友達になりたい男の子・シャムキャッツのフロントマン、夏目くんに会ってきた!「ガチガチじゃなくてEASYなのが心地いい。」

友達になりたい男の子・シャムキャッツのフロントマン、夏目くんに会ってきた!「ガチガチじゃなくてEASYなのが心地いい。」

シャムキャッツ 夏目

カレーを食べたり、ヘアカットしたり、Zineを買ったりしながらいろんなミュージシャンのライブを楽しめる音楽イベントEASYを主催したり、それぞれがソロでもアルバムリリースやライブ、ゲスト参加など精力的に活動したり……。「なんだかおもしろそうなことやってる……」と常にざわざわさせてくれる4人組ロック・バンド、シャムキャッツ。そんな彼らが3年とちょっとぶりに、ニュー・アルバム『Friends Again』を来たる6/21(水)にリリースするという。しかも、発売に合わせて期間限定のポップアップショップ≪Friends Store≫を開催するそうで、東京会場となるWDI Galleryにて、バンドのボーカル、ギターを担当する、最も気になるカルチャー・ボーイこと夏目知幸くんに会っておしゃべりしてきました。


 

ずっと友達ではあるんだけど、スタジオに入ったときも友達でいたいなと。

 

ー自主レーベル「TETRA RECORDS」を立ち上げてから、約1年になります?

そうですね。

 

ー少し前だとやんちゃな男の子たちみたいなイメージがあったのだけれど、今回のアルバムは少しグロウアップした大人としての素直な部分が垣間見えるように感じたのですが、自分たちのなかで成長したなっていう感覚はありますか?

去年1年間、テーマを決めずに全方向に向けていろんなジャンルの曲を作ったんですよ。悪く言えば、とっ散らかっていたのだけど、それは何故かというと、バンドを長くやるとやりたいこともやれることも増えていたし、ちょっと欲張りになっていて。やっちゃえ!みたいな。それを経たら、少し落ち着きたくなったというか。去年の9月くらいに、散らかったのを作っていてもしょうがないよねという話をバンドメンバーとして。成長って自分たちでは位置づけてはいなかったけど、自信がついてきたからこそ、音を減らそうという話はしてた。あとは、4人の役割分担をはっきりさせてゴチャゴチャさせないふうにしようって。

 

ー何年一緒なんでしたっけ?

俺と菅原は幼稚園のときに知り合って、ドラムの藤村とベースの大塚とも高校生のときから一緒にやってるから相当長いですね。

シャムキャッツ
左から大塚智之(Ba,Cho)、夏目知幸(Vo,Gt)、菅原慎一(Gt,Vo)、藤村頼正(Dr,Cho)撮影:伊丹豪

 

ー今回のアルバムタイトルは、『Friends Again』となっているけれど、以前菅原くんのインタビューか何かを読んだときに、バンドメンバーともう一度友達になりたいと思ってると話をしていて、そこからきているのかなと。

うん、まあね。実は、去年菅原があのインタビューを受ける前には、次のアルバムのテーマは『Friends Again』でいくっていうのは言っていて。

 

ーまた、友達に戻って作ったという?

そう。自分たちでレーベルをやり始めてから、それ以前からそうなんだけど、バンドをちゃんと動かしていこうとすると、運営の面をしないといけないし、かなり仕事っぽくなっていったんですよ。あんまりやりたくないこともやらなきゃいけないし。でも、それをあまりスタジオに持ち込みすぎるのはよくないなと感じていて。で、Friends Againって感じかなってパッと思いついて。

 

ー責任感が出てきちゃったんですかね。

前からもスタジオを出れば友達だったんだけど、音楽を作るとなるとみんながそれぞれの役割を全うしようとしすぎて、窮屈に感じてたんですよね。友達って役割がなくて集まるものだと思うから。役割とかじゃなくて、みんながひとりの人間という状態でスタジオに入りたいというか。ずっと友達ではあったのだけど、スタジオに入ったときも友達でいたいなと。それに、バンドメンバーが気持ちよく乗ってくれるテーマを、ずっと探していたんですよ。

 

ー音楽の嗜好はそれぞれあるけど、メンバー全員が乗れるものっていうこと?

