仏アーティストFAFIインタビュー「X-girlも私のグラフィティも“女の子だってできる”ってことを体現している」

仏アーティストFAFIインタビュー「X-girlも私のグラフィティも“女の子だってできる”ってことを体現している」

フランスのアーティスト、FAFI(ファフィ)が描く女の子たちは、とってもチャーミング。ある時はグラフィティに、ある時はコミックに、そして、さまざまなブランドとのコラボに登場する。そんな、ストリート感あふれるおしゃれなキャラクターは、世界中で大人気。これまでにも、数々の有名ブランドとコラボレーションしている。今回、〈X-girl〉の25周年にあわせてコラボしたFAFIが来日、インタビューが実現!94年から活動する彼女は、ストリートをサバイブしてきた貫禄と、少女のようなキュートさをあわせもつ、すてきなお姉さんでした。


 

90年代のストリートから始まった

──アーティストになろうと思ったのはいつ?

1994年、18歳の時に絵を描き始めたの。その時は、看護師になるための学校に行っていて、絵は、夜とか休みとか、暇な時間に描いていただけだった。そうしたら、学校の友達が、アーティストになりなよって言ってくれて。私は南フランスのトゥールーズという小さな街で育って、両親や周りにもアートに関心がある人が少なかったし、絵を仕事にするなんて、まったく遠い世界のお話って感じだったのよ。だから、全部一から自分でやらなきゃいけなかったけど、よかったと思う。

 

──初期からストリートでもたくさん描いていますよね。

そうね。でも、私はスプレーを使わず、ブラシで描くの。スプレーだとぼけたかんじに見えるのがピンとこなくて。もっと壁にステッカーを貼ったみたいにはっきりした色で、インパクトのある絵が描きたかったから、ブラシを使うことにしたの。

FAFI X-girl グラフィテーアーティスト

──ブラシで描くことについて、周りからあれこれ言われませんでした?

言われたわ。でも、スプレーって臭いし、体にも悪いしね。90年代は、男の子はみんなスプレーで自分の名前(tag)を書きつけて、自分の存在をアピールしてた。でも私や女友達は、ブラシで絵とかキャラクターを描いてて。その時点で、男女でストリートアートの差が生まれていたと思う。結果的に、私たちが描くキャラクターの方が注目されて、仕事のオファーもたくさん来るようになったのよ。

 

──最初から女の子のキャラクターを描いていたんですね。

そうそう。でも、最初はもっとクリーチャーと一体化したみたいなキャラで。セクシーな体をもったトカゲとか。でも、感情を表す幅が狭いと感じて、次第に人間の女の子を描くようになった。面白いのは、時が経つにつれて描く女の子のタイプも変わってきていること。90年代はとにかくセクシーな感じだったけど、今は見ての通り、強くて戦士みたいな子を描いているわ。あと、そもそも男子は描かないの。厳密にはいるんだけど、もはや人間には見えないような見た目をしてる(笑)。男性のキャラクターって、映画でもマンガでも出尽くしてるでしょ。だったらむしろ自分たちを表すような女の子を表現したいと思って。

FAFI X-girl グラフィテーアーティスト

 

空想の女の子、Fafinettes(ファフィネッツ)のいる世界

──あなたのアートの中心には、いつも女の子のキャラクターたちがいるんですね。

私が考える女性像は、2012年にRizzoliから出したコミック『The Carmine Vault(ザ・カーマイン・ヴォルト)』に表れているわ。それをアニメにもしているんだけどね。物語の主人公は、Fafinettesという女の子たち。地球に来て、男の人たちの涙を燃料にして自分たちの星に変えるというお話なの。年老いたFafinettesは、体力も落ちて涙を集められない。で、若い子たちは失恋して泣きそうな男性とかを狙っているわけ。モヒカンヘアの強そうなキャラが、彼女たちの星の独裁者。昔辛い失恋をして、心臓のところに穴があいてるんだけど、その経験から星を男子禁制にしてるのよ。


コミック『The Carmine Vault(ザ・カーマイン・ヴォルト)』より。Fafinettesという女の子たち。

──ストーリーはどんなふうに思いつくの?

