【INTERVIEW】吉田羊:ACTRESS WHO HAD CAUGHT A DREAM – 憧れの演出家と4度目の舞台

【INTERVIEW】吉田羊:ACTRESS WHO HAD CAUGHT A DREAM – 憧れの演出家と4度目の舞台

「自分がどういう人間なのか、いまだによくわからないんです」

吉田羊さんは、微笑みをたたえながら、なんでもない口調でさらりと言った。

 

「バラエティなどのお仕事では、ある程度、素の自分が出てしまうのですが、絡むお相手によって全く印象が変わってしまいます。いま、ここではこんなふうに穏やかに話していますけど、別の取材では早口でまくしたてたり (笑)。どれが本当の自分なのかと問われれば、どれも“私”なんです」

 

根っからの俳優気質? どんな場所でも、目の前の相手に自然に呼応してしまうのだそうだ。

役柄の影響か、揺るぎない強い女性のイメージがあるけれど、話してみると、「太陽」というよりは「月」。相手の光を受けて、刻々と姿を変え、相手も自分も輝かせる印象。

 

「毎作品、共演させていただくお相手に、新しい私を引っ張り出していただいている感じなんです。想像もつかないところから、(お芝居の)球を投げられると、思いもしない感情が生まれます。それはそのとき、その相手としか為(な)しえないキャッチボール。私ってこういう面もあるんだ!と自分でも驚くといいますか……。それが面白くてこの仕事を続けているのかもしれません」

 

吉田羊 インタビュー

 

 

ドラマ『HERO』以降、ここ数年の映像作品の活躍はめざましい。

けれど、吉田さんの俳優の出発は小劇場。大学在学中から舞台に立ちつづけて、2009年、三谷幸喜さん率いる東京サンシャインボーイズ復活公演『returns』に大抜擢された。

その後、舞台『国民の映画』、大河ドラマ「真田丸」と立て続けに三谷作品に呼ばれ、11月には新作『エノケソ一代記』の出演が決まっている。

 

エノケソ一代記

シス・カンパニー公演『エノケソ一代記』
作・演出:三谷幸喜 出演:市川猿之助、吉田羊、浅野和之、三谷幸喜、山中崇、水上京香、春海四方
11/27〜12/26 世田谷パブリックシアター

http://www.siscompany.com/enokeso/

 

「私がまだ事務所にも入っていなかった時代、『いつかお仕事ご一緒したいです』と面識のない三谷さんにお手紙をしたためたことがあるんです。後年、そのことを三谷さんにお話したら、『僕の手元には届いていません』と(笑)。当然ですよね。ファンレターは山ほど届くでしょうし、同じような思いを抱く俳優は大勢いますから。お目通し叶わなかったのも仕方ないと思ったのですが、そんな私がこうして何作も出演させていただくようになるなんて、人生何が起こるかわからない。自分のことながら夢のある話だなと思います(笑)」

 

ときおり、古風な言葉を織りまぜる吉田さん。

会話の内容を忘れ、しばし、その日本語のお手本のような美しい話し方に聞き惚れてしまう。

 

「三谷さんの台本(ホン)は怖いです。すでに完成されていますから、書かれたまま演じれば、間違いなくそれは面白いんです。でも、もっと面白くしたいと思うのが俳優の性。けれど、余計なことをして面白さを損なう危険もあります。三谷さんの作品でアドリブや余計な台詞を加えることはしませんが、いい回しや動作で、面白さが伝わらなかったとしたら、それは俳優の問題です」

 

稽古場での三谷さんは、とても大きなリアクションをするらしい。

「ウケている演出家を見ると、俳優のテンションがあがる」と聞き、意識的にそうしているらしいが、そうとわかった上でもなお、「三谷さんを笑わせたい!」と吉田さんは思うそうだ。

 

「三谷さんは本当に面白かったら、稽古場の誰よりも腹をよじらせて笑うんです。ほかの俳優が三谷さんにそうさせているのを見るとつい、私も!!と思ってしまいます(笑)。お客さんより何より、まずは三谷さんを笑わせたい!と」 

 

木村拓哉さんに「人の3倍負けず嫌い」と言われたエピソードも納得である。

そんな吉田さんにとって、俳優をしていて一番楽しい瞬間はどんなときなんだろう?

 

「舞台に限らずですか? だとしたら、台本を読んで、自分の考えた役の設定や背景をもとにアドリブをやってみて、『それいいですね! 活かしましょう!』と監督さんに採用していただいたときですね。自分の役作りの答えあわせで○をもらったみたいで嬉しくなります」

 

脚本を書いたり、演出したいという気持ちはないんですか?

 

「一切ないです。私は根っからの俳優なので、1を2にすることはできても、0から1に生み出すことはできません。それに俳優ってわがままだから(笑)、自分の役について聞いてくるじゃないですか。出演者全員のそれを受け止めなくてはいけないし、それぞれに納得させられる答えを用意しなくちゃいけない。そんな芸当は私にはとてもできません!その上で作品を客観的に見て、俯瞰して演出をつけるなんて絶対に無理です(笑)」

 

吉田羊 インタビュー

 

吉田さんは俳優として実力があるだけでなく、人としてもかっこよく、知的で、女性らしさもそなえた理想の大人。

 

「そんなふうに“大人のカッコいい女”と称していただくことも多いのですけれど、私自身はそこから真逆のところにいる人間と思っています。なので、あまり耳にはいれないようにして(笑)。意識してしまうと、途端にブレてしまう気がするんです。私はあくまで、自分の人生を居心地よく生きていくことを大事にしていきたいんですね。そうでないと、カッコよくも見えていかないのかなと。居心地よく、というのは、自分の好きなお仕事をさせていただくとか、人付き合いも、心がすり減るような関係はなるべく避けるとか。毎日、自分ができるだけ笑顔でいられる環境づくりをするということですかね」

 

でも、好きな仕事とはいえ、忙しいときっとストレスも溜まりますよね?

 

「皆さんご心配くださるんですが、そんなに私、ストレス顔してます(笑)? 大丈夫です。意外と元気です。家が大好きで、自宅にあるお気に入りのソファーでわーっと(手足を広げて座り込むポーズ)3分くらいじっとしていたら、それで十分リセットできる。意外と簡単な女なんです」

 

 

 

吉田羊 Yoh Yoshida

福岡県出身。小劇場で活動ののち、2007年より映像、舞台で活躍。現在映画『SCOOP!』『グッドモーニングショー』が公開中。出演する舞台、三谷幸 喜作・演出、市川猿之助と初共演の『エノケソ一代記』(11/27〜12/26世田谷パブリックシアター)は当日券あり。http://www.siscompany.com/enokeso/

ドレス ¥230,000、ニット ¥56,000(共にヌメロ ヴェントゥーノ | イザ)/ピアス*スタイリスト私物

Photo: Naoki Ishizaka
Styling: Hiroko Umeyama(KiKi inc.)
Hair & Make-up: paku☆chan(Three PEACE)
Text: Tomoko Kurose

2016年11月号掲載

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