そうそう。個人的に押し進めたいテーマを持っていくんじゃなくて、4人が一致団結できるテーマはあるかなって考えていて。今できること、したかったこと、4人の顔がすっと見える感じのものがいいなと思ってたから、このアルバムでそういう目標は達成できたと思う。

 

ーAgainというと、一度お別れがあってまた始まるという前向きな感じがありますよね。

戻るってことではないんですよね、リターンではないというか。更新していく、上書きしていくって感じかなぁと思った。あと、これをテーマにすればいろんな曲が書けるかもって思ったんだよね。

 

ー確かに、恋愛についても人生についても書ける。菅原くんが作詞作曲している曲「31Blues」は、31歳について書かれていて、シャムキャッツは年齢をあんまり公開していない印象があったから、あ、言ってる、と思いました。

「こんなタイトルにするの?」って、僕は言ったんですけどね(笑)。僕はあまり自分のことは歌っていなくて、聞き手に託してるんだけど、たぶんだけど、菅原は自分のことを歌っている気がする。割と我を出しているというか。

 

ー二人の曲と声のバランスがすごくいいですよね。先ほど言っていたけれど、バンドメンバーの役割分担はどうなっているんですか?

俺と菅原が曲と歌詞を作って持っていって、みんなで肉付けしてアンサンブルを形成するんですけど、レーベルをやっていくうえでは、ドラムの藤村が会計をやって、ベースの大塚が全体のまとめ役、菅原はグッズを考えていたり、俺はジャケやイベントをどうするかみんなと話しながら進めたりするクリエイティブ担当です。

 

ーじゃあ、MVやヴィジュアル面のディレクションは夏目くん担当なんですね。

そうなんですけど、自分の想像通りのものができても面白くないような気がしてて、MVを作るとなったら任せちゃってますね、監督やディレクターに。

 

ーシャムキャッツはコラボするクリエイターとの関わりも、お仕事の発注って感じじゃなく、新たな友達の広がりという感じがありますよね。

そうそう。昔から発注みたいなのができなくて。割とみんな疑り深い性格だから、ちゃんと信用できていないと一緒に仕事ができないというか。話ができる人としか進められないから。

シャムキャッツ 夏目

女の子があんまり表ではしないような話を、僕らは全然知ってた。

ーシャムキャッツって、相手が女性男性問わずちゃんとお話ができそうなところが、友達になりたいって思わせる部分なんじゃないかと個人的には思うところで。

嬉しい。マイク・ミルズ監督の映画『20センチュリー・ウーマン』を観て、わかるなと思うことがあって。僕の母親は四姉妹の長女なんです。妹が生まれたり、叔母さんの子どもも女の子だったり、ほとんど女の子に囲まれて育って、僕も幼稚園に入るまで女言葉しか喋らなかったらしくて。だから、いじめっ子に追いかけ回されるようなタイプだったんです、ドッジボールもできないし(笑)。

 

ー女系家族だったんですね。私は『20センチュリー・ウーマン』を観て、マイク・ミルズは最高の男だと思った。

俺も思った! 俺ももっと周りの女性からいろいろ学べばよかったと思ったな。

 

ー女性っぽいわけじゃなく、シャムキャッツとは恋の話から映画の話までいろんな話ができそうな感じがあります。

ライブが終わったあととか、ファンの人たちがすごく話し掛けてくれるんです。そういうネットラジオをやってるからかも知れないけど、恋の悩みをバンバン相談される。「夏目さん、昨日別れちゃったんですけど」みたいな。

 

ーなんて答えるんですか?

振られた女の子には、「君みたいな子を振るなんて相手が馬鹿だったってことだよ、そんな奴もうこっちから願い下げで別れて良かったんだよ」って言う。

 

ーほしい言葉をちゃんと言ってくれるんですね(笑)。ストレートな男性だけど、感情的にはトランスでどちらにも寄せられるんだ。

そういう話はバンドでもよく昔からしてましたね。それぞれ彼女がいる時期もいない時期もあるけど、女性がこういうふうにしてきたとき俺たちはどうしたらいいのかという話をめちゃくちゃするバンドだった。最近はもうしきってしなくなりましたけど。普通の女の子があんまり表ではしないような話を、全然知ってた。PMSの話をスタジオでするとかね(笑)。男同士で集まってするのが生理の話だったりした。

 

ー進歩的だ。みんなが女性に囲まれた環境で育ってるわけではないですよね。

そういうわけでもないけど、うちのバンドって昔から、「彼女とご飯食べにいかなきゃいけなくなったから練習を早く抜ける」とか「彼女の機嫌が悪いから練習に遅れる」とかがOKなバンドで。定期的にスタジオが決まっていても、「ツアーが長引いてこの日くらいは飯を食っとかないと機嫌を損ねるから、練習はなしにしよう」とかみんながそういう感じなんですよね。

