6人のサムライのお仕事道-05 落合宏理さんが特別である理由。「人より多く深くを見て シーンの中心で学びました」

6人のサムライのお仕事道-05 落合宏理さんが特別である理由。「人より多く深くを見て シーンの中心で学びました」

何かを極めた人たちにはきっとスペシャルな経験や方法論、 意識の持ち方がある。そんな仕事の“礎”は迷える子羊、 働くギンザガールのポラリスとなり照らしてくれるはず。 いぶし銀に光るサムライ6人に聞いた、彼らが特別である理由。


 

「人より多く深くを見て シーンの中心で学びました」

〈ファセッタズム〉デザイナー
落合宏理 さん

 

東京の今をエモーショナルに映し出す〈ファセッタズム〉の落合宏理さん。ユースとモードの代弁者として、活躍の舞台は世界へ広がっている。

デビューは29歳。回り道してやってきたデザイナーを支えるのは、興味を抱いたシーンのど真ん中に立ち、体得したモノや出会いが今につながる〝現場主義〟。それは、服がただただ好きで裏原宿に通い詰めた学生時代となんら変わらない。「ファッション=デザイナーくらいしか職を知らなかったんです。だから、高校の進路指導で誰より先に『文化服装学院に行く』って宣言して初めて担任に褒められました(笑)」。人生で服のことしか考えなかった貴重な3年間。ひとつのスタイルに執着するマニアックな興味がないことがコンプレックスだったと言うが、裏を返せばそれは〝広い目を養う〟最大の強みになった。

卒業後、当然すぐにでもブランドを始めたかったのだが世の中そうは甘くない。ひとづての紹介で国内のモードブランドの生地を手がけていたテキスタイル会社、ギルドワークに入社。「一線で活躍するブランドの仕事に携われたらいいな」と安易に働き始めたのだが、実に8年を過ごすことに。

「東京モードの最先端に関われる場所だったんです。数多くのブランドやデザイナーとの仕事。コレクションに向かう熱量に触れて、人より多く、深いところを生で見られた。それはひとつのメゾンにいたらできない経験。今『誰々っぽいね』と言われない理由はそこにもあると思います」。オリジナルファブリックに裏打ちされたコレクションも、この時築き上げた職人との信頼関係の証。同時期、東京ストリートでの叩き上げの下積み経験も今に生かされている。

当初は数年「暗黒の貧乏時代(笑)」に突入するも「ポジティブでタフ」なマインドを武器に挫けることはなかった。揺るがないモノ作りは、スタイリスト北村道子さんやザ・コンテンポラリー・フィックスの吉井雄一さんなど、影響力を持つ人々を魅了することになる。

ターニングポイントは2011年、東京コレクションでの初のファッションショー。それをきっかけに国際見本市ピッティへ参加(12年)、また15年には準備期間たった1カ月というハードスケジュールでジョルジオ・アルマーニ支援によるミラノでのショー開催。そして昨年は、LVMHプライズでの日本人初のファイナリスト選出にはじまり、6月にはパリメンズコレクションデビュー、夏のリオ五輪閉会式での衣装デザインと、怒濤の快進撃が続く。

「地道な戦いを数多くしてきましたが、いきなり世界のプロフェッショナルに注目してもらったりして、周りには『飛び級狙いの遠回り』と言われています(笑)。海外への挑戦は、自分で勝手に〝壁〟を作っていたんですよね。物理的な難しさを除けば、壁なんて本当はない。『東京らしい』と言われることも何かよくわかってなかったけれど、繊細さやロマンティックな部分、優しさや冷たさ、僕らが日常で感じる些細なことが〈ファセッタズム〉の東京モードの表現なんだと今は思っています」

 

CHRONOLOGY

-1999-

文化服装学院アパレルデザイン科メンズデザインコース卒業。ギルドワークを経て2007年に自身のブランドを始動

-2011-

吉井さんが手がけた「VERSUS TOKYO」のトップバッターとしてランウェイデビューを果たす。東京でのショーは回を重ねるごとに話題を呼び、2015-16年秋冬シーズンには大トリを飾った

-2013-

毎日ファッション大賞の新人賞を受賞。実はわずかその3年後に大賞を勝ち取る大躍進を遂げる

-2016-

オリンピックでの感動から「人の美しさ、想いを服で受け止めねば」とあらためて決意する

 


 

【サムライメモ】
偶然にも1歳の息子さんが取材に同席♡ 激務の1年、海外にも早何度も一緒に飛んでいるそう。途中から落合さん抱っこでスヤスヤ、なかなかの大物の予感です。

 

落合宏理

おちあい・ひろみち≫ 1977年、東京都生まれ。デビューは2007年春。宝石のカット面を意味する仏語、facetがブランド名の由来で、さまざまな顔、見え方を意図する。

 

Illustration: Toshikazu Hirai
Text&Edit: Aiko Ishii

 

2017年6月号掲載

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