フローリスト・越智 康貴の”花咲くかげに” 05 – 〈DEPT〉オーナー/バイヤーeriさんのネイル

花の仕事をしていると、小さな驚きや発見がいくつもあって、季節や気持ちに敏感になる。この連載は、そのきらめきやインスピレーション、自分を取り巻く素敵な出来事を、言葉や写真で書き出す様な、そういうもの。日常とファッションの関係を、ベッドで眠る前の3分間に。(photograph by Shun Wakui)


男女問わず、話をしている時なんかに相手の手先を見る癖がある。

同時に結婚指輪をしているかチェックしたりして、人の視線と感情は繋がってるな、とぼんやり思ったりする。女性の爪ってなんだか不思議、上から色を塗られてカモフラージュされる。真っ赤になって、アクセント、ベージュになって、素肌のように。

〈DEPT〉のオーナーであるeriさんと話してた時、ふと気になって聞いた。
eriさん、いつも爪の色かわいいね、どこで塗ってるの?

最近は自分でマニキュアを塗るのが趣味なの。

光を弾くネイルと何でもない会話が、少し頭に残っていて、また色変える時に見せてよ、って約束して、eriさんの家に遊びに行った。

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除光液の匂いが苦手でね、でも嫌いな匂いのしないオイルのリムーバーを見つけてさ。って言いながら、するするとオレンジ色のネイルを落としていく。そして甘皮をケアしたり、ヤスリで爪の形を整えて、ベースコートを塗っていく。料理教室のテレビ番組を見ている気分。規則的に、リズミカルに、次々行程が進んでいく。

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ひと塗りしたグリーンのマニキュアは、やわらかい春の色。なんだか着せ替え人形みたいで楽しそう。あっという間に気分の装い。爪の色ひとつで、こんなにも変わる印象に驚く。

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 マニキュア塗るの、上手だよね。

自分で塗るのはずっと下手だったんだけど、甘皮とかをちゃんとケアするときれいに塗れるって気づいたの。

そのスプレーは、なに?

これをかけるとね、早く乾くんだよ。

矢継ぎ早な質問にも、いつもの優しい喋り方で応えてくれる。

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ネイルサロンで、何から何まで全部やってもらうのも楽しいだろうけど、こうやって、ひとつひとつ丁寧に、自分で変える時間は愛しそう。

プライベートな時間の過ごし方は、おしゃれな人ほど気持ちがいい。カセットプレイヤーから小さく音楽が流れ、のんびりと心地よい空気が流れていく。

暖かい陽射しがたくさん差し込む部屋の中、伸びをしながら来て丸まった猫が、すやすやと眠り始めた。

 

model:eri


 

越智 康貴

フローリスト/文筆業

フラワーショップ DILIGENCE PARLOUR 運営。

www.diligenceparlour.jp