インスピレーションが生まれる、デザイナーが暮らすプライベート空間。それはこだわりのクリエイションに通づる、こだわりのインテリアが広がる。部屋の隅々から醸し出されるこだわりの“おしゃれ”を取材しました。
〈トワヴァーズ〉デザイナー 山口聡子さんの暮らす、アンティークが”温もりすぎ”ない空間
南仏スタイルにインダストリアル感をMIX
キッチンに立つと視線の先には植物いっぱいの大きなテラス。山口聡子さんが家づくりでまず考えたのはテラスとキッチンの位置関係だったという。
「料理しながらリビングで遊ぶ娘の様子が見えて、さらに外のグリーンに癒され、時には思索に耽ることもできる。そんなふうにここだけでいろんなことが完結できる空間にしたくて。光もたっぷり欲しいから窓の配置にもこだわりました」
ダイニングはフランスの普通の家庭で使われていたような古い椅子とテーブルをミックス。キッチンには鎌倉の海で拾った流木を渡し、テラスで剪定したユーカリの枝や飾り終えたブーケなどをつるしてドライにする。
黒のフレームを効かせた縦長の窓を連続させ、ガラス部分は光を取り込みながらも外からの視線は遮るモールガラスを特注。限界まで窓を大きくしたと話す。そんな明るく居心地のいい室内に配された家具はどれもフランスのアンティーク。赤坂や代官山で開かれる蚤の市に足を運び、気に入ったものを探すという。そのひとつプロヴァンスのアンティークチェストの上にはフランスの大きな古い地図。
「仕事でフランスのアンティークレースを集めたり、農夫のワークウェアを研究するうちにプロヴァンスの雰囲気に魅了されて。以前は年に2回は現地に旅行していたけど、娘が生まれてからは地図で妄想旅行です(笑)。もともと職人さんの手仕事が大好きで、アンティークにはその痕跡や、経年の味わいが感じられるのがいい。ただ〝温もりすぎ〟は避けたいので、工業系のデザインをミックスしてバランスをとっています。洗練されすぎず、土っぽすぎずの、ほどよい感じが好きなんです」
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山口聡子
2011年にスタートしたウェアブランド〈トワヴァーズ〉。“TOWA”は日本語で永遠を、“VASE”はフランス語で花瓶を意味する。「主役を引き立て受け継がれていく花瓶のようであること」をその名に込めた。東洋と西洋の融合をテーマにものづくりをする。
Photo: Aya Sekine Text&Edit: Nobuko Sasaki (tampopo)