シャムキャッツ 夏目

ガチガチじゃなくてEASYなのが心地いい。

ー今回アルバムリリースに合わせて、期間限定のポップアップストアをオープンするとか。

アルバムをじっくり聴いてもらってからツアーにまわりたいなと、リリースからツアーまで3カ月くらい空けてるんですよ。さっきの友達の話じゃないけど、別にお客さんととりわけ親しくしようとは思ってはないんだけど、ステージの上とフロアの距離感をとりたくなくて。もっともっとみんなが混じれる場所を作りたいっていうのがあるから、じゃあ店でもやるかと。トークライブをしたり、オリジナルグッズを売ったり、バンドをイメージしたオリジナルのクラフトビールを出したり。

 

ーステージ上と下じゃなくて、地続きのオープンスペースでいいんですね。

参加型に本当はしたいくらい。フロアからこっちに話し掛けてほしいし、こっちも友達に文句言う感じで突っ込みたいし。もうそういう感じに自然とやってきちゃってるから。バンドが2009年に動き始めたときから、ライブハウスにカレー屋とか床屋を入れたりしてましたし。なんかクセなのかなぁ。でも、やっぱり、ライブハウスをあんまり閉じられた空間にしたくなくて。誰が何をしてても何を喋っててもいい、というオープンな空気が欲しいんだよなぁ。

 

ー髪の毛を切ったり、カレー食べたり、お酒飲んだり、Zineを買ったり、みたいなことがライブと並行して行われているのがガチガチじゃなくて気持ちいいですよね。

そうなの。ガチガチじゃなくて気持ちいい。自分たちが居心地がいいのがいい。

 

ー まさにEASY感。これからシャムキャッツはどこへ向かって行くのでしょうか? EASYには行くんだろうけど。

いや、でもね、大きくしていきたい欲望はすごくあるから。あるけどEASYな感じがいいんだよねぇ。昔から言ってるけど、フジロックのグリーンステージも出れるし、その辺りの八百屋さんでもライブができるようなバンドに、本当はなりたい。

 

ー遠くにいるスターでなく、街にいるスターみたいな?

そうね。できればね。それにはまず、スターにならないといけない。

 

ーゆうちょ銀行のCMでも新曲「Four O’clock Flower」が使われているし、シャムキャッツの活躍を見る機会は年々増えている気がしますが。いろんな人たちと会う機会も、どんどん増えていそう。

うーん。まぁ、ライブハウスを大きくできているから悪い状況ではないと思うんだけどね。いろんな人たちに会えるのは、それは本当に有り難くて、楽しいよね。音楽の友達って、実はあんまりいなくて、写真家だったり、編集の人だったりと会っているほうが僕には合ってるというか、他ジャンルの人の方が喋りやすいですね。音楽をやってる人と喋るときより、ちゃんと格好いいものを作らないとなって気分にはなるかな。

ゆうちょ銀行TVCM「みんなの、ここに。」篇30秒

 

ーどうしてそうなるんでしょうね?

うーん。音楽を作っている人だと、コードとかリズムとか細かい話になっちゃうというか。あんまりそういうことじゃない気がして、ぱっと聴いたときに格好いいか悪いのかで判断するほうが気持ちいいかなと。写真を見に行っても、僕は専門家じゃないからなんとなくのいい悪いしかわからないし、好き嫌いしかわからない。でも、そういう関係のほうが合ってるなと。

シャムキャッツ 夏目

カルチャー男子になってしまいましたね、いつの間にか。

 

ー夏目くんは文章を書いたり、ENJOY MUSIC CLUBの「夏の魔法」のMVに出ていたりもしますが、文章を書いたり、演技したりするのも好きですか?

好きです。自信があることじゃないから。本業じゃないから、あまり気張らずできる。あと、誰かがディレクションしてくれるじゃないですか、だから指示に従えって動けばいいだけというか(笑)。音楽だと自分がディレクションしないといけないじゃないですか。それをしなくていい気持ちよさがある。

ENJOY MUSIC CLUB「夏の魔法」

 

ー映画もすごくたくさん観てますよね。映画についてコラムとか書けばいいのに。

できたらいいですね。評論はできないし、読みもしないけど、「あれ観た? どうだった?」って話をするのはとにかく好き。

 

ー音楽の話はしないの?

