みんな大好き朝の顔、博多華丸さんが愛されるワケ。「今いる場所をトータルで愛する」

みんな大好き朝の顔、博多華丸さんが愛されるワケ。「今いる場所をトータルで愛する」

1月18日に全国公開となる『映画めんたいぴりり』。博多華丸さんは、福岡で明太子作りに情熱を傾ける主人公を熱〜く演じます。映画・ドラマ出演、朝の情報番組『あさイチ』キャスター…お笑いにとどまらず各方面で愛されてきた裏には、どんな華丸さんご自身の哲学があるのでしょう?編集部セレクトのおやつを食べていただきつつ、たくさんお話を聞いてきました。最後に教えていただいた人間関係のアドバイスにも、思わず納得!


 

「漫才」という軸がしっかりあるから、
知らない分野にも飛び込める。

──今日は編集部から差し入れがあります。華丸さんがお好きだと聞いたので、コロッケを買ってきました!歌舞伎座の裏にある老舗の揚げもの屋「チョウシ屋」のものです。

博多華丸(以下、華丸) コロッケ大好きです!(紙袋から取り出して)うわ~、見た目が垢抜けてる!さすが銀座ですね。ってことは高級ですか?

博多華丸 インタビュー

──ひとつ180円です。

華丸 それはすごい!(しげしげ眺めて、ぱくり)…これはもう、おやつというよりディナーですね。もはやメンチカツ並の食べ応え(笑)。僕は1個50円くらいの、やっすいコロッケで充分です。

博多華丸 インタビュー

──…なんかすみません(笑)。お好きなコロッケ屋さんはあるんですか?

華丸 博多のかまぼこ屋「平和蒲鉾店」が、片手間に作ってるコロッケはうまいですよ~。芋のみのシンプルなやつ。ソースをびちゃびちゃにかけて食べるのが好きですね(笑)。

博多華丸 インタビュー

──ではコロッケをもぐもぐしつつ、いろいろお話を聞かせてください。『めんたいぴりり』は連ドラ、スペシャルドラマ、舞台を経て、満を持しての映画化ですね。本作で華丸さんが演じた主人公・海野俊之は、福岡・博多で稼業の明太子づくりに情熱を燃やす一方、困っている人は絶対に放っておけない、人情味あふれる人物です。華丸さんのイメージにぴったりな役柄でした!

華丸 ありがとうございます。監督をはじめ博多の人たちに怒られないように頑張りました(笑)。

 

──怒られないように?

華丸 はい。海野俊之という役は、博多に実在する明太子屋「ふくや」創業者の川原俊夫さんがモデルなんです。だから博多には、実際に「俊おいちゃんには世話になったもんねぇ」なんておじさんも多くて。自分が演じてみせたときに「俊おいちゃんはそうじゃなかったばい」と言われたら、「どんなんでしたか?」って教わりながらやるしかないわけですよ。

博多華丸が演じる海野俊之『映画めんたいぴりり』より。

──実在する、とても愛された人物を演じるのはプレッシャーですね。『めんたいぴりり』が連ドラとしてスタートしたのは2013年。俊之という役と向き合い続けて6年目になるということですね。

華丸 この役を演じていると「地に足を着けて頑張れよ」と言われているような気がするんです。海野俊之と川原俊夫さんに恥ずかしくない生き方をしなきゃいけない、と思う。ほら、仕事が重なって忙しいときに漫才の出番があったら、やっぱりちょっとだけ力を抜きたくなることもあるわけですよ。でもそういう場面で「あ、いかんいかん」と思わせてくれる、というか。

 

──俊之は「俺はお金のために明太子を作っているんじゃない」「俺の作る明太子で幸せになってほしい」という熱い想いで、日々努力していましたもんね。彼が全身全霊を注ぐ「明太子」は、華丸さんにとっての「漫才」なのかな、と思いました。

