【INTERVIEW】ハリウッドザコシショウ:24年をかけてたどり着いた境地とは?

【INTERVIEW】ハリウッドザコシショウ:24年をかけてたどり着いた境地とは?

ある番組で千原ジュニアがこんなことを言っていた。「この世界、早い遅いはあるけど、『めちゃくちゃおもろいのに売れへんなあ』という奴はいない」。今年のR-1ぐらんぷりで優勝した芸歴24年のハリウッドザコシショウほど、今この言葉が似合う男はいない。芸人評価は高いのに一般ウケしなかった彼が、栄光をつかめた理由とは?


ハリウッドザコシショウ

YouTubeに動画を上げ始めたことが、
今の自分のコアになっている

今はピン芸人ですけど、芸人としてのキャラクターそのものはコンビ時代(G★MENS)と基本的に変わっていない印象があります。芸人を続けていく中で、自分の路線に迷いを感じたことはありましたか?

ありましたよ。僕の先輩というのがバッファロー吾郎さん、なだぎ武さん、さらにその上がリットン調査団さんで、「リットンさんの遺伝子を受け継いでいる」みたいなところがあるから、「こういう芸風でいいのかな?」って思ったこともあります。リットンさんがそこまで……というかまったく売れてないので(笑)。でもバッファローさんも以前の芸風よりはポップになっていますよね? だから「根本を曲げる」ということはできないですけど、「プラスアルファの何かが必要なんじゃないか?」とはずっと思っていました。

 

 

コンビからピン芸人になったとき、どんな気持ちの変化がありましたか?

スベったときに、ピンだと自分一人の責任になるじゃないですか。だからピンになってから、お笑いに真摯に向き合えるようになったんですよ。コンビ時代は、「こんなもんでいいやろ」という感覚で、ちょっとなめてたところがあったと思います。「そりゃ売れるわけないだろ」と今では思いますけどね。

 

「心斎橋筋二丁目劇場」時代の同期(ケンドーコバヤシ、中川家、陣内智則、たむらけんじなど)って、今でも意識しますか?

しますね。同期がバタバタやめていたら、自分もここまで耐え切れなかったと思います。24年売れてなかったわけだから。たむらも、陣内も、礼二も、剛も、コバヤシもずっと知ってる仲だけど、僕は負けたつもりは毛頭ないんですよ。「やめなければ勝つチャンスは絶対にある」と思って、ここまでやってきましたね。

 

今のザコシショウに大きく影響を与えた「コア体験」みたいなものはありますか?

ピンになって「あらびき団」に出ている最中に、ネタ番組が減ってきたんですよ。最後まで残った「あらびき」も終わってしまったときに「これはヤバい」と思って、発表の場としてYouTubeでネタをやって、それを毎日ブログに貼ってたんですよ。今もやってるんですけど(現在1500本以上の動画がアップされている)。それをやってるうちに、「これをやるのとやらないのとでは、えらい違いが出るな」と気づき始めて。それまでは舞台に出てしゃべるとすごくドキドキしてたんですけど、それがなくなったんですよ。そのことに気づいたのが、今の自分にとってのコアになっていると思います。

今は「YouTuber」という言葉が定着していますけど、ザコシショウが動画を上げ始めたのはそれよりずっと前、5〜6年前からですよね。

当時は今ほどYouTubeが広まってなくて、みんなもYouTube(の可能性)に対して「こんなことはやれないだろう」みたいに思っていた部分があったんですよ。でも僕はもともと自分で動画を編集するのが好きだったので。小学生のときにラジカセで自分のラジオ番組を録ったりするじゃないですか? あのノリですよね。

 

ネタの順番で印象が変わるのはDJと一緒

 

それにしても、舞台で緊張していたというのが超意外でした。

コンビのときは10年やってるうちに慣れましたけど、ピンになってからは緊張してました。事務所のネタ見せのときなんか、手も足も震えてて。今はそうやって動画もずっとやってるし、R-1の決勝も経験したから、ハートは強くなりましたけど。
 
YouTubeだけじゃなく、Twitterでもいろいろやってますよね。「ドラクエの敵のものまね」とか、ものすごい数をアップしてて。

あれはR-1の決勝に行きたくて、売名行為でやったんですよ(笑)。予選を見に来るお客さんは、僕の名前を知らない人も多いわけじゃないですよね。絶対(事前に)知られている方が有利なんだけど、ライブをやってるくらいじゃ全然足りない。「何かいいメディアはないか」と思ったときに、「Twitterは画像も貼れるし、これもメディアだな」と気づいて。動画でやってもいいんですけど、それだと電車で見るときにヘッドホンしないといけないですよね。だから画像にしようと。その一つとして「ドラクエの敵のものまね」をやったんですけど、宮迫(博之)さんとか、有吉(弘行)くんとか、しょこたんがRTしてくれて、9000RTくらい行ったんじゃないかな? バイト中もRTの通知がずっと鳴り止まなかったですね。

 

ピクチャ 2

 

ちなみにバイトは何を?

