエリアにほかの人が入ってくる難しさがあったり、あることをきっかけに急接近したり。
日村 『ペット』はそのあたりもしっかり描かれているから、すんなりストーリーが入ってくると思います。
最後に、ご自身がペットになるとしたら何になりたいですか?
設楽 絶対に犬がいい。マックスみたいに室内で女の人に飼われて、すっごい甘い日々を送りたい。
日村 (マックスの飼い主)ケイティ役の佐藤栞里ちゃんみたいにきれいでやさしい子が飼い主なら、犬じゃなくてもなんでもいいな(笑)。
バナナマン
Bananaman
お笑い芸人。左/日村勇紀 1972年神奈川県出身。右/設楽統 1973年埼玉県出身。1993年にコンビ結成。現在コンビでは『バナナ♪ゼロミュージック』(NHK総合)や『Youは何しに日本へ?』(テレビ東京 系)、設楽個人では『ノンストップ!』(フジテレビ系)、日村個人では『万年B組ヒムケン先生』(TBS系)など、数々の人気番組に出演中。ホリプロコム 所属。
Photo: Shota Matsumoto Text: Toshifumi Endo
2016年9月号掲載