16 May 2018
祝・初の英語本発売!鈴木亮平さんからのメッセージ

初の著書『鈴木亮平の 中学英語で世界一周!feat.スティーブ・ソレイシィ』が発売されたばかりの鈴木亮平さん。そう、あの”西郷どん”です! 「GINZA読者のみなさんにもぜひ読んでいただきたく」ということで、担当編集者がインタビューを敢行。「話すだけなら、中学英語でじゅうぶん!」とおっしゃる鈴木さん。英語を学びたくなる、熱いエピソードがたくさんあります。
「いただきもす!」「まっこてめでたか!」なんて薩摩ことばをイントネーションも抜群に操る鈴木さん、得意なのは薩摩弁だけではあいもはん(薩摩弁)。実は、英語もなのです。しかも、英語ノンネイティブながら、自力で英語を身に付けた方でもあるのです!
そんな彼の、初の著書「鈴木亮平の 中学英語で世界一周!feat.スティーブ・ソレイシィ」が発売されました! マガジンハウスの6F(GINZA編集部の2フロア上)に編集部がある雑誌「anan」で、3年続く連載を書籍化しました。この本の最大の特徴は、鈴木さんと、日本人のマインドを知り尽くしたカリスマ英会話コーチ、スティーブ・ソレイシィさんの対談形式だということ。海外旅行で&日本にいる海外旅行者をガイドするときに、本当に役立つ、でも中学レベルの単語&文法のフレーズを楽しみながら知ることができるんです。
帯を外すと…ジャーン。こんな作りです。
刊行を記念して、スペシャルインタビューをここにお届け。自己紹介が遅れましたが、連載と書籍化の担当編集、anan編集部のNと申します。僭越ながら私Nが、編集ウラ話も含めてあれこれお聞きしてみましたよ~。
自分の経験に基づいた
“使える”フレーズを伝えたい
──ananでの英語連載が、ついに書籍化されました! そもそも、最初に連載の話を聞いたとき、どう思いましたか?
「あのananで、わたくしが連載ですか?」と(笑)。ananって、キレイな男性が出るイメージがあったんですよ。僕みたいな、ちょっとこう、武骨系といいますか…という男が出るイメージがなかった。
──そう思われていたなんて…(汗)。東京外国語大学、しかも英語専攻を卒業されているということで、英語をお仕事に結び付けたいと思っていましたか?
俳優として英語でセリフを話す役をやりたいなとは思っていたんですけど、英語そのものを仕事にしたい、と考えたことはあまりなくて。でも、英語は自分が興味をもってずっと取り組んできたことだったし、ネイティブじゃないからこそ気付けたコツとか、角が立たない言い方、日本人の心情に合った言い方など、発信したいことはありました。
──なるほど。
そこでこの連載のお話をいただいて、「英語はこうすれば喋れるようになるよ」みたいな“英語学習論”より、「そういえば、旅行先で英語を使ったときに気づいたことがあって…」と、経験を交えて色々話させていただくのは楽しいだろうし、自分っぽいなって思いました。だから3年も続けられているのかなと感じますね。
──確かに、連載、つまりこの本に出てくる英語フレーズは、すべて鈴木さんの「経験」がベースですよね。
そうなんですよ。毎回、自分の経験に基づいた、絶対に使える表現だけを出しているつもりなんです。しかも、なるべく簡単で、いちばん伝わる英語。
──しかも、簡単だけどダウングレードなわけじゃないんですよね。
そうですね。中学レベルの英語だからって、幼稚なわけじゃない。ちゃんとバシっと伝わる表現で伝える、っていう。
まずは話してみることが大事!
英語が喋れても、
性格は日本人のままでしょ?
──この本には、鈴木さんならではの「こういう微妙な気持ちを英語にしたい」っていうお話がいっぱい出てきます。例えば、「~しましょうか?」って声をかけるときに、“Do you want me to ~?”って言えば「私が~しましょうか、もしよければですけど」ってニュアンスが入って押し付けがましさが減るから、日本の人も使いやすいんじゃないか、とか。
それは、僕自身がすごく模索してきたからだと思います。英語を話すたびに、自分の気持ちやニュアンスを完璧には伝えられないもどかしさがあるので。どうしたら日本語並みに伝えられるのかな、少なくとも8割くらいは、って思いながらやっているんです。つまづいたり、伝わった! っていう経験を通して、「この英語を使ったら、もっと自分の気持ちに近いことが表現できるじゃん」って気づくことが多いから。
──鈴木さんが、読者の代わりに、先に壁にぶつかってくれた(笑)。
そう。この本のいいところは、僕の失敗談がいっぱい載っているところです!(笑)それに、英語が喋れても、マインドまでアメリカ人になることはないじゃないですか。たとえば面白いのは、日本の人って、旅行先で“Do you need some help?”って声をかけられても、“I’m OK.”って言っちゃいがちだと思いませんか?
──ああ、言うでしょうね。本当に困っていない限り、ありがとう! とは言わないかも。
ところが、他の国の人って割と、“Yes,thank you!”って言ってくださいます。かくいう僕も大丈夫ですって言っちゃう派です。
──英語が堪能な鈴木さんですら!
僕は受け身になるとそうですね。世間に迷惑かけたくない、って感じているのかな。例えば一人旅をしていて、駅の路線図が分からないなあって思っても、あと5分くらい見たら分かるかもしれないと思ったら、きっと“I’m OK.”って言っちゃう。なので、この本の中に、日本の人の微妙な心情とか、慮りかたとかを伝えるヒントがあればいいなと思っています。
──そういう意味では、対談のお相手であるソレイシィさんとのコンビネーションも抜群ですよね。
ソレイシィさんは英会話コーチとしてすごくプロフェッショナルなうえ、日本の文化にも精通していらっしゃるので。彼の著作(「きちんとフレーズ100」)を読んだら、目からウロコ!っていう表現ばっかりなんです。いま赤ペン引きながら読んでいます。
──ソレイシィさんのどんなところをすごいと感じますか?
日本人の伝えたい、絶妙なニュアンスを熟知しているところ。例えば、日本語の「切ない」って英語でどう言うの?というとき。英語だとドンピシャな1語はないから、“sad and touching”みたいに2語続けると分かりやすいよ、とか。日本語の「いただきます」を訳したいなら、まず“itadakimasu”って言っちゃって、そのあとに「これは食べる前の挨拶なんだよ」って説明した方がいいよ、とか…。そういう教え方をしてくださる方って、あまりいなかったと思うんです。
あともうひとつ、英語を話すときに思うことがあって。僕は大学でも英語を勉強したし、英検1級も取りましたけど、結局は中学英語だけで会話してきたんです。たまに難しい単語を使ったりもしますけど、基本的には、いかに簡単に、思ったことを精度よく伝えられるか、って考えている。
──まさに、この本のテーマ「話すだけなら、中学英語でじゅうぶん!」ということですよね。それって、喋れる人はみなさんそうなんですか? それとも、難しいボキャブラリーを増やすことで喋れるようになる人もいるんでしょうか。
難しいボキャブラリーを増やすことで喋れるようになった人を、僕は見たことがないですね。リスニングやリーディングには役立つとは思いますけど、話す分には、それこそ中学レベルの単語でじゅうぶん。たまに特殊な単語が出てきたら、「それなに?」って聞けばいいので。大切なのは、自分の気持ちを伝えることだから。
本から抜粋。旅先で
絶対使えるのはこのフレーズ!
──本の中から、特に汎用性の高い、使えるフレーズを教えてください。
そうですね…。あ、この“I have a problem here.”([調子の悪いところを指差しながら]ここの調子が悪いです)はすごく便利なフレーズ。here.と言いながらお腹を指させば「お腹が痛い」だし、のどを指差せば「のどが痛い」って伝えられる。でも、病気だけじゃなくて、例えばホテルの(お風呂の)カランの使い方が分からないときも、カランを指差しながら言えばいい。
パラパラ…これもいいフレーズだなー。悩むなー。
──本の中でも、携帯が壊れたら、“I have a problem with my cellphone.”(携帯に不具合があります)って言えばいい、とも紹介されています。いろんな「不具合」シチュエーションに使えるってすごい。
あともうひとつはこれ、“I’ll think about it.”(ちょっと考えます)。買い物に行ったときに、また来ますね、考えますね、って伝えられる。僕、日本語でも良く使いますね。これで試着も怖くなくなる!
盛り上がる、
本当に話したいテーマは…❤
──今回の書籍では「海外旅行編」「国内ガイド編」「受け答え編」の3つだけを抜粋しましたが、連載ではいろんなテーマについて話していただいていますよね。
いやー、テーマによって得意不得意があって、全然出てこない日もあります。例えば、本誌の特集に合わせて「占い」がテーマだったときは、ほんっとに何も出てこなかった! あれはもう、日本語だとか英語だとか以前に、知識がなさすぎて(笑)
──「官能」がテーマのときは、ソレイシィさんが「タモリ倶楽部は官能?」って仰ってて、終始焦点がズレまくりましたね(笑) そして鈴木さんがイキイキするテーマといえば、恋愛!
はい、楽しいテーマですよね、恋愛。普段使えそうな、リアル英語は日々仕入れているんですけど、さすがに女性誌だと品がないのはまずいですから(笑) でも、恋愛で気持ちを伝えるとか、やんわりとお断りするとか、相手を素直にほめるとか、いろんなシーンがありますからね。
──書籍第2弾が出る際には、恋愛編、くどき編ですかね!?
はい、ラブ編希望です!(笑)
鈴木 亮平 Ryohei Suzuki
1983年3月29日、兵庫県生まれ。俳優。東京外国語大学(英語専攻)卒。2006年、俳優デビュー。2014年、連続テレビ小説「花子とアン」でヒロインの夫役を演じ注目を集める。現在、大河ドラマ「西郷どん」で、主人公の西郷隆盛を演じている。6月8日に映画「羊と鋼の森」が公開。
Photo: Maki Ogasawara Styling: Takashi Usui(THYMON Inc.) Hair&Make-up: Yasushi Miyata(THYMON Inc.) Text: anan