02 Nov 2021
いい歳してフリルやリボンが大好きな私。このままで大丈夫?【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.29】

平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つ読者の日頃の悩みをズバっと解決。
質問
今月の悪友:多田さん
劇団雌猫さん、こんばんは。好きなものはいつまで好きでいていいのでしょうか?20代も後半になり、周りは結婚もして子どももいます。自分はといえばおそらく生涯独身、人付き合いも苦手で、幼いなあと思います。おまけにフリルやリボンのワンピースや、空想が好きです。周りの人達のように普通にならなきゃ、しっかりしなきゃ、いい加減に大人にならなきゃ、幼い趣味や好きなものも手放さなければと苦しくなってきてしまいました。
劇団雌猫からのアドバイス
今月の回答者: かんさん、ユッケさん
かん こんにちは!劇団雌猫のファンシー担当、ユッケとかんです。
ユッケ 私たち、30代で相談者さんより年上だけど、めちゃくちゃファンシー好きだよね。かんは最近何かファンシーグッズ買った?
かん もちろん!サンリオのメルマガに登録しているから、新商品が追加される度にオンラインストアをチェックしているよ。ユッケは何か買った?
ユッケ 最近はミッフィーグッズをいくつか買ったよ。今はミッフィーのぬいぐるみとティッシュケースに囲まれて寝てる。
かん ユッケは、大人っぽいインテリアとか服装にも憧れがあるじゃない?そこはどうバランスを取ってるの?
ユッケ 私は「かわいい」も「かっこいい」も全てを手に入れたい女だから、日によって気分が変わるんだよね。だから、部屋もクローゼットの中も「混沌」の一言よ。一人暮らしのはずなのに、メルヘンユッケと大人ユッケが共に暮らしている感じ。正直あんまり統一感はないけど、好きなものばかりに囲まれている自分だけの城なのでOKということにしてる(笑)。かんも、メルヘンなもの好きだけど家は全体的に大人っぽいよね。
かん 本当はね、メルヘンにしたいのよ。
ユッケ そうなんだ!
かん でも、私の場合はパートナーと一緒に住んでいるから、相手の趣味にも合わせて妥協点を探してる感じ。好きなものにケチつけられるのって傷つくじゃない?だから、例えばお化粧する机の周りとか、相手の目に触れないところにだけメルヘンなものを集めたりしてる。
ユッケ そこは割り切って、自分の趣味も守るようにしてるんだね。
かん 私たちもこんな感じだし、大前提として相談者さんも自分の好きなものを手放す必要はないと思う。
ユッケ 本当にそう。ちょっと話はズレるかもだけど、私、〈miu miu〉みたいにファンシーなデザインのハイブランドについて思うことがあって。あれって一般的に似合うとされている年齢では到底買えない価格帯じゃん?そう考えると、ファンシーって年齢とは関係ない概念だと思うわけ。
かん わかる。中学2年生の時に家庭科の授業でカバンを作るために布地を選ぶことがあったんだけど、先生に「あなたたちみたいな年齢が大人っぽい布地を選ぶピークなのよ」って言われたの。高校生になったら赤ちゃん返りして、サンリオばっかり選ぶようになるんだって。そう考えると、人はそうやって大人にならなきゃっていう衝動と、赤ちゃん返りを繰り返して生きていくのかもしれない。
ユッケ 長年いろんな女生徒を見てきたであろう家庭科の先生の言葉、説得力あるな…。
かん 私は社会に出てから私服にいちゃもんつけられることが続いたの。めっちゃお気に入りのいちごの刺繍のカーディガンを大切に着てたのに「狙ってんの?」って言われて落ち込んだり。いったい何を狙ってるっていうんだよ。野いちごか!?(怒)
ユッケ (笑)。かわいいからいいじゃんね!
かん あまりに言われるから大人っぽくしなきゃと思ったこともあったけど、最近はまた振り切ってファンシーに戻ってきた。
ユッケ 相談者さんの文章を改めて読むと、大人になるための手段として子どもっぽい趣味を手放そうとしている状態なんだよね。だから、フリルやリボンを持ったままでも「自分はしっかりした大人である」という自信をつけられたらいいのかもしれない。
かん 自信をつけるためには、どうすればいいと思う?
