紙のマンガに追いつけ追い越せの勢いを見せるウェブマンガ。スマホひとつあれば、いつでもどこでも、無限と言っていいほどの物語に触れることができる。しかし、数が多すぎていい作品を見つけられないという人も多いのではないか。そんなウェブマンガ迷子には、次の2作をおすすめしたい。
『メタモルフォーゼの縁側』は、75歳のおばあちゃん「雪」が偶然BLと出会い、人生の彩りを取り戻してゆく話。「私 初めて読んだんだけど/なんて言ったらいいのかしら…/応援したくなっちゃうのよ」というセリフに思わずキュンとなる。また、雪が書店のアルバイト「うらら」とBLを通じて親しくなっていくサイドストーリーは、世代を超えた友情物語。密かに孤独を抱える者同士が、趣味を通じてつながってゆくプロセスは、決して派手ではないものの、とても美しい。
『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理
コミックNewtype
©鶴谷香央理/KADOKAWA
夫を亡くして2年。代わり映えのしない日々を送っていた75歳のおばあちゃんをときめかせたのは、なんとBLだった……! 意外性たっぷりの設定と繊細な心理描写でぐいぐい読ませる注目のウェブマンガ。コミックス第1巻が5/8発売予定。
『ダルちゃん』は“女に擬態する女”の話。なぜ主人公の名前がダルちゃんかというと、女に擬態しきれなくなると、輪郭が溶けてダルダルになってしまうから(!)。擬態中の彼女を雑に扱う男性社員や、そういう男から彼女を守ろうとする「サトウさん」などとの交流を通じて、女に擬態することの意味と効果が、読者に突きつけられる。女とは、多かれ少なかれ「女をやっている」生き物。ダルちゃんを自分と重ねて読む人は、きっと少なくないだろう。ジャンルもテーマも巧拙もさまざま。そんなウェブマンガの世界には、あなたのために描かれた物語がきっとある。
©はるな檸檬
女性の美しさを称揚してきた資生堂「花椿」が、女性の生きづらさを扱ったウェブマンガを載せたということで、第1話の発表直後から大変な話題に。最新話では、男の生きづらさも描かれ始めており、ますます目が離せない。