《ファッションビルは、 非日常から日常へ》ジャーナリスト 川島蓉子さんにファッションビルと広告の関係を、たっぷり語ってもらいました!

《ファッションビルは、 非日常から日常へ》ジャーナリスト 川島蓉子さんにファッションビルと広告の関係を、たっぷり語ってもらいました!

パルコ、ラフォーレ、ルミネ。毎シーズン、めくるめくファッションのトレンドを手に取れるものにしてくれるのは、いつだってファッションビルだ。街のざわめき、肌で感じる同時代の空気、友達とのおしゃべり。ファッションビルの広告のヒストリーには、「いま・ここ」を生きる私たちのファッションがある。


 

 ファッションビルは、 非日常から日常へ

日々変わり続けるファッションに、社会やビジネスの視点から切り込むジャーナリストの川島蓉子さん。70年代から現在まで、ファッションビルと広告の関係を、たっぷり語ってもらいました。

 

企業のトップとクリエイター の蜜月がよい広告を生む

魅力的な広告に共通するのは、クライアントのトップと広告を作るクリエイターが直にコミュニケーションしていること。企業のトップは、未来のビジョンがあって、そこに向かって人を動かす力がある人たちで、クリエイターは未来をビジュアルや言葉、イメージでかたちにできる人たちです。だから、両者が見ているものは同じ。そこが一致すればいいモノができるんです。トップとクリエイターが一緒に組んで作れる環境があるかどうかが、重要なポイントですね。

 

街へ出かける=非日常だった

ばいいモノができるんです。トップとクリエイターが一緒に組んで作れる環境があるかどうかが、重要なポイントですね。  ファッションビルができたころ、70年代の日本は、まだまだ暮らしは豊かじゃなかった。今みたいに四六時中衣食住にこだわった生活なんかはできませんから、街に出かけることが非日常のイベントだったんです。家の中ではつつましく暮らして、さあ出かけるぞって時に、おしゃれをして、気持ちも張って街に出る。ショッピングも、外食も、カフェでお茶も、全部が現実を忘れるための時間。だから、お店もあえて非現実感を演出していました。ショップやカフェのインテリアもそうだし、広告もそう。そういう特別な体験ができる場所が、デパートやファッションビルだったし、おそらく街全体だった。当時の街を撮った写真とか見ても、奇抜な恰好の人が平気で歩いていますよね。こんな人たちも不自然じゃないくらい、当時の街は派手だったし、すごくウキウキする場所だったんです。この頃の広告に見られるパンチのある表現は、そんな街に漂う勢いを表していると思います。

 

ファッションと生活をつないだ西武とパルコ

その方向性を決定づけたのが、西武百貨店やパルコ。西武が公園通り沿いにパルコを作って、エリアまるごと「ファッション」をキーに開発したことが革新的。ポイントを点在させて、街の雰囲気を作っていったやり方は鮮やかでした。70年代は日本もまだ欧米文化を追いかける立場だったので、パルコの広告にある思想や女性の強さの表現には、当時の欧米の最先端カルチャーへの意識が感じられます。  80年代に入ると、街はもっとヘンなことになった。遊びの雰囲気を受容できる安定感があったので、実験的なことがいろいろできたし、とにかくファッションが元気でした。なかでも西武やパルコは、広告のぶっ飛び方の通り、商品のセレクションも売り方もほんとに新しかった。はっきりと「情報を売る」と言い切っていて、東京が世界の最先端になるかもしれないと思った記憶があります。

 

ファッションビルの転換期に 広告は

90年代はバブルが弾けたと言いつつまだ街も元気で、その中心にファッションビルがありました。渋谷=パルコ、原宿=ラフォーレですよね。大貫さんが手がけたラフォーレの広告にも、その余裕が感じられます。強いイメージを作って、そこに人が惹かれて、人気が出る。バーゲンに行列するのは当たり前だったし、人が非日常としてのファッションを求める気持ちはまだまだ強かったと思います。  そして、セレクトショップが一気に広まっていったのが1990年代。モノを選んで売ってイメージも作っての編集作業を路面店がやるようになった。2000年代は、ユニクロの刷新や、Zara、H&M、Forever21といった海外ファストファッションの台頭が大きかった。この流れを受けて、ファッションビルも方向転換せざるをえなくなって。そこでルミネはセレクトショップを積極的に入れていくことに舵をきります。そういう難しい時代に、女の子のリアルな気持ちに寄り添ったビジュアルとコピーで、「服が買いたい」と思わせたルミネは、その転換にもぴったり合った素晴らしい広告です。

 

ライフスタイルが成熟した今、広告が見せてくれる未来は どこへ?

2010年代の今は、セレクトショップやファストファッションも当たり前になって、ハイブランドとカジュアルや古着をミックスさせる着方もみんなうまい。最初にそんなハイ&ローのむちゃくちゃなミックスをやったのは東京の子たちです。ネットショッピングの需要もどんどん増えているし、ファッションビルもその在り方自体が過渡期にあるんじゃないでしょうか。  今になって、70年代に日本に入ってきた「ライフスタイル」という言葉が生活に根付いた感じです。よい生活がしたい、健康になろうっていう思いはみんな強い。だからこそ、ライフスタイルまるごとを提案して、そのための服も、雑貨も、食べ物も、まとめて買えるファッションビルが必要なんじゃないかと。ファッションを中心に、生活をよくしていくことが重要になっていくのでしょう。広告は、イメージを先行して形にしてくれるメディア。これからの広告に、私たちとファッションの未来を見たいですね。

 

川島蓉子

かわしま・ようこ≫ 1961年生まれ。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。主な著書に『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)など。

 

Cooperation: PARCO, Laforet HARAJUKU, LUMINE, NEWoMan Text&Edit: Satoko Shibahara, Satoko Muroga

GINZA2017年7月号掲載

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