12 Apr 2021
モデル、デザイナーのセラ・ヒロミ・スキナーにインタビュー「縁のあるものを大切に」|ハロー!世界のガールフレンド vol.1

世界のガールフレンドを追いかけるaggiiiiiiiさんの本誌連載「WORLD CULTURE GRRRLS」の出張SNAP編。おしゃれ上手でいつも気になっているという3人の女性に登場してもらいました。3者3様、個性あふれる私服スタイルとインタビューをお届け。今回は、モデル兼デザイナーのセラ・ヒロミ・スキナーさんが登場。
SARA HIROMI SKINNER
セラ・ヒロミ・スキナー
Instagram→ @sara_hiromi
少し前の〈アクネ ストゥディオズ〉の広告の、ナチュラルな姿でこちらを見据えるきりりとした眼差しにハッとした。モデルなのにメイクもヘアもほとんど手を加えず、私物だというTシャツも穴だらけで、彼女という人そのものが映し出されたような写真。デザイナーでもあるセラさんは家族や恋人や自然を愛する自由な女の子という印象で、ユニークなヘアスタイルも彼女にかかれば、そうだよね、好きな格好すればいいんだよね、ってなんだか妙に納得してしまう。ガーリーにもパンクにも振り切れるけど、そんな枠組みなんて彼女の前では無用だね。
INTERVIEW
縁のあるものを大切に
−どこに住んでいますか?
テキサス出身で、今はNYに住んでいます。
−1日の過ごし方を教えてください。
フリーランスで仕事をしているので毎日変化が!モデルをしたり、セットデザインをしたり、時にはボーイフレンドのレストランを手伝ったりすることも。忙しく仕事をするのは好きですが、ずっと同じことをするのは飽きちゃう。お休みの日は友だちとものづくりをしたり(私はクロシェとビーズの編み物を)、街を離れて自然の中でゆっくりとデイトリップを楽しんだりもします。
−どんなところにこだわって着るものを選んでいますか?
面白いものが大好き!色やパターン、変わったカッティング。ありきたり過ぎないものがいいですね。
全身柄モノでも不思議とシック。〈サンディー・リアン〉のレオパードシャツに、パンツとマスクは〈コリーナ ストラダ〉。シェルネックレスは〈ハネムーン〉のもの。
−スナップで着用されたアイテムについて教えてください。どんな点がお気に入りでしょうか?
好きなデザイナーの服ばっかりです(笑)。〈コリーナ ストラダ〉 〈サンディー・リアン〉〈アキラナカ〉〈ガウントレット・チャン〉〈テルファー〉とか。自分にとって何か意味のあるものを着たいと思っていて、一緒に仕事をしたことがあったり友人のブランドだったり。そういうアイテムを着ることで友だちをサポートすることもできるし、単純にハッピーな気持ちになれます。
−今、買おうか悩んでいるアイテムはありますか?
もっとヴィンテージのTシャツがほしいですね。自分から積極的に探しにいくのはそれくらい。NYは高いし数が限られるので、あんまりヴィンテージの買いものには向いてないんです。なので家族に会いにテキサスに帰った時は、レアなバンドTシャツや他のものをチェックしに1日中スリフトショップを巡っちゃいます。
−お持ちのアイテムの中で、一生手放したくないものがあったら教えてください。
たくさんあります!毎日つけていて一番大切なアイテムは、私の“オバアチャン”から譲り受けたリング。一生身につけていたいと思ってます。クローゼットには友人の手作りの服もいっぱいあって、それはこの先もずっと大事にしたいものです。
−いつか身につけたい、憧れのアイテムは?
実際に身につけてみないと好きかどうかわからないので、憧れアイテムをあげるのは難しいですね。ルックブックや雑誌で美しいものを目にするけれど、お店に見にいくと違うなって思ったりして、結局最初に気になっていたものじゃなくて他のアイテムを買ったりしてしまいます。
−今の髪型は人生でもっとも短く、同時にもっとも長いそうですね!ヘアスタイルのこだわりを教えてください。
歴史的なヘアスタイルに興味があって、中世の女性がおでこを広く見せるためにひっつめている髪型が気になります。特に辮髪スタイルは大好き。ずっと襟足を伸ばしたマレットヘアが定番と思われていたんですが、自分の中では前半分がショートヘア、後ろはロングという2つの髪型にしているイメージでした。それぞれ違う風にヘアセットして、整髪剤も変えてましたね。ある日(自分で切っていて)前のヘアカットに大失敗した時に辮髪のことを思い出して、ボーイフレンドに剃ってもらったんです。それで今は辮髪スタイルに!
現在の髪型はなんと辮髪。さらにこの後、坊主の部分を金髪に。この日は〈エコーズ ラッタ〉のドレスに〈アキラナカ〉のニットをレイヤード。〈コリーナ ストラダ〉のタイツと〈シモーン・ロシャ〉のイヤリングを。
−モデルエージェンシーのプロフィールで、白洲正子さんの文章を引用されています(Enough of words. Show me in form)。なぜその言葉を選ばれたのでしょう?
建築インテリアの学士号を持っているんですが、学生時代は彼女の文章からデザインプロジェクトのインスピレーションを得ていました。彼女の美意識は私の人生のいろんなシーンに影響を与えていて、この引用も自分のモデルへの姿勢を象徴する言葉だなと思ってます。カメラの前ではあまり自分から言葉は発したくなくて、フォトグラファーにムードや刺激を引き出してもらいたいんです。そこから自分の頭に落とし込んでみて、周りには誰もいないと想像して踊ったり、表現してみる。自分の体や顔が生み出す形に集中するんです。人間ではなくて、粘土の人形になったような感覚です。
Text: aggiiiiiii Edit&Translation: Aiko Ishii
GINZA2021年2月号掲載