ヴェトモン、グッチ…トレンドを生み出すブランド本を次々と出版しているロンドン発のスーパーブックストア「IDEA」にインタビュー

ヴェトモン、グッチ…トレンドを生み出すブランド本を次々と出版しているロンドン発のスーパーブックストア「IDEA」にインタビュー

ヴェトモン、グッチなどトレンドを生み出すブランドの本を次々と出版しているロンドン発 「IDEA」。彼らが選んだ本が日々アップされるインスタグラムのフォロワー数はなんと25万超! いったいどんな本屋さんなのか、直接聞いちゃいました。

 

Q.1

「読むファッション」というテーマからイメージする、おすすめの本/写真集は?

 

20 Anni di Vogue

Anni di Vogue
1964年から84年までのイタリアンヴォーグをまとめた究極のファッションブック。内容もレイアウトもどちらも素晴らしい。こういうタイプの本には珍しく、時系列ではなく、写真家ごとに並べているのも面白いところ。ブルース・ウェーバーのページが、とくに美しい。

 

 

Fashion Photography of the Nineties

Fashion Photography of the Nineties

 

もし90年代についての本を一冊、ということであれば、この本が一番のおすすめ。当時の有名フォトグラファーとモデルはほとんどすべて網羅している。ユルゲン・テラー、マリオ・ソレンティ、コリン・デイ、そしてもちろんケイト・モス。

 

 

Adore Curieux ZamokAdore Curieux Zamok

とてもとても特別な一冊。ファッション写真は一枚も載っていないのに、まさにファッション写真集と言える。繊細なイメージが、多くのエディターやスタイリストにインスピレーションを与え続けている。

 

David Hockney PhotographsDavid Hockney Photographs

これもいわゆるファッション本ではないけれど、ファッション界に多大なインスピレーションを与えている本で、IDEAが扱う本のなかで一番売れているもののひとつ。大げさな演出はひとつもないのに、とんでもない崇高さをもっている。これぞ、天才ホックニーの完全な才能がなせる技。

Vogue Houses, Gardens, People

Vogue Houses, Gardens, People

ホルスト撮影による、最高にエレガントな本。高貴な美しさをもち、示唆的で、夢中にさせてもくれる、真のハイソサエティの暮らしを垣間見ることができる本。

 


Q.2

ギンザの読者におすすめしたい本は?

 

Juergen Teller TASCHENJuergen Teller TASCHEN

ユルゲン・テラーの写真集のなかでも一番のおすすめ。ここに載っている写真を撮影していた当時、まさに若者だったテラー。そんな彼による90年代らしさ――生っぽくで、でも美しく、正直でときどきショッキングな――がつまっている。とにかく素晴らしい本。

The Ballad of Jane Birkin

The Ballad of Jane Birkin

迷ったときはコレ。旬のアイブロウをつくるための、頼もしいコスメカタログ #02
タイムレスな洗練さをもった一冊。ファッションエディターやスタイリストは、みんなこの本が大好き。

Kate

Kate

まさにケイトによるケイトの本。ケイトがモデルとなった写真を、ケイト自身が選び、並べている。その流れが素晴らしく効果的。ファッション本としても写真集としても、必携の1冊。

David Hicks on Decoration

David Hicks on Decoration

インテリアデザイナー、デイヴィッド・ヒックスの作品集。彼自身の家も含め、これまで手がけたたくさんのインテリアを通して、ヒックスのユニークなスタイルを見ることができる。ヒックスの作品集のなかではこれがベスト!

108 Portraits108 Portraits

写真も印刷も、クオリティが抜群の写真集。キアヌ・リーブス、リバー・フェニックス、マット・ディロンといった、著名人たちがグランジ風のラフな服装のまま、巨匠風のしっかりとしたポートレートに収まっている。自分で買った後、ギフトとして買う人が続出。

 


Q.3

今も日々インスタグラムにアップしている本のセレクトは、どうやっていますか?
そのときの気分? トレンドをある程度意識している? それとも新着順?

 

インスタグラムにアップするもののセレクトは、そのときどきで選ぶ理由が異なります。けれど、いずれも私たちのエネルギーを伝えられるように、すごく努力して選んでいます。私たちはいつもクリエイティブであろうとしているし、クリエイティブな人たちに向けて発信しているつもり。正直、クリエイティブではない人までを自分たちのターゲットとして網羅しようとは思っていません。その代わり、(私たちの発信することを受けとる)すべての人がクリエイティブであると信じてやっています。そのことが、インスタグラムで成功した理由でしょう。

ファッションデザイナーやアートディレクターに向けた本、あるいは、SNSにフィットする本、というようにさまざまな理由で選んだ本を日々アップして、いまや25万人を超えるフォロワーがいます。そのことは、自分で服をデザインしたり、雑誌を作ったり、写真を撮ったりしている人じゃなくても、それらのイメージから、いろいろなアイデアやエネルギーを得ているんだということを教えてくれます。

 


Q.4

日本の古い本も多く取り扱っているようですが、どのようにチェックして集めていますか?

 

少なくとも年に1度は日本に行きますし、毎日ネットでチェックしています! ほとんどすべてのベストな本が日本にあると言ってもいいくらい。70年代や80年代に、多くの日本人が、ヨーロッパやアメリカの、ファッションや写真、アートや建築の本を大量に買っていました。

インターネットが普及するまでは、彼らは小さな彼らのコミュニティのなかだけで売り買いしていたのです。それが、つい6年くらい前に、PayPalとグーグル翻訳、そして画像検索が登場して、ネット上で本を探したり、相手とコミュニケーションをとったりすることがすごく簡単になりました。そのおかげで、ロンドンから日本にある本を買えるようになったのです。


Q.5

今とくに気になっている年代(80年代、90年代など)や、ジャンル(ファッション、アート、音楽、映画、ストリートカルチャーなど)はありますか?

