今、世界に意義のある変化と進化を起こそうと、熱くメッセージを発信しているのはインディペンデント誌の編集長だ。多趣味でマルチ、自由でおおらかなエネルギーを持った女性編集長たちをフィーチャー。
インディペンデントマガジンとその女性編集長たち『EDITORIAL MAGAZINE』クレア・ミルブラス(27)
クレア・ミルブラス(27)
Montreal – Canada
『EDITORIAL MAGAZINE』
Photo: Monika Mogi
絵を描くのが大好きなクレアが、自身の作品を発表する場を求め、雑誌版『EDITORIAL MAGAZINE』を作ったのは4年前。当時は極少部数の出版だったが、カナダの小さな町から発信されるガーリーでハードコアな世界観は、今、世界中から熱い支持を得ている。最新号の出版記念で来日したクレアに話を聞いた。
最新号の出版おめでとうございます。表紙はおばあちゃん、なんですね!?
「私は普通の雑誌のようなありきたりのことはやりたくないから」と前置きしながら「親友でもある写真家のマヤ・ファーのおばあちゃん(95歳)に表紙を飾ってもらったの」。
『EDITORIAL MAGAZINE』のファッションストーリーは、おしゃれには洋服以外の好奇心や知性が大切であることを教えてくれる。
「それに私の雑誌は文章もとても多いわ。歴史や芸術についての教育的なエッセイをもっと増やしていきたいの」。
そういえばクレアが執筆した〝ナイーヴ・アート〟に関するエッセイは(文化系女子学生のひねりの利いた論文という感じで)読み応えがあった。
「いわゆる正規の美術教育を受けていない人たちが独学で描いたアートのことなんだけど、それを紹介することって『EDITORIAL MAGAZINE』のスピリットを象徴しているんだ」。
なるほど。作品を発表するつもりもなく創作していた表現者たちを、アート活動を続けるクレア自身と重ねているのかもしれない。
ところで、マガジン作りはどこで覚えたの?
「完全に独学よ。何もわからないところから始めたから、まずはグーグルで〝雑誌の作り方〟って検索したわ(笑)。最初の号は文字が大きすぎたり、画像が粗かったりしてひどいものだったんだけど。毎号作りながらいろんなことを学んできて、ようやく作り方もこなれてきた感じ」。
なんでも検索できるもんね。素人だったクレアが、何もわからないところから雑誌を立ち上げて作り続けていることは、日本の多くの女の子たちに刺激を与えてくれるだろう。これから先、どのようにしていきたい?
「インディペンデント誌は、自由でルールがないから自分が好きなものを何でも取り上げられる。でも続けていくためには、いつかは広告もしっかり入れていかなきゃいけないし、私はもっとプロフェッショナルにならなきゃいけない」。
インディペンデントの壁をとっぱらったとき、クレアはどんな表現を見せてくれるのだろうか。彼女の大きな成長を、毎号見届けたいなと思った。
企画、執筆からデザインに至るまで雑誌作りのほとんどをクレアが担当。作業場はベッドルーム。写真は14号の表紙。
水原希子・佑果姉妹のファッションストーリー。毎号参加している写真家モニカ・モギの作品だ。最新号15号から。
家族、友人の作品からインスタで見つけたものまで、クレアがぐっときたアート作品を紹介。写真はクレアのペインティング。
“ナイーヴ(アウトサイダー)・アート”に関するクレアのエッセイ。アンリ・ルソーをはじめとする芸術家たちについて考察。
ブルックリンにあるロシア人街で、NYデザイナーの服を着せて撮影。ユニークなファッションストーリー。
オフィス兼自宅はとっても寒いの。エディターのレベッカがコートを着て私たちの夕飯を作ってくれているところ。
ぬいぐるみのハーブ(左)とピンキー(右)は私が6歳の時からずっと一緒の親友。表紙を飾る日もそう遠くないかもね。
姉のダービーが撮ってくれた花に覆い尽くされた私の写真。紙の『EDITORIAL MAGAZINE』1号目の表紙に使った。
東京特派員のモニカ・モギが私たちのオフィスを訪れた時の写真。毎号「自由にやってね」ってページを託している。
Photo: Toru Oshima Text&Edit: Karin Ohira Coordination: Yumiko Ohchi (Marginal Press)