ユッケ 相談者さんは「人付き合いができてしっかりしている人」を「大人」と定義しているのかなと思ったんだけど、ぶっちゃけ人付き合いが下手でしっかりしてないけど、家庭を持って子どもも育てている人もたくさんいるよね。その人たちは世間一般的に見たら「大人」にカテゴライズされている。
かん 本当にそう!逆も然りで、若くてもコミュ力があってしっかりした人もたくさんいる。そう思うと、「大人」の定義って人それぞれだよね。
ユッケ だからそんなに不安にならなくてもいいと思うけど、もしも人付き合いにコンプレックスを持ってるなら、毎日ちょっとだけ頑張って自分から職場の人にコミュニケーションを取ってみる努力をしてみるのはどうだろう。「自分から挨拶する」とか「頼まれたら大きな声で返事をする」とか、ハードルは低めに設定して、それをクリアできたら存分に自分を褒める…の繰り返しで、肯定感を高めていくといいかも。
かん ちなみにユッケは、どこで自分の「大人性」を担保してるの?
ユッケ 私は褒められるのが何よりも好きだから、仕事がうまくいって褒められた時に「自分、大人じゃ〜ん!」って心の中でドヤってるよ。かんは?
かん 私は小さい頃からお腹が弱かったから、毎日どんなに眠くても夜寝る前に『R-1』を飲んで、日中にお腹が痛くて動けない日をできるだけ少なくすることを「大人」として自分に課してる。
ユッケ R-1ってそんなに効くのか…私も飲もうかな。そう考えると、そもそも相談者さんは「大人」のハードルが高すぎるのかも。毎日健康に、税金払って生きてるだけで充分大人だよね。
かん そうだそうだ!
ユッケ 成城石井でお菓子買えるのも大人。
かん それは大人を超えて貴族だわ。でも本当にそうで、好きなものを好きでいることと、大人であることは全く関係ないということは強く言いたい!!
ユッケ 好きなものは好きなままでも、自分が大人として達成できていることはたくさんあるはず。自分がクリアできている「大人ポイント」を挙げてみて、自分を認めてほしいな。
かん 精神的に成熟していてもファンシーアイテム好きは十分にあり得るよ。世の中のマーケティングに踊らされないで!
ユッケ そういえば最近、かばんにシルバニアファミリーを忍ばせてる大人もたくさんいるよね。
かん 赤ちゃんの人形ね。
ユッケ あんな感じで、人から見えないところで思いっきり好きなものを愛でるのもいいかも。
かん 周りの目が気になるなら、それでもいいよね。
ユッケ めっちゃ大人っぽい格好に擬態してても「私のカバンの中にはショコラうさぎの赤ちゃんがいるが?」と思えば強くなれそう。
かん あと、相談者さんの「空想好き」はめちゃくちゃ素敵だと思う!私もいまだに寝る前は学園もののヒロインの妄想してるよ。イケメンにモテまくる妄想。
ユッケ それで寝られるの、すごい。逆に興奮して目覚めない?
かん 起きたら嫌でも現実に戻るわけじゃん?だからその時だけは深く深く妄想に潜ることだけを考えるの。
ユッケ わかるようなわからんような…(笑)。そういえば私も、最近受けた算命学の診断で「空想の星」があるって言われたのよ。手塚治虫と同じ星らしくて誇らしかったし、そういう才能を生かして独創的なアイデアやひらめきでバリバリ仕事する大人になれるように精進しようと思ったよ。
かん 手塚治虫は偉大な大人だ。ファンシー好きをやっていると傷つくことはあるけど、それは傷つけてくる奴が悪いよね。
ユッケ うん、ファンシーが好きな気持ちは大切に守りながら、心地よいバランスを探っていこう〜!
☆次回 もぐもぐ・ひらりさが登場します☆
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劇団雌猫 げきだんめすねこ
平成元年生まれのオタク女4人組(もぐもぐ、ひらりさ、かん、 ユッケ)。 2016年12月にさまざまなジャンルのオタクがお財布事情を告 白する同人誌『悪友vol.1 浪費』を刊行し、ネットを中心に話題となった。 2017年8月には『浪費図鑑』(小学館)として書籍化。 現在はイベントや連載などに活動を広げながら、 それぞれの趣味に熱く浪費している。“女たちの装う理由“を集めた劇団雌猫原案のコミック『だから私はメイクする』(フィールコミックス)が発売中。
Twitter:@aku__you
Illustration: Maiko Sugiyama Composition: Sae Ota