 

私たちが本を売り始めたときは、おもに60年代の古本を扱っていました。でも、多くの人たちは私たちが80年代カルチャー狂いだと思っていたようです。最近の傾向で言うと、セント・マーティンズの学生がみんな90年代を参照しようとしていて、すごく驚いています。時の流れは早いもので、90年代から活動していたスタイリストや写真家でさえ、打ち合わせで自分たちの過去の作品を参照したりするほどです!

今では、異なる6つの時代からそれぞれ1冊ずつ選んで、1日のうちにインスタグラムにアップすることもできます。でも、とくに好きなものを挙げるとしたら、メンフィスなどのポストモダンのデザインや、マルジェラたちのアンチ・ファッション、ウィリアム・エグルストンやステファン・ショアなどのアメリカのニューカラーの写真家たちですね。

 


Q.6

自分たちのどんなところが「スーパー」なブックセラーだと思いますか?

 

「スーパーブックセラー」という言葉の響きが好きなんです。私たちは「スーパーブックス」を売っているから、「スーパーブックセラー」なんです。私たちが「スーパーブックス」と呼んでいるのは、ものすごいパワーをもって、クリエイティブを刺激してくれる本のこと。私たちは自分たちのことを“スーパー”だと思っているけど、自分たちが素晴らしい点をくどくど説明することはしません。


Q.7

なぜファッションブランドと一緒に本を作るようになったのですか?

 

出版を始めたのは、インスタグラムですごい数のフォロワーを得たあとのことです。フォロワーがたくさんついたことで、どんな書店や出版社よりも自分たちの方がより多くの人に伝えることができると気づいたのです。

最初に出した本は、ゴーシャ・ルブチンスキー、コリアー・ショッフ、ウィリー・ヴァンダルペルという写真家たちの本。写真家は自分の作品の著作権を自分で管理しているので、その手間が省けたことも助かりました。ゴーシャは写真家でもあるけれど、デザイナーでもあり、ファッションブランドもやっていました。それがきっかけでヴェトモンにアプローチできたのです。それで、ヴェトモンの本を出すことになり、次にグッチが相談しにきました。この半年間は、パレスというブランドと、ファションと写真の両方が混じったような本を作って、リリースしたばかりです。


Q.8

今後の出版予定は? 今後、自分たちで出版する本は増えていきますか?

 

この2ヶ月くらい、とても忙しい日々を送っています。ニューヨーク・ファッションウィークの間に2冊リリースする予定があります。しかも、DSMNYの同じ夜に発表するのです。ひとつはパリ・ヴォーグのエディターでセルフサービスを共同設立者であるスザンヌ・カラーによる『Red Lips, Attitudes and Other Obsessions 』という本、もうひとつはテリー・リチャードソンが、もともとは恋人で、今では彼との間に生まれた双子の男の子の母親になったアレックスを日記的に撮影した写真をおさめた『Skinny』という本です。

Skinny

タイトルはアレックスが痩せていて、「スキニー」だから。すごくプライベートな雰囲気の写真集ですね。そして、パリ・ファッションウィークでは、ヴェトモンの第2弾の本をリリースします。これはすごく大きな仕事です。そして、その後のロンドンのフリーズ・アートフェアでは、デイヴィッド・ヒックスのスクラップブックを4冊の本にまとめたもののボックスセットを出す予定です。

 


Q.9

本というメディアのいいところは? 今後、イベントの開催など、別のメディアで展開する予定はありますか?

 

本が、文章やイメージ、アイデアを伝えるメディアとしてベストなツールになってから、300~400年たちます。でも、それが変わってはいけないことはないでしょう。私たちもまた、本というメディアに縛られてはいません。いつも前を向いています。いまやっていることはコミュニケーションです。この10年、映画を撮ったり、ラジオをやったり、Tシャツを作ったり、本を出版したりしています。いまは自分たちのTシャツのプロモーションとして、10秒の映画を毎日インスタグラムにアップしていて、このやり方を今後もどんどん展開するつもりです。Tシャツは、コリアー・ショフ、アリ・マルコポロス、アレスダー・マクラーレンといったアーティストたちを向かえた新作を出す予定です。

 


Q.10

多くの人が、過去のアーカイブからインスピレーションやヒントをもらう傾向は今後も続くと思いますか?

 

この流れは止まらないはず! 新しい日々は、より多くの過去を見ているのです!

 


Extra Q

選書やグッズからキアヌ・リーブスへの愛が感じられますが、特別な思い入れがあるのでしょうか?

 

キアヌ・リーブスが大好きなんです。彼の名前の奇妙な響きと形がとくに好き。もちろん、彼は昔も今も素晴らしい俳優ですよね。同じく、ウィノナ・ライダーもすごく不思議な名前だから好きです。

 

SHOP DATA

IDEA
オンラインとロンドンにある実店舗の両方で営業するセレクトブックショップ。ダニエルとアンジェラの2人が古本屋としてスタート。現在は出版も手がける。旬のファッションブランドの本を次々とリリースして人気沸騰中。
ideanow.online


 

Text: Satoko Shibahara

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