華丸 いや~、デビュー当時じゃあるまいし、いまはそこまでないですよ!(笑)僕の本業はもちろん漫才だけど、そこだけに100%力を注ぐのではなく、今回の映画出演をはじめ、オファーさえあればいろんな仕事をしていますから。新しい経験をすることで、芸人としての幅も広がっていくんじゃないかなと。

でもそういう風に挑戦できるのは、「漫才」という大切な軸がしっかり自分の中にあるからこそだとも思うので、俊之の「明太子」と通じるものもあるかもしれないですね。ちなみに俊之のモデルの川原さんも、本業は明太子ですけど、商売を軌道に乗せるために、違うことにもチャレンジしていたそうですよ。

博多華丸 インタビュー

 

福岡の女性から、大吉さんまで、
パートナーシップに支えられる。

──『めんたいぴりり』は映画もドラマもほぼ同じメンバーだから、皆さん仲がよさそうですね。俊之の妻・千代子役を演じる富田靖子さんとは、特に息が合っていました。

華丸 だいたい2年に1回くらい、作品をやるときしか会わないんですけど、濃い時間を過ごしてますからね。役では僕が年上ですが、実際は富田さんが芸能界の大先輩だから、リードしてくださっています。だって富田さんは、福山雅治のことを「福山くん」って呼ぶようなすごい人なんですよ!

博多華丸 インタビュー
映画より。俊之(華丸)の横にはいつも千代子(富田靖子)の姿が。

──(笑)。かわいらしくもあり芯が強くもある、千代子のような女性はタイプですか?

華丸 いや~…もうちょっとおとなしい方がいいですね(笑)。でも千代子の、夫に外では好きなようにやらせてくれて、家ではきゅっと締めるところは、福岡の女性らしいなと思います。縁の下の力持ちというか。僕の母親も祖母もそういうところがあったので、代々続く県民性なんでしょうね。

 

──なるほど。そんなしっかりした福岡の女性たちと接してきた華丸さんが、普段「素敵だな」「かっこいいな」と思うのは、どんな女性なんでしょう。

華丸 …吉田羊!(きっぱり)

 

──めっちゃ具体的!

華丸 だって、かっこよくないですか?演技もすごいし、バラエティでもナチュラルだし、裏表のない感じが素敵ですよね。彼女も福岡出身なので、県民で集まるときなどにお会いすることもあるんですが、サバサバしているのに男を立ててくれる。そんな女性たちに甘えているから、福岡の男はいつまでたってもダメなんですけど…いやでも逆に言うとある意味、ダメな男たちが福岡の女性たちを育てたともいえるかもしれない(笑)。

博多華丸 インタビュー

──先ほどもお話ししたように、俊之のパートナーは公私ともに妻の千代子ですが、華丸さんの仕事のパートナーといえば、相方の博多大吉さんですよね。コンビ間のコミュニケーションで心がけていることは?

華丸 基本的に、大吉さんに言われたとおりにします。たとえば劇場に立つときは、本当は「違うネタがいい」と思っていても、大吉さんの選んだネタをやる。なぜかというと、いざやってみると、絶対に大吉さんの言うほうが正解なんですよ。絶対の信頼を置いています。野球でいえば、僕はピッチャーで大吉さんがキャッチャー。自分が思ったとおりに投げると打たれちゃうから、大吉さんの言うところに投げるわけです。

 

──でも、判断を人に委ねるのって、結構勇気が要りませんか?

華丸 若い頃から、自分のことなんてわからないもんだという自覚はあったので、自己分析するよりは、人の言うことを信じるタイプではあります。でもそれは大吉さんのことをよっぽど信用しているからですよ?そこまで委ねられるのは、大吉さんと、嫁と、今回の現場だったら江口カン監督くらい。それ以外の人に納得できないことを言われたときは、口答えしているかもしれない(笑)。

博多華丸 インタビュー

 

周囲より遅い上京。でも、
今どんどん活躍の幅を広げる秘訣は、
“今いる場所をトータルで愛する!”

──作中で、特に印象に残っている場面や台詞はありますか?