音楽は最近してないかな。共通で話すことがなくなっちゃった。音楽はみんな好きなのを勝手に聴いててるだけでしょ? みんなが聴いてる音楽がバラバラだから話さないんだと思う。ちょっと僕が嫌だなって思っているのは、音楽って映画みたいに自分から離れている作品として扱えない部分があって、聴いてる人たちも特に思春期だと自分が好きな音楽が否定されると、自分が否定される気分になるというか。好きなミュージシャンを否定されると、みんなムキになっちゃうでしょ? その点、映画は、「あの映画のどこがいいの」と否定されても、もっと話が盛り上がるというか。

 

ー漫画もそうですよね。音楽は歌詞が断定的じゃないというか余白が多いから、そこを自分のものとして埋めやすいんじゃないですかね。

感情移入だけが感動じゃないからな、映画は。音楽は感情移入しちゃう人が多いと思う。しなくてもいいのにね。

 

ーそう思うけど、感情移入と共感が映画の楽しみ方だと思っている人はすごく多いですよね。

そうだね、確かに! それを言っていこう。感情移入だけが映画の見方じゃないって。

 

ーそうじゃないと、全然関係ない国の関係のない人の話はつまらないってことになっちゃうもんね。

そこなんだよね! それは歌詞を書くときにも気にしてるところ。僕としては、本当に今言った通りで外国の知らない地域の知らない人たちの話を観ることで感情移入じゃない感動ができるから、なるべく歌詞をローカルなものにしたいんです。一時期はその気持ちが強くて、自分の街にある橋の名前とかを出したりしてたんだけど。感情移入だけが感動だって思っている人には通用しないだろうな、俺の歌詞ってと思っちゃうな。

 

ー夏目くんって、ものすごくカルチャー男子なんですね。

カルチャー男子になってしまいましたね、いつの間にか(笑)。どんどんそっちに寄っていった。漫画は大好きだったけど、映画をたくさん観始めたのは、大学を出るときに本格的にバンドときくらいからで。それまでは人並みにしか観てなかった。2時間も拘束されるし、座ってなきゃいけないから苦手だった。でも最近ね、ふっと気づいて、俺仕事は音楽でしょ? 趣味が映画と音楽鑑賞、本読んだり漫画読んだりって、めちゃくちゃインドアだなって。買うものもCD、雑誌、映画館に行ってお金を使って、服を買うくらいだから、つまんない人間だなと。俺の人生もっと違うものが欲しいと思って野球観戦をしに行くことになった。

 

ー野球観戦、面白いですか?

めちゃくちゃ面白いし、仲のいい友達と飲んでると、「ねぇねぇ野球観に行こう」というのがクセになってる(笑)。小5、6のときに少年野球をやっていて、そのときはヤクルトファンで熱中してたんだけど、ずっとそのことを忘れてて。なんかね、ちょっと球場に行こうかなとふと思うときがあって、行ったら盛り上がっちゃって。でも、面白いのは、結局話している内容が、映画とか漫画だったのが野球にすり替わってるだけなの。「こないだのあいつのピッチングどうだった?」とか、「あの場面は打たなきゃ駄目だろ」とかってね。

 

なつめ・ともゆき

1985年生まれ、千葉県・市川市出身。東京を拠点に活動するロックバンド、シャム キャッツのボーカルとギターを担当。6月21日に3年3ヶ月ぶりとなるフルアルバム『Friends Again』をリリース。9月より全国13ヶ所をまわるワンマンツアーをを開催。siamesecats.jp

 

MV「Travel Agency」
監督・撮影:伊丹豪 編集:芳賀陽平 プロデュース:長畑宏明(STUDY)

 

NEW ALBUM

Friends Again_coverjacket

シャムキャッツ 『FRIENDS AGAIN』
2017年6月21日(水)発売
Label:TETRA RECORDS
Price:¥2,700 + Tax

 

 

期間限定のポップアップショップ≪Friends Store≫開催!

【会場】
東京会場:WDI. Gallery
大阪会場:The 光

【開催期間】

2017年6月24日(土)~28日(水)

【営業時間】
・東京会場
全日OPEN13:00/CLOSE21:00
※最終日のみ19:00まで

・大阪会場
土日OPEN12:00/CLOSE17:00
平日OPEN13:00/CLOSE20:00

【トークライブについて】
※開催は東京会場のみ
※観覧するには事前にメール予約が必要
※トークライブ開催中もストアは並行して営業
※当日はトークライブの模様を生配信します

▼開催日時
6月24日(土)~27日(火)
STRAT 20:00

▼イベント内容
6月24日(土)藤村[ゲスト:どついたるねん] *SOLD OUT
6月25日(日)菅原[ゲスト:堀込高樹(KIRINJI)] *SOLD OUT
6月26日(月)大塚[ゲスト:タツミケイゴ(never young beach/Bass)]
6月27日(火)夏目(大阪会場からSkypeで中継参加)[ゲスト:伊丹豪 他]
司会進行:長畑宏明(STUDY)

▼参加方法
チケット代:¥1,000
6月24日(土)~27日(火)のトークライブに参加希望の方は、HPより予約が可能。
http://siamesecats.jp/news/1257/

 

Photo: Patrick Tsai Text & Edit: Tomoko Ogawa

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