水道メーターの検針のバイトです。R-1決勝の前日もやってました。

 

動画にしてもTwitterにしても、「使えるもの何でも使う」という姿勢がすごいですね。若手芸人よりも貪欲な気がします。

それは僕もそう思いますね。今の若手はぬるいんですよ。おもしろいツイートをすれば話題になるのに、「今日はバイトがしんどかった」みたいな、何の笑いも生まないツイートをしてる後輩がいますからね。

 

今年のR-1、会場の空気的に一番ウケたネタは何でしたか?

やっぱりファーストステージの「野々村元議員」からの「ヤバいサラリーマン」の流れじゃないですかね。ファーストステージのネタは僕のベスト8で、構成的にもテンポ的にも黄金パッケージなんですよ。ぞこで100%ウケるものをやって、セカンドステージは「ファーストのネタで免疫が出来ている」という前提でウケるものをやりました。似たようなネタに見えるかもしれないですけど、順番が逆だと大変なことになっていたと思います。DJと一緒ですよね。曲順で全然客のノリが違ってくるという。そういう演出的な部分にも気をつかえるようになりました。

 

竹中直人に憧れてこの世界に入った

 

R-1はこれまでも出ていましたけど、今年は何が違ったんだと思います?

去年は3回戦で終わったんですけど、会場ではすごくウケたんですよ。今年の3回戦よりもウケたくらいで。それでみんなに「あれだけウケたのに、なぜ次に進まないのか?」と言われて。それで原因を考えたんですけど、そのときは白ブリーフでやってたので、「この白ブリーフがいけないんじゃないか?」という意見が出たんですね。少し汚らしく見えるし、股間もピタッとしていて生々しいし。それで黒のプロレスパンツをはいてみたら、はいた瞬間に後輩から「こっちのほうが清潔感がある!」と言われて、それでそこから黒パンツに変えました。それが違いなんじゃないですかね。

 

これからいろんな番組のオファーが来ると思いますが、出てみたい番組はありますか?

松本(人志)さんの番組とか、内村(光良)さんの番組とか……僕が青春時代に見ていて尊敬している芸人さんと絡みたいですね。

 

もともとは、誰に憧れてこの世界に入ったんですか?

僕は竹中直人さんなんですよ。中高生のときに、ドリフ、ひょうきん族、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、他にもいろんな番組を一通り見て、「お笑いってだいたいこんな感じなんだな」というのが分かったときに竹中さんの番組を見たんです。夜、「11PM」を見てオナニーして、適当にザッピングしてたら、竹中さんの「東京イエローページ」という番組があったんですよ。そのときはコントをやってたんですけど、白目をむいてヨダレをたらしながら奇声を発してて、「すげえな、こんな芸人がいるんだ!」と思って。そこから竹中さんの番組をずっと追っかけるようにななりましたね。あんな芸人さんは他にいない。唯一無二の存在です。だから、いつか竹中さんとコントで共演したいですね。

 

奥さんと結婚して5年になりますが、どんな方なんですか?

お笑いが好きなんですよ。それでいろいろ番組を見てるから、僕がやってることがズレてるとか分かるみたいで。最近では毎回主催ライブを見に来るんですけど、「良くはなった」と言ってました(笑)。まあ、今思えばすごく簡単なことだったんですけどね。たとえば古畑任三郎の「ハンマーカンマー」も、今はフリップに書いたりして前フリが出来てるんですけど、前は何の説明もなくやってたから。そういう簡単なことが、自分だけだと気づかないんですよ。後輩や奥さんに見てもらって、客観的に見られるようになったのは大きな変化だと思います。ちなみに奥さんは今、妊娠中で、しかも双子なんですよ。今年、いったい何なんでしょうね(笑)。

ハリウッドザコシショウ

HOLLYWOOD ZAKOSHISYOU

1974年、静岡県静岡市生まれのお笑い芸人。’93年に「G★MENS」というコンビでよしもとからデビュー、心斎橋筋2丁目劇場を中心に活動する(陣内智則、中川家、たむらけんじ、ケンドーコバヤシらと同期)。コンビ解散後、2002年にピン芸人としてデビュー。SMAに所属しながら、ライヴ活動や「あらびき団」などの番組で活動を続け、今年のR-1ぐらんぷりで見事チャンピオンとなる。8月に座・高円寺にて単独ライブを開催予定。

twitter: @zakoshisyoh

blog: ハリウッドザコシショウの「南海ホークスは今?」

Photo: Shota Matsumoto Text: Takahiro Maeda

2016年5月号掲載

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