私は、自分のパーソナルな部分をいっぱい詰め込むの。例えば、私は今シングルマザーとして息子を育てているけど、その経験も物語に反映されている。大切なのはストーリーの核。私は『スターウォーズ』も『ゲーム・オブ・スローンズ』も大好きだけど、どちらもすごく普遍的なストーリーよね。どの国や環境にある人でも共感できる。私も、せっかく作るなら、まったく新しいものや世界を作り出して、でも普遍性のある物語を書きたい。

 

10年ごとを表す、女の子のキャラクター

──今回のコラボレーション、〈X-girl〉とFAFIさんの世界観がすごくマッチしていますね。

15歳の時に〈X-girl〉が出てきたときはすごくカッコよくて憧れてた。だから今回の話が来た時は、二つ返事でOKしたわ。〈X-girl〉は、それまでになかった、女子スケーターのためのウェアとして始まったし、私がストリートで描き始めた94年も、女の子でグラフィティやってる子なんていなかった。どちらも、女の子だってできるよってことを体現したことが共通していると思う。

 

──3人のキャラクターたちも魅力的ですね。

〈X-girl〉が25周年ということで声を掛けてもらったんだけど、偶然、私もアーティスト活動を始めてから25年で。お互いが成長してきたことを表現しようと、10年ごとの特徴をもった3つのキャラクターをつくったの。90年代の子は、レイヴカルチャーっぽい感じ。強くてポップで明るいわね。2000年代の子は、NYのスケーターのイメージ。もう一人、シックなドレスにスニーカーを合わせてるのが、現代の子。前の時代に比べて、もっとリラックスしてるかな。パーティにも行けばヨガもするし、みたいにね。

FAFI X-girl グラフィテーアーティスト

 

女の子たちが連帯すれば、きっと面白いことが始まる

──今もストリートで描いてる?

もちろん!メキシコで描く予定もあるし、エイズのチャリティとしてアフリカに描くプロジェクトもやってる。ものすごく大きい壁になると、アシスタント(全員女子!)をつけて、工事用のリフトを使って高いところにも描いたりするし、体力的にもきついから疲れちゃう。カウチに座って、あれもっと右、みたいな感じで指示するだけでいい立場になりたいものだわ(笑)。

FAFI X-girl グラフィテーアーティスト

──東京には何度も来ているんですよね。どんなところがお気に入り?

まず安全てこと。清潔だし、技術力も高い。あと、みんなが心地よく暮らせるようにつくられた街だなって思う。横断歩道で流れる、盲目の人のための音もそう。いろいろ気遣いがあるのがいいなあって。そこが全然フランスとは違うわ。最初に日本に来てから20年経つけど、当時と比べると、女性がいい仕事に就いたり、活躍してるよね。もっと自立したい、自由になりたいって思いは前から持っていたと思うけど、それを実現させたんだなって。

 

──最後に、ギンザ読者へメッセージをお願いします!

もっと自立して自由になりましょう。そして、女の子同士で、お互いサポートし合いましょう。男性は、友達同士の飲み話から、仕事やプロジェクトを生み出しているよね。女子は集まるとすぐ恋愛話とかしちゃうけど、もっとお互いとかそれぞれの才能を活かした仕事やプロジェクトの話をすれば、新しいムーブメントが生まれていくはず。だから、みんなもサポートしあってお互いを高めていくといいと思う!

FAFI X-girl グラフィテーアーティスト

FAFI

1994年のアートシーンデビュー以降、キュートでセクシーな女性のグラフティが、世界中の感度の高いモデルや女性ミュージシャンなどから支持を集めるフランス人アーティスト。パリを拠点に、世界中でストリートアートやブランドとのコラボレーションなどのプロジェクトを行う。現在は、架空のキャラクター、Fafinettesを主人公にしたアニメーション(構想早5年!)を制作中。
instagram: @therealfafi
fafi.net

Text: Satoko Shibahara Photo: Kaori Ouchi Edit: Nico Araki

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