29 Jul 2020
SNSで政治の話をすると「意識高い」って思われる?【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.16】

平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つアラサー読者の日頃の悩みをズバっと解決。
質問
今月の悪友:yodaさん
「自分の考え方(セクシャリティ、環境問題、政治)が極端ではないと思うのですが、発信すること=意識が高い、触れてはいけない話のような空気をsns上で感じます。発信することより、1人でも多くの人に知ってほしい気持ち、シェアして話したい気持ちです。どうやったら話の合う人に出会えるのでしょうか…。」
劇団雌猫からのアドバイス
今月の回答者:かんさん、ユッケさん
かん 今回はかんとユッケでお送りします!ご相談はSNSでの発信の仕方についてということだけど、ちょうどユッケさんが気になっているテーマだったんだよね?
ユッケ そうそう。最近、私のSNSのタイムライン上でも、政治とかフェミニズムについて発言する人が増えたなと思っていたの。
かん たしかに増えたよね。今まで政治の話とかをつぶやいてこなかった趣味垢の人も、ここ半年くらいで色々発信するようになった感じがする。
ユッケ 最近は新型コロナウイルス感染症の影響もあって物理的にデモができないからTwitterのハッシュタグをデモ的に使うことも増えているけど、それがニュースに取り上げられたり、ちゃんと結果が出ていてすごいよね。
かん ユッケさんは最近の動きをどういう気持ちで見ているの?
ユッケ 他の人のことをどうこう言いたいわけじゃないんだけど、私自身は、実はあんまりそういうことをツイートしないようにしてるの。前に何回か政治についてつぶやいたことはあるんだけど、自分には向いてないなぁと思ってやめちゃった。
かん そうだったんだ。つぶやいてみよう、と思ったのはどうして?
ユッケ きっかけは、感染症に伴う政府の対応関連のニュースを見ていて「このままじゃ日本やばいかも」と思って焦りを感じたからなんだよね。でも、実際つぶやいてみたら、なんか違うな…と思ってしまったの。その「なんか違う」がうまく言語化できないから、このお悩みを雌猫の他の誰かと一緒に考えてみたかった、というのもある。かんは積極的に政治のことも発信してるよね。
かん 私の場合は、関心のあることについてつぶやいてる、っていうだけなんだよね。今使っているTwitterのアカウントが元々趣味垢じゃなかったの。だから、ひとつのアカウントで推しの話も仕事の話もするし、政治の話もする。積極的に政治のことを呟こう、と思ってやっているわけでもないんだよね。
ユッケ ありのままのかんが、そのまま出ているアカウントってことか。
かん そうそう。逆に趣味垢とか、ジャンルを特化してアカウントを持っている人は、同じアカウントでは政治の話とかはしづらいだろうなと思う。
ユッケ たしかに私は、今使っているアカウントが元々趣味垢だったから、政治のことを話しづらいっていうのはあるなぁ。趣味では意気投合してた人が政治の面では全く違う価値観を持っているかもしれないし、今の趣味友達に「政治について一緒に語ろう!」というのは結構難しいと思う。
かん 相談者さんのアカウントがどういう趣旨のものなのかわからないけれど、自分の意見を発信したいのか、政治のこととかを一緒に話せる仲間が欲しいのか、によって解決策が変わってくると思うの。
ユッケ なるほど。というと?
かん 私はリアルの人間関係では、人によって話題を変えることが多いのね。例えばAちゃんとはキャリアの話、Bちゃんとは政治の話、Cちゃんとはフェミニズムの話、ユッケとはあつ森の話、みたいな。
ユッケ 私との話題、呑気過ぎない?(笑)
かん オチにしてしまった(笑)。でも本当にそんな感じで、リアルな場においてはそうやって相手によって切り分けて話せば良いと思うのだけど、それってSNSではなかなか難しいことだと思うんだよね。
ユッケ たしかに。特にオープンアカウントだと、自分が話したい相手と政治についてリプライでやりとりしていても、外から関係ない人が会話に混ざってきて混乱する……とかも起こりやすいし。友達と話したいだけなら、無理にSNS上でやる必要もないよね。
かん そうそう。
ユッケ そして、何か発信したい自分の意見があるなら、そのトピック専用のアカウントを作るのはどうかな?私はやっぱりインターネットに自分の全部をさらけ出すことには抵抗あるし、人格を分けていきたい(笑)。
かん 最近「#検察庁法改正案に抗議します」で有名になった笛美さんは、まさに社会問題に関するトピックに絞った専用垢だよね。
ユッケ そういう専用垢で話す分には、周りから「意識高そう」「話しにくそう」って思われるという悩みはなくなりそう。
かん あとは、同じようなトピックに興味を持っている人に出会いたいなら、イベントとか交流会に行くのも一つの手。リアルイベントに行くのが難しい場合も、最近はオンラインコミュニティも多いし。
ユッケ SNSだけで全てを完結させなくていいよね。あと、これだけは言っておきたいのは、政治やフェミニズムの話をしないことは悪いことではない、ということ。たまに、積極的に発信している人たちから「(そういうトピックついて)言及しないのはずるい」みたいな空気を感じるけど、言及していない人もそれなりに考えた上で敢えて話さないことを選んでいる場合もあるわけで…。
かん それはそうだ。
ユッケ Twitterって、いろんな人間がごちゃ混ぜになっている世界だから、あまり建設的な意見交換ができる場ではないなと最近感じているの。そういう意味でも、SNSだけで仲間探しや議論をしようとしなくていいと思う。
かん そうだね。もちろんSNSには、リアルでは出会えない人とも繋がれるというメリットもあるし、目的を見極めて使うのが大事だね。
ユッケ なるべく悲しい思いをしない場で、仲間を見つけて欲しいな。
かん 誰かと話したいっていう想いは、すごく素敵だと思う。もし政治に疲れてあつ森の話がしたくなったら、ユッケとかんが聞きますよ〜!(笑)
☆次回はもぐもぐ・ひらりさが登場します☆
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劇団雌猫 げきだんめすねこ
平成元年生まれのオタク女4人組(もぐもぐ、ひらりさ、かん、 ユッケ)。 2016年12月にさまざまなジャンルのオタクがお財布事情を告 白する同人誌『悪友vol.1 浪費』を刊行し、ネットを中心に話題となった。 2017年8月には『浪費図鑑』(小学館)として書籍化。 現在はイベントや連載などに活動を広げながら、 それぞれの趣味に熱く浪費している。“女たちの装う理由“を集めた劇団雌猫原案のコミック「だから私はメイクする」が発売中。
Twitter:@aku__you
Illustration: Maiko Sugiyama Composition: Sae Ota Edit: Karin Ohira