『誰がアパレルを殺すのか』の著者2人に聞く、東京の服の行方

『誰がアパレルを殺すのか』の著者2人に聞く、東京の服の行方

GINZA(以下G) 今のアパレルの状況を深く掘り下げたこの本、ファッション愛にまみれて生きてきた我々にとって、涙なくしては読めない内容でした(苦笑)。なぜ、今、アパレルに目を向けて本を書かれたのですか?

杉原淳一(以下杉原) バブル崩壊以降やリーマンショック直後も、アパレル大手の業績は危機的な水準まで下がっていなかった。でも2014年頃、アベノミクスだなんだと景気が上向いているときに他業界と逆行してアパレル全体がダメになっていった。これは構造的な問題があると思ったのがスタートです。

G ブランドもショップも随分なくなってしまいました(涙)。

染原睦美(以下染原) 場所の制約や昔のような〝流行〟がなくなり、消費者はどこにいても自分に合った好きなものが買える自由を手に入れました。家で20着くらいをサイズ違いで試着できて、しかも返品無料。よっぽどの付加価値がない限り、実店舗へ行くこと自体に意味が見出せなくなっているんです。

杉原 買い方もそうだし、ファッションの価値観も変化しました。今はSNSの発展もあり、何を着るかより、どう着るかが重要。ブランドへの憧れが薄まり、逆に選択肢が広がったという状況です。店頭に商品を並べていれば何も言わずともお客さんが勝手に足を運んでくれる、という時代ではない。アパレル業界は、「芸術品を作っている」という理想と厳しい現実の折り合いをつける時期に来ていると思います。

染原 結果として、消費者はファッションに対しても車や家と同じように、原価をシビアに見ています。そして、買って着て売るまでを1サイクルで考えていますね。

G どんな東京ブランドがこの先、発展していくと思いますか?

杉原 今回、取り上げていらっしゃる〈シティ〉をはじめ、生産から販売までを一貫して自分たちで責任を持ってみているブランドは、やはり強いのではないでしょうか。

染原 調べればどんな情報も出てくる時代だからこそ、コストやものづくりの面で消費者に正直であるブランドに支持が集まっていくと思います。

 

『誰がアパレルを殺すのか』

誰がアパレルを殺すのか

日経ビジネスの記者である杉原淳一さん、染原睦美さんが緻密な取材を重ね、業界不振の構造を分析した渾身の1冊。(日経BP社刊)

Text&Edit: Kaori Watanabe (FW)

GINZA2017年11月号掲載

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