華丸 明太子の製法を他人に真似された俊之が、従業員から特許取得を勧められたときに「いらん」って言うシーン。あそこで「せめて『元祖』って名乗りませんか」と言われて「『元祖』って名乗ったら、明太子が旨くなるとや?」って返すところが好きですね。肩書きじゃないんだよ、というのが身につまされて…まぁ、僕と大吉さんは「東京で活躍している芸人」という肩書きほしさに、35歳で上京したんですけど(笑)。

 

──俊之と違う方針で動いたわけですね!上京は華丸さんの人生に、プラスになりましたか?

華丸 もちろん!東京で認められたという箔がつくだけで、福岡でのウケが明らかに違うんですよ。カンニングの竹山やヒロシが上京して、福岡にいた頃以上にめっちゃウケているのも見ています。だから本当は、僕たちも箔がついたら、福岡にすぐ帰る予定だったんです。

 

──そうだったんですか!?

華丸 「成り上がってやろう」なんていう野心も、元々そんなにない方ですから。あと福岡でのキャリアが15年なんですが、「博多華丸・大吉」と名乗っている以上、東京のキャリアはそれより短くなきゃいかんでしょう。なのにもうすぐ東京も15年だから、もはや「渋谷華丸・大吉」になってしまう(笑)。東京でやりたいことはもう充分やらせていただいたし、福岡に帰ろうか…とは思いつつ、社会人として『あさイチ』を投げ出すわけにもいきません。これからも仕事のオファーがある限りは、お受けしていくつもりです。

博多華丸 インタビュー

──35歳で上京して、激しい情熱や野心もないと言いながら、どんどん活躍の幅を広げている華丸さん。どうしたらそうやって周りを信頼しながら、どんと構えていられるんでしょう。GINZA読者の中には仕事や人間関係で悩んでいる人も少なからずいると思うんですが、何かアドバイスをもらえませんか?

華丸 若い人へのアドバイス…自分では運がよかっただけのような気もするから難しいなぁ…あ、でも後輩芸人にアドバイスすることはあって。以前とろサーモン・村田くんが、相方の久保田くんのことでいろいろ悩んでたんですね。僕はそんな村田くんに「相方を好きにならんでも、とろサーモンを好きでいればいいんじゃないの」って言いました。

たとえば会社員の人で、目先の上司が苦手でも、チームや会社を愛せばいいんじゃないですかね。今いる場所をトータルで愛せば、嫌いな上司だってそこに所属しているわけだから、なんとか受け入れられる。そのトータルがどうしても愛せなければ、そこから出ればいい。僕も吉本という会社が、「給料が安い」だの(笑)なんやかんや言っても好きですし、博多華丸・大吉が大事ですから、しんどいことも乗り越えてこられたんじゃないかと思います。

博多華丸 インタビュー


『映画めんたいぴりり』
監督:江口カン
脚本:東憲司
原作:川原健『明太子をつくった男 〜ふくや創業者・川原俊夫の人生と経営〜』
出演:博多華丸、富田靖子、博多大吉、中澤裕子、高田延彦、吉本実憂、柄本時生、田中健吉、でんでん
配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
2019年1月18日(金)より新宿バルト9ほかにて全国ロードショー
ⓒ2019「めんたいぴりり」製作委員会
http://piriri_movie.official-movie.com/

博多華丸 Hanamaru Hakata

1970年生まれ。福岡県出身。お笑い芸人。 お笑いコンビ博多華丸・大吉のボケ担当。2006年「R1グランプリ」優勝。2014年「THE MANZAI」優勝。2013年にTNCテレビドラマ『めんたいぴりり』で主演し、ドラマ初主演ながら大好評を得る。現在も、朝の情報番組『あさイチ』のキャスターやバラエティ番組への出演の傍ら、ドラマ・映画にもコンスタントに出演し活躍を続けている。
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Text: Sakura Sugawara Photo: Midori Kondoh Edit: Milli Kawaguchi

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