08 Jan 2021
実家暮らし、母との関係に悩んでいます【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.21】

平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つアラサー読者の日頃の悩みをズバっと解決。
質問
今月の悪友:スルメイカさん
劇団雌猫の皆様こんにちは。私は今、親との距離感に悩んでいます。
このコロナの事態により私はほぼ家にいる時間が多いため、頼まれごとをすることもあり、夜ご飯も私が作っています。ただ母の言っていた通りにできていないと叱られ、少し気が回ってないと「気が利かない」と言われ、もう少しこうして欲しかったなどと小言を言われます。家の中では自分の部屋がないため、一人になれる場所はありません。
最初は「母も頑張って働いてくれているし、これくらい頑張らなければと」思っていましたが、今は少しもやもやしています。母のことは好きなため、喧嘩になるたび嫌になります。その度に「出て行く」と言ってしまうのですが、まだ今年高校を卒業したばかりでバイト禁止だったため貯金もありません。「無理でしょ。それならママが出てく」と言い返されて終わってしまいます。
すごく贅沢な悩みだと思われてしまうかもしれないし、私が我慢すればいいのかもしれませんが。皆様ならどうされますか。
劇団雌猫からのアドバイス
今月の回答者: ひらりささん、かんさん
ひらりさ 今回はひらりさとかんでお送りします!さて、お母さんとの距離感にお悩みとのことだけど、私も大学生のときは自分の部屋がなかったから、あの時オンライン授業でずっと家にいたら、かなりストレス感じていたはず。
かん そうだよね。相談者さんは、そんな中でご飯も作ってるなんてえらい……。自分のことだけでも大変だろうに、お家のことまで!私も今はコロナの関係で実家に戻ってきているんだけど(※かんは普段インド在住です)、やっぱりお正月にちょっとだけ帰省するのとはわけが違って、ストレスが溜まると余計なこととか言っちゃうんだよね。ずっと一緒にいると、小さいことでイラッとして、寛容でいられなくなっちゃう。
ひらりさ 不満は言葉にして伝えた方がいいと思うんだけど、喧嘩している時に何を言ってもちゃんと伝わらないと思うから、お互い冷静に話し合えるといいよね。
かん でも、逆に喧嘩している時じゃないと、勢いで言えなくなる気もする。もちろん冷静に話し合えればいいんだけど、かなりの“大人力”が必要だよね…。私、絶対無理だ。ひらりささんは、お母さんとそういう話できてた?
ひらりさ 私は28歳で一人暮らしを始めたんだけど、「家族のルールを守らないなら出ていけ」的な喧嘩を100万回繰り返した後だったよ(笑)。最終的には、転職先が家賃補助のある会社だったのがきっかけで、家を出たの。
かん 話し合いの末に家を出ることになったの?
ひらりさ 話し合いは特にしなかったなぁ。自分で決めちゃって、ある程度物事を進めて、それから伝えた、っていうだけ。私は家を出てから関係性がすごく良くなったので、できるのであれば相談者さんも家を出た方がいい気がするな〜。
かん 私も家を出てから関係性良くなった!お母さんは、子どもを自分の身体から産んでいるわけだし、完全な他者としてみるのはすごく難しそうだよね。私はずっと、お母さんのことを一生支えないといけないって思ってたの。お母さんって一人しかいないし、家を出ずにお母さんを死ぬまでそばで支えることが私の生まれてきた意味だ、って。でもよしながふみさんの『愛すべき娘たち』を読んでから、お母さんと自己を切り離して考えられるようになった。
ひらりさ マンガからヒントを得るの、いいね。家事の話で言うと、やっぱりお金を稼いできているのはお母さんなわけだから、そこは家主であるお母さんのルールが重視されるべき、とは思うんだよね。
かん でも相談者さんも家事を手伝っているのだから、共同で家を運営しているわけで、ルールは一緒に作らせてもらえるべきなんじゃないかな。…と言っても、お母さんにそのオーダーを伝えるのはかなり難しいけど…。
ひらりさ たしかに。家を出られたらベストだけど、完全に一人暮らしをできなくても、1週間くらいウィークリーマンションを借りて泊まってみるのもありかも。私は今一人暮らししているけど、そもそも同じ場所にずっと留まっているのって、限界があると思うの。息が詰まるし、少し物理的に動いてみるのは大事。
かん ルームシェアとかできる友達がいたら、誘って一緒に出ていくのもありかもね!私が家を出た時は、新卒ほやほやでお金もないし、誰にもお金借りられないし、で最初は相当貧乏だったけど、初めての自分だけの場所を持てたことが本当に嬉しかった。お母さんは「まだ無理でしょ」って言うかもしれないけど、それって相談者さんのことをまだまだ子どもだと思い込んでいるからだと思う。
ひらりさ 今はバイトもできる年齢だし、例えば“ハタチを目処に家を出るぞ!”と決めて頑張ってみるのもいいかも。
かん いいね!あとは、家を出られるようになるまでの対処法が必要だね。相談者さん、夜ご飯を作ったり頼まれごとを受けたりしているのは納得している気がするのだけど、それに対して小言を言われるのがしんどいんだと思うの。これはお互いにだけど、頼まれごとに感謝の言葉がひとつあるかないかで、しんどさって違ってくるじゃない? 私もついやってしまうけど、家族ってめっちゃ強く当たっちゃったり、感謝を言えなかったりしがち。きっとお母さんも、相談者さんに甘えちゃってるんじゃないかな。
ひらりさ お母さん自身も「ありがとう」を言われたい状態なのかも。
かん 相談者さん、お悩みにわざわざ「母のことは好き」って書いているし、本当にお母さんのこと好きなんだと思うの。もし相談者さんがお母さんに「ありがとう」をあまり言っていない自覚があるんだったら、びっくりするくらい言ってみてもいいかも。言われたら言い返してくれるパターンもあるから。
ひらりさ 私は親が離婚して母親が働き始めた当初、私はすごい頑張ってご飯作ったりしていたのけど、あーだこーだダメ出しされるからやらなくなっちゃったの。今思うと、母は母で「仕事お疲れ様」って言われたかったのかもなぁ。
かん 感謝や労いを言葉にして伝えるって大事だね。うちも、仲悪いわけじゃないのに母娘間でまっったく褒め合ったり感謝伝えたり出来ない関係だったけど、頑張って言いまくるようにしたら言ってもらえるようになったよ。照れを克服した!
ひらりさ 母娘間の関係性、変化するよね。この相談をいただいたのを機に、私も年末はお母さんに改めて「ありがとう」って言いましたよ!かんも、いつもありがとう!!
かん ひらりささんも、いつもお仕事お疲れ様!そして、いっぱい助けてくれてありがとう!
ひらりさ 相談者さんのおかげで、良い2021年の始まりになりました。
かん まだまだ自粛が続きますが、みなさん適度にリラックスしてお過ごしください〜!
☆次回かん・もぐもぐが登場します☆
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劇団雌猫 げきだんめすねこ
平成元年生まれのオタク女4人組(もぐもぐ、ひらりさ、かん、 ユッケ)。 2016年12月にさまざまなジャンルのオタクがお財布事情を告 白する同人誌『悪友vol.1 浪費』を刊行し、ネットを中心に話題となった。 2017年8月には『浪費図鑑』(小学館)として書籍化。 現在はイベントや連載などに活動を広げながら、 それぞれの趣味に熱く浪費している。“女たちの装う理由“を集めた劇団雌猫原案のコミック「だから私はメイクする」が発売中。
Twitter:@aku__you
Illustration: Maiko Sugiyama Composition: Sae Ota Edit: Karin Ohira