それは、部屋のなかの小さな別世界。器と水を用意して、好きな生き物を入れて作る宝箱。
インテリアとしても癒しとしても機能する、真似したくなる水槽を見てきた。
心潤すアクアリウムvol.2 植物が主役の水槽も。自然の力をお部屋に飾ろう。
洗練された構図に酔いしれて。
インスパイアを受けたのは、趣味である山登りの途中で見た沢の風景。底上げされた形状が特徴的な水槽に流木を置き、その周りを苔や、エキノドルステネルス、ピグミーマッシュルームといった植栽が彩る。水の中を泳ぐのは、品種改良により誕生した錦鯉のような配色が美しい「紅白錦」と呼ばれるメダカ(写真下)。シンプルで完ぺきな構図に、時が経つのを忘れて見惚れる。(山上高明さん/CGアーティスト)
インドネシア方面の川の水質であるブラックウォーター。プンティウスペンダゾーナ(尾ひれに黒点がある魚)などの生活環境を現地のそれにすべく、この茶色い水をキープする。とはいえ複雑なメンテナンスは何もなく、水槽のなかで浮いているのも、庭で拾った落ち葉だそう!魚たちの色も揚がって赤っぽく。美しい琥珀のようなアクアリウムができあがっている。(松端秀明さん/デザイナー)
優しい自然観。
グラフィック・デザイナーの岡本一宣さんは、専門店「エイチツー」のアクアリウムを見て設置を決めた。事務所には、120cm水槽と、30cm水槽があり、どちらにも田舎の川に潜ったときのような景色が。「精神的にもストレスの多い仕事なので、柔らかいデザインがいいと思って。自分たちも疲れている時ほど水槽をみていますね」(岡本一宣デザイン事務所/設置・エイチツー sensuous)
もともと水景クリエーター天野尚のファンで、水草水槽をやっていたこともある山崎さん。偶然のフグとの出会いからアクアリウムを立ち上げた。水槽は、インテリアになじむように立方体に。南米淡水フグとアベニューパファーが悠々と泳ぐ。きらっと光るカージナルテトラもいいアクセント。水草を生やすソイルは背面のみに敷いて、前面は砂利で軽やかに。(山﨑真央さん/DJ、音楽ディレクター)
ベビーバスタブには、世界各地の植物が集合。コーヒーの木や座禅草など、実に20種類以上が一年の間にいろんな景色を見せる。猪飼さんが実践するのは、複数の水槽をパイプでつなげ循環システムを整え、あとは触らない”放置水槽”。手入れは3年に一回でOK(!)。餌用に育て始めてハマったというミジンコの筒や、ホワイトテトラの筒などもあって、生態系をひしひしと感じる。(猪飼俊介さん/デザイナー)
「風の谷のナウシカ」の世界観が好きだという菊池さんの水槽は、やっぱりどこか退廃的。空間が安っぽく見えないように、背面に黒スクリーンを。たくさんの木化石で埋め尽くされた隙間を泳ぐのは、グリーンネオンやブリリアントヘッドラミーノーズなど厳選した魚たち。なかでもお気に入りは中国生まれのハゼ(写真上)。のほほんとした表情とはウラハラに、ちょっと獰猛。(菊地倫徳さん/へアメイク)
前回紹介したアクアリウムはこちら。
Photo: Ichisei Hiramatsu Text: Aya Shigenobu