食う寝る作る
学生時代から一緒の白Tシャツ
具志堅幸太
デザイナー
「まず外出用に、よれてきたら部屋着にしています。学生時代にニットの編み機の油で汚れた、年季が入りすぎているものは、さすがに別れ時ですかね(笑)」
具志堅さんは、通称セントマに在学中の2014年、制作の素材として売られていた〈ヘインズ〉の半袖を大学の購買で手に取った。以来、いつでもどこでも、白いTシャツで過ごしている。
「古着が好きで毎日違う格好だったし、襟付きばかりでTシャツは着なかったのに、その1枚でガラッと変わりました」
課題に追われる中、自分の服装への意識が最小限になる白Tは、ファッションへの思いをまっすぐクリエイションに注ぐためのよき伴走者になった。帰国後、好みの素材感と形を吟味し〈ユナイテッドアスレ〉に乗り換え、今に至る。
「ルックの撮影用にさまざまなサイズを買い足したりして、数えたら40枚ほど。ひとつのラックにつるして、迷うことなく順番に着る。それこそ空きハンガーの数で、そろそろ洗濯機を回さないと、最近忙しいんだな、などとひと目でわかったりして。白Tのラックは、自分を客観的に見つめるバロメーターにもなっているんです。生活スタイルに合っているから、飽きる飽きないではないんです」