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もしもしマノロ・ブラニクさん!なぜビルケンシュトックとコラボしたのですか?

もしもしマノロ・ブラニクさん!なぜビルケンシュトックとコラボしたのですか?

煌びやかなヒール靴で知られる〈マノロ ブラニク/Manolo Blahnik〉と快適なはき心地で人気の〈ビルケンシュトック/BIRKENSTOCK〉。“驚きのタッグ”はなぜ生まれた? Zoomは苦手だというデザイナーに電話取材。


ロンドンは正午、東京は21時。英国に住むマノロさんに電話をつなぐと、とても79歳とは思えない活気のある声が受話器から聞こえてくる。“マノロ ブラニク”といえば、米人気テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』で主人公のキャリー・ブラッドショーが愛用していたことを思い出す人も多いだろう。ビジューバックルが宝石のように輝くパンプス〈ハンギシ〉を筆頭に、とびきり美しいシューズは世界中の女性を魅了してきた。

そんなアートピースのようなシューズの数々を生み出してきたデザイナー本人は、根っからのビルケンシュトックファンだという。愛用歴は60年以上におよび、2020年春夏シーズンには同ブランドのプロジェクト「パーソナリティキャンペーン」に、姪でマノロ ブラニク社CEOのクリスティーナ・ブラニクと私物の〈ボストン〉をはいて登場。意外なキャスティングは、多くのファッショニスタを驚かせた。

「出合いは10代の頃。随分と昔なので記憶が曖昧ですが、北欧の若者たちがサンダルをはいているのを見かけたのがブランドを知ったきっかけだったかな。みんなが口をそろえて『とても快適だ』と熱く語っていた。気になってすぐにジュネーヴのショップに駆け込み、最初の一足を購入したんです」

その時に手に入れたファースト ビルケンシュトックは〈アリゾナ〉。ダブルストラップが特徴的なスライダーサンダルだ。

「足にぴったりなじんで、その夏はドライブをするにしても、地中海に旅行するにしても毎日一緒でした。愛着があるので、今も家に大切にとってありますよ。ロンドンに移住してからは、クロッグサンダルの〈ボストン〉を自宅で愛用しています。家を訪れる知人からは『意外なチョイスだね』と驚かれることも(笑)。そのたびに、はき心地のよさを伝えるんです。10代の頃、僕に熱心に語ってくれた友人たちのようにね」

そんな思い出のブランドとの初のコラボレーションコレクションでは、マノロ ブラニクの優美さとビルケンシュトックの卓越したクラフトマンシップが融合。出来上がったのは、マノロさんも所有する〈アリゾナ〉と〈ボストン〉をベースにした2型3色。フューシャピンクとブルーのベルベット生地と、ブラックのスムースレザーに、マノロ ブラニクのアイコニックなクリスタル装飾のバックルがきらり。誰もが一度は見たことのある定番シューズも、マノロさんの手にかかればスペシャルな一足になるのだ。

「色出しはクラシックで上品でありながらも、新鮮な印象に。特にフューシャピンクは、相応しい名前が見つけられないくらい、絶妙なカラーリングになったと思います。上質なベルベットやレザーを使用することで季節を問わずはいてもらえるし、ロングドレスにも、リゾート地でショートパンツにあわせても映える。年齢も問わない。素晴らしい作品に仕上がったと実感しています。私のブランドの顧客は非日常を思わせる美しい靴を求めていますが、きっと満足してもらえるはず」

6月には早くもコラボレーション第2弾がリリースされる予定だという。

“完璧”な一足を求めて
挑戦したいことは尽きない

“ヒールシューズの帝王”が50年間を超えるキャリアで大切にしてきたのは、デザインをとことん楽しむことだという。

「寝ている時に思いついたデザインをベッドサイドで紙に描き起こした日もあれば、熟考を重ねて形になったアイデアもある。スケッチを描いてから、現物がサンプルとして上がってくるときの喜びは、私にとって非常に重要で、最もエキサイティングな瞬間のひとつなんです。工場での作業工程で生まれるエネルギーも大事にしています」

旅からインスピレーションを得ることも多く、これまでさまざまな国にオマージュを捧げたシューズを発表してきた。その中でも、東京は特に思い入れのある場所だという。

「歴史がありながらも若者たちが文化を作っている、洗練された都市だと思います。新宿の『パークハイアット東京』に宿泊した時は、街並みを写真に収めました。私は細い道が大好きなのですが、東京のそれは圧巻で、非日常的に感じる。茶室やお寺、皇居東御苑を訪れた際にも、その美しさにただただ圧倒されました!」

食事、寺院、人、ファッション…と東京のあらゆる側面に魅了されたというが、もっとも影響を受けたのが日本の映画。

「黒澤明監督や俳優の三船敏郎、サニー千葉など、素晴らしいスターがたくさんいますよね。『七人の侍』などを観て育ったので、ずっと憧れがあるんです。“礼儀”を重んじる文化に魅力を感じ、初めて来日した際には、日本人の親切な立ち居振る舞いを見て感動を覚えましたね。また絶対に訪れたいです」

ファッション業界の第一線で長年活躍してきたマノロさんに、“今の時代”はどう映っているのだろうか。

「自分が何をして、どんな靴をはいて生きていきたいのか。慎重に考えて、ひとつずつ選んでいくことが大切でしょう。今あらためて、質が重要視されていると感じます。多くを所有するのではなく、本当によいと思ったいくつかを長く愛用していくこと。日本にはあらゆるものが豊かにそろっていて、選択肢がたくさんありますが、世代を超えて受け継がれてきたものを大事にする文化がしっかり根づいていて、本当に素晴らしい」

最後に、これから挑戦してみたいことを聞いてみた。

「パーフェクトなシューズを作りたい。“完璧”って、やっぱり難しいからね。あとは、リサイクルプラスティックなど新しい素材を取り入れてみたり。“やってみたいこと”のリストはまだまだたくさんあるんですよ」

Profile

Manolo Blahnik まのろ・ぶらにく

スペイン領カナリア諸島生まれ。ロンドンに渡り、1970年に自身の名を冠したブランドをスタート。2007年に英女王エリザベス2世から大英帝国勲章が授与される。世界31カ国に販売拠点を有する。

Manolo Blahnik for Birkenstock

第1弾のコレクションはビルケンシュトックの公式サイトとマノロ ブラニク全店舗で販売中。
問い合わせ先: ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス Tel 0476-50-2626

公式サイト

Text: Mami Osugi

GINZA2022年5月号掲載

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