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その日の花。vol.3 料理家・山本千織さんへ

その日の花。vol.3 料理家・山本千織さんへ

「かっこいいってどんな人なのか」を知りたくて、フローリストの河村敏栄さんが今日はあの人に会いに行く。その日の花を携えて。


山本千織さん /北の国のミディファレノプシス

── 自分の環境とか生活を受け入れるってことがまず一番。 そこにジタバタしない人。 その上で、今の年齢の自分が社会や他の人たちに 何を見せられるかはここ何年間かずっと考えていて。 だからそれができてる人はかっこいいなって思います。

花屋と料理人は似てる。作るものが消えてなくなるところや、いろんな働き方があるところ。「日々お店で忙しく働く人たちを、私は絶対に馬鹿にしない」。そう言われてドキっとした。私が街の花屋を辞めたのはどうしてだったかな。自分の作るものが、どこにでもあるものとして消費される。それがやりがいにつながるという発想がなかった。むしろ辛くなってた気がすると言った私に、〝たかが弁当屋〟扱いの方がやる気が湧いてくると言うから敵わない! 私が初めて彼女のお弁当を食べた時の感動とわくわく感を、今でも忘れられないのは、あのお弁当の中に彼女が本来持ってたパンク魂と、20代からずっと続けてきた飲食店の経験と技術が、詰まっていたからだ。アトリエからの帰り道、今まで無理だと決めつけていたタイプの仕事を思い出し、もっと経験を積みたいと願う自分を感じてドキドキした。

 

今月の花

彼女の「やっぱり卵は偉大だ」というインスタグラムの言葉をスパイスに花をケイタリング(笑)。ミディファレノプシスのキングスとピーコックも、存在感のあるアダンの実も、赤色の萼筒に紫色の花がついたエクメアのブルータンゴも、みんな暑い国からきた植物たち。北の国で生まれた彼女なのに、不思議と南の国のキラキラした太陽が浮かぶのです。

花と文 河村敏栄 写真 松原博子

山本千織
やまもと・ちおり

料理家。北海道山越郡長万部町出身。短大を卒業し、札幌の飲食店に勤務後、1998年から妹と定食屋を経営。上京し、2011年から代々木上原の知人のバーを借りて「chioben」をスタート。口コミで評判となり、現在はお弁当以外にケイタリングも行っている。著書に『チオベン 見たことのない味 チオベンのお弁当』(マガジンハウス)、『チオベンの弁当本』(KADOKAWA)がある。

河村敏栄 かわむら・としえ

オーナーを務める東京・代々木上原の「MAG BY LOUISE」では、花のワークショップやレッスンをメインに、読書会などユニークなコンセプトの活動を行う。昨年、インディペンデント雑誌『FLOWER magazine』を創刊。www.louise-flower.com

松原博子 まつばら・ひろこ

京都府生まれ。雑誌、カタログなどで活動。5月に移転するMUSE de Deuxieme Classe六本木店の内装に、写真が飾られている。www.hirokomatsubara.com

Edit: Akane Watanuki

GINZA2019年6月号掲載

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