モダンなのにノスタルジック。韓国の人気イラストレーター シン・モレの個展が表参道でスタート。来日インタビュー

モダンなのにノスタルジック。韓国の人気イラストレーター シン・モレの個展が表参道でスタート。来日インタビュー

Share it!

20160707174830_koewkkmu

深夜、パソコンのモニターのブルーライトに向かいながら、ネットサーフィンしたり。バスに乗って、西日に照らされながら流れていく夕暮れの街を見つつ思いにふけったり。21世紀をぼんやりしながら生きる私達のなんとも取り留めのない時間。

そんな現代の人々をモダンかつノスタルジックに表現したイラストレーションはエレジーとも、ノスタルジーとも違う不思議な感覚に包まれる。描いているのは韓国のイラストレーター、シン・モレ。こんなぼんやりした時間がお隣韓国でも、いやきっと世界中で?流れているであろうと思うと、胸がキュ〜ン、そして後、じんわり。

今回日本で初となる個展を表参道のロケットで開催。準備に伴い、来日したモレちゃん(日本語達者!)にインタビュー。

 

 

インチョンと横浜

 

モレちゃんはどんな日常を送っているの?

ソウルから1時間強、郊外の海に近い埋立地のニュータウン「インチョン」に住んでいます。新しいガラス張りのビルがたくさん増えて、古いビルとのアンバランスを生み出しています。そこに工場がポツポツと点在する少しさみしいSF映画みたいな街。

 

横浜のみなとみらいとか、幕張みたいな感じかな? わたしもみなとみらい付近で生まれ育ったから、海の近くの新しい街独特の寂しさ、すごくよく分かるよ。

みなとみらいは日本に来るとかならず行く大好きなスポット。インチョンにもみなとみらいと同じように遊園地があって、古い観覧車があったの。通学の時にバスの窓からいつもその観覧車が見えるから、席が空いても座らずに立ったままよく眺めていたんだけど、あまり人が入ってなかったみたいで、ある日取り壊されていたの。

 

わ〜何だろう、切ない...モレちゃんの絵に漂う寂しくて静かな感じは、田舎でもなく、都会でもない郊外の空気感なのかもしれないね。

 

IMG_8993

韓国の建物にははベランダがない代わりに、サンルームが設置されていることが多い。モレちゃんのイラストにも度々登場する、まっすぐな光と影が毎日同じ時間に部屋に差し込む。

 

IMG_8994 IMG_8995

近くに仁川国際空港空港があり、遠く何処かへ飛び立っていく飛行機もよく見えるそう。

 

 

ロマンチックガイの存在

スクリーンショット 2017-02-28 23.11.36

イラストはどんなふうに発想して書いているの?

実はイラストに出てくる男の子にはモデルがいるの。 (通称、ロマンチックガイ )ソウルで開催したイラストのワークショップで出会った人。

 

通訳M:モレちゃんが湖を背景にしたイラストを描いていて、それが今までに無いようなテイストだったから詳しく聞いたら 、例の男の子のことを思って描いていたっていうことを教えてくれて。

水の光を初めて描いたので、練習も兼ねて。それまでずっと夜や、部屋の中の絵を書いていたので、2人で外に出たようなイメージで。

 

IMG_9448

今までにない外の新鮮な空気、太陽の光を感じる描写。水面のきらめく描写は今回の個展“ロマンチック2017”でも使われている。

 

ロマンチックガイはどんな男性だったの?

花束をマクドナルドのポテトの箱に入れてプレゼントしてくれたりとか、いちいちロマンチックな人。 話もよく聞いてくれて、すごく安心する存在だったし、一緒に居てすごく楽しかった。 私が「凧を見たい」って言ったのを覚えていてくれて、少し時間が経った後会ったときに「じゃあ作りましょう」って言ってくれて、 一緒にタコを作って上げたりとか。

 

きゃあ〜、なにそのいい男!

いい男か? でも結局告白しなかったから... 。ね。お互い一歩踏み出せない感じで。向こうから言ってくれるのを待っていたんだけど、向こうも優しすぎて、関係が進展しなかったの。彼はソウルに住んでいて、 家をあまり出ない私のために片道1時間強かけて黙々とインチョンに通ってくれていて。ある日ソウル行きのバス停まで彼を送って待っているときに、私から「こんな関係はもう止めよう」と言った瞬間にバスが着て、彼が行ってしまったの。

 

え、ちょっと、切なすぎる…そんな関係!

彼も私に好意があって私も好きだった。 そんなモヤモヤした関係が続くときの状態をそのまま絵に書いたのが彼が出てくるそのシリーズ。

 

モレちゃんの体調とか、気持ちとか状況によって、書いてる絵の場所や色味が変わるんだね。

自分の生活とつながっていて、ファンタジーじゃなくてリアル。今は自分の知らないことは描けないから、自分の分かること、感じることを素にして絵を書くことが多いかな。最近は猫を飼っているからイラストに猫も登場してくるようになったよ。 風景は写真をもとにエスキースをするので、写真もよく撮ります。

 

waikiki02IMG_9457 IMG_9453
若い二人が「ハワイのワイキキに行きたいなあ」と思いをはせるが、 お金も行動力もなく行けない。背景にヤシの木や水族館の水槽、南国の絵を入れることにより、遠いワイキキへのぼんやりした思いを一枚のイラストにしている、「ワイキキシリーズ」。

 

シン・モレのピンク色

IMG_9455 2

 

イラストの着彩ででピンクをよく使っているイメージがあるんだけど。ピンクにはどんな感情が込められているの?

もともとは白黒のイラストを書いていて、ピンクはそんなに好きな色じゃなかった。一般的にピンクのイメージは可愛いとか、優しい感じがあるけど、 私がピンクに感じるのは寂しさとか切なさ。ブルーを使っていた部分をピンクに変えることによって、言葉に出来ない気持ちの表現ができるかなと思って、よく使うようになったの。

 

IMG_9455 2

このイラストは今日本でも注目を浴びている韓国のデザイナーズブランドADERERROR(アーダーエラー)とのコラボレーション。ユニセックスなデザインやキャッチーなロゴアイテムはGINZA読者もきっと気にいるはず。

 

ピンクって、女の子の色にされがちだけど、確かによく考えてみると暖色でも寒色でもない不思議な色だよね。身の回りのにもそんなにピンク色の物は無いの?

うん。よく言われるんだけど、女の子らしいものは小さい頃からあまり好きじゃなくて、お人形よりもロボットや車が好きな子供だったの。ゲームもオタクで、専用のカスタムPCを自分で作ったり、アマチュアのインディーゲームを掘ったりと...今も疲れたときにはゾンビのシューティングゲーム!韓国では女の子がゲームをやる文化はあまりないので、ゲーム大好きっていうとかなりびっくりされるよ。

 

韓国ではHIP-HOPのTV番組が放送されて人気と聞いたよ、モレちゃんも聴くの?

HIP-HOP大好き!自分のことを大きく強く表現するラップは、私の表現とはかけ離れているので、自分が強くなったような気持ちになれる。 最近良く聴いているのはASAP MOBのcozy tapesと、メロウでおすすめの韓国のラッパーReddy。

cozy tapes vol.1 ASAP MOB

[ch.madi] 안투라지 (ENTOURAGE) MIXTAPE #5 뮤직클립 레디 (Reddy) - 너라도 (Feat. 김보아 of SPICA)

 

普段の私のフェイバリットは、ビートルズやドアーズなどの6,70年代の音楽とエディット・ピアフ。

Edith Piaf - L'Hymne à l'amour

 

東京で好きな場所はどこ?

三軒茶屋がお気に入り。キャロットタワーから見える夜景。世田谷線の駅のレンガ造りの駅舎や、線路が道の先に伸びていく感じとか、世田谷線沿線は特に懐かしい雰囲気があってすごく好き。そのうち、絵にも書ければなあと思っています。中野ブロードウェイも好きだけど…それはショッピングでね。笑

 

では逆に、日本のみんなに韓国でおすすめしたいスポットがあったら教えて。

私かなりインドア派だから…ソウルにも用がないと行かないなあ。家からすぐのインチョンにある韓国戦争記念館(The Memorial Hall For Incheon)は山上にあるから静かで、広場があって、光が超きれいでおすすめ。あまりポピュラーな場所ではないけれど、私にとってとても落ち着く場所。昔は前に話した観覧車もよく見えて、夕方には大きな建築の壁に影がゆっくり落ちていくのをじっと見られるよ。

 


tumblr_inline_om2yx8wiZN1r1jnsc_1280

MORAEさん(@shinmorae_)がシェアした投稿 -

Shin Morae ”ロマンス2017”
表参道ROCKET
2017.03.03.fri - 03.08.wed
11:00-21:00 /  11:00-15:00 (3/3) / 11:00-20:00 (3/5) / 11:00-18:00 (3/8)

新しい光と色の表現に大胆にチャレンジした新作6点の新作を展示販売予定。

シン・モレ (신모래) Shin Morae

1988年生まれ。韓国出身のイラストレーター。 2013年から現在の作風で作品を描き下ろし、多様なメディアとのコラボレーションやグッズ展開で注目を集めている。 最近は2匹の猫ドゥルとムンシル(日本語で「みんな好き」「フワフワ」の意)のために自動餌やり機を購入。アラーム付きのボイスレコーダーに「イリワ〜 (こっち来て)」「パンモゴ〜(パン食べて〜)」と自分の声を録音して猫達のの不在時にも気を回す優しさ。

彼女の作品をもっと見たい方は、ウェブサイトとインスタグラムをチェック。
shinmorae.com
instagram @shinmorae_

Cooperation: Ayaka Matsuno
text: Aguri Kawashima

関連記事

Share it!

FOLLOW US

GINZA公式アカウント