26 Jan 2023
元上司からの言葉がトラウマに。どう断ち切る?【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.43】

平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つ読者の日頃の悩みをズバっと解決。
質問
今月の悪友: 青い鳥さん
以前言われた言葉を引きずってしまうのですが、断ち切るにはどうしたら良いでしょうか。
前職を退職する日に直属の上司から「ここで仕事をした経験、転職に活かすの難しいと思うよ。そんなに甘くないと思う」と言われました。私はその後、無事に転職して、以前から好きだったブランドで働けていて充実しています。
でも、退職時に言われたこの言葉を時々思い出してしまい、呪いのように自分を苦しめてしまっています。前職でそう見られていたなら、今の職場でもそう思われているかも…と人間不信のような気持ちにもなってしまいます。
自己肯定感も低くなってしまったかもしれません…過去のトラウマから立ち直った経験などあれば、お聞きしたいです。
劇団雌猫からのアドバイス
今月の回答者: ユッケ・かんさん
ユッケ 皆様あけましておめでとうございます〜!新年一発目の『愛と浪費のおなやみ劇場』は、ユッケ・かんペアでお送りします。
かん 転職に関するお悩みということで、年始にふさわしいトピックだね。ユッケは今フリーランスとして働いてるけど、「直属の上司」がいない世界はどんな感じなの?
ユッケ 私はもともといた会社から独立したんだけど、今もその会社とフリーランスとして契約して一緒に仕事はしてるから、引き続き私を社内の人間っぽく扱ってくる上司もいるんだよね。
かん なるほど。それはぶっちゃけどうなの?イラッとはする?
ユッケ まったくイラっとしないと言ったら嘘になる(笑)。でも、社員だった頃は嫌な仕事も嫌って言いづらい雰囲気だったけど、今は引き受けたくないことは断りやすくなって楽になったよ。
かん ならよかった!ちなみに、なんでフリーランスになったの?上司に縛られるのが嫌だったとか、ある?
ユッケ 縛られるというよりは、狭い人間関係の中で仕事をするのが向いてなかった。仕事でもプライベートでも、同じ人と何年もずっと一緒にいると疲れちゃうんだよね…。
かん なるほど。
ユッケ かんも、転職経験者だよね?過去にムカつく上司とかって、いた?
かん 私は転職2回経験したけど、辞める時に呪詛を残していく人はいた。別れる時に呪詛残す恋人と同じ感じ。
ユッケ あー、わかる。負け惜しみみたいなやつね。今回の相談者さんも、ひどい呪詛っぽいことを言われているね…。
かん そう!そもそも、相談者さんは「ここで仕事をした経験を、転職に活かすのは難しいと思う」と言われたとのことだけど、これってその会社がしょうもないって言ってるようなものじゃない?素敵な会社であれば、そこでの経験は転職しても活かせるわけだから。
ユッケ たしかに。しかも実際に、転職には成功してるし。
かん ハッピーエンドじゃん!まずはおめでとう!!
ユッケ 相談者さんが転職してよかった、ということは間違いないね!でもさ、辞め際の呪詛ではないけど、私も新卒で初めて配属された部署の上司の教えは、トラウマのように染み付いてるなと思うの。良いことも悪いことも。相談者さんがその会社が1社目だったかどうかはわからないけど、最初の頃に言われたことが後々心に残り続ける気持ちはめちゃくちゃわかる。
かん ふむふむ。たとえば、どんなこと?
ユッケ 良いことでいうと、仕事を進めるうえでの責任感の持ち方とか、諦めない姿勢とか。悪いことでいうと、「お前はこういうところがダメなんだ」って仕事を通じて人間性まで否定されるような怒られ方をしたこと。
かん そういうの、あるよね。私も辞める時に嫌な思いをしたことがあったんだけど、その時は私自身もまだ若手で一般常識もなかったから、言われてることが本当なのか脅しなのかがわからなくて。弁護士のところに相談に行って、大泣きしたことがある。
ユッケ うわ〜ん、つらい…。
かん 弁護士さんは「向こうの言っていることは違法だから大丈夫」って言ってくれたから安心しつつも、数年は怯えて暮らしてたなぁ。でも、その後は前職の人とも雪解けして、気持ち的にはなんとか乗り越えられたよ。
ユッケ 相談者さんも「この人は信頼できる」と思うような前職の関係者がいるなら、その人に自分のトラウマを話してみるのはどうかな?かんのケースで言う弁護士的な第三者ポジションの人に「それは上司がおかしいよ」って言ってもらえたら、ちょっとは気持ちが楽になるかも。
かん それはある!パワハラの実態を目撃してた人は「自分も被害に遭うかも」と思うと怖くて言えなかったはず。「あのときはおかしいと思ってたんだけど言えなくて…」みたいなこともきっとあるんじゃないかな。
ユッケ 一方で、「前職で上司に嫌なことを言われた」という事実は消えないわけで、そこで負った傷を完璧に癒すのは難しいかも…とも思うの。
かん うんうん。一度は傷ついたわけだものね。
ユッケ でも「実際に転職して、望んでいた会社に入れた」とか「前職よりやりがいがある」とか、別のところで自分を認めてあげることはできる気がして。そういう「前よりもよくなったこと」を思いつくだけたくさん挙げていけば、下がっちゃった自己肯定感も上がるかも、と思った。
かん 素敵!実際、憧れのブランドで働けてるんだもんね。それってすごいことだよ!
ユッケ この場合も、ひとりで自分を認める作業が難しければ、カウンセラーさんと話してみたりしてもいいかもしれないね。傷つきながらもちゃんと夢を叶えている自分のこと、少しずつでもいいから褒めてあげてください!
☆次回もぐもぐ、ひらりさが登場します☆
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劇団雌猫 げきだんめすねこ
平成元年生まれのオタク女4人組(もぐもぐ、ひらりさ、かん、 ユッケ)。 2016年12月にさまざまなジャンルのオタクがお財布事情を告 白する同人誌『悪友vol.1 浪費』を刊行し、ネットを中心に話題となった。 2017年8月には『浪費図鑑』(小学館)として書籍化。 現在はイベントや連載などに活動を広げながら、 それぞれの趣味に熱く浪費している。“女たちの装う理由“を集めた劇団雌猫原案のコミック『だから私はメイクする』(フィールコミックス)が発売中。
Twitter:@aku__you
Illustration: Maiko Sugiyama Composition: Sae Ota