23 May 2018
FROM EDITORS 初夏の旅 川端康成が愛した南伊豆へ

初夏の足音が聞こえてきたら、旅に出たくなる。5月16日は松尾芭蕉がおくの細道へ出発したとされる”旅の日”。編集部員それぞれの旅の形をリレーでお届けします。最終日は──
Early Summer Trip 8
「下田の港は、伊豆相模の温泉場なぞを流して歩く旅芸人が、旅の空での故郷として懐かしがるような空気の漂った町なのである。」
──川端康成の『伊豆の踊子』の一節である。
ちょっとまとまった休みが出来ると海や山のある方へ行きたくなるのはどうやら昔の人も変わらないのかもしれない。旅先で出会う人やものはなんだか特別な感じがする。そんなわくわく感と初めての場所へ行くそわそわとした気持ちとを抱えて、小説のタイトルが由来となった列車「踊り子号」へ飛び乗り終点、伊豆急下田まで。向かう道中、窓の外に次第に広がっていくブルーも見所。
ペリーロードの中にあるアンティークも取り扱う喫茶店「風待工房」。店内には懐かしいボンボン時計の音。
水族館の方へ向かう遊歩道は削られ方が美しい岩を鑑賞したり、ヤドカリを見つけたり、目をこらすと生き物がたくさんいる散策スポット。
木陰から町を一望できる下田公園からの眺め。軽い登山のようだが息切れしながらもこの景色が見れるならなんでもない。道沿いにはすでに紫陽花のつぼみが。咲き乱れるであろう6月も訪れたい。
静岡と言えば、大好物の鰻を食べずには帰れない。「小川家」さんのうな重は上品なタレが鰻の旨味を生かしていて、思い出しただけで…ああ、また食べたい……。
フィルムを買い忘れてしまったので今回の旅では”写ルンです”を。伊豆急下田駅からバスで約15分ほどのところにある白浜海岸の砂の白さと海の青さはいくら見ていても飽きない。
今も昔も旅の終着点だった下田の港で過ごす休暇。浜辺でのんびりと初夏の風を感じに行くのはいかがでしょうか。
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nico.A
編集アシスタントにこ。海も山も、と求めながらお酒も欠かせない。夜も深まる頃ダンスミュージックにつられてペリーロードの「SOUL BAR 土佐屋」へ。お酒を飲み過ぎるとタクシーを逃すためご注意